暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

西成で暮らす。176日目「冷凍都市の憂鬱」

2021年9月10日

久々の現場仕事に行く。ことにする。

早起きさんとしては法外なほどの時間に起き出して、ヘルメットや長靴、手袋を抱えて、あいりん地区を彷徨い、「何をするのか?どこに連れて行かれるのか?何時に終わるのか?」も判然としないまま時間を蕩尽し、肉体を痛めつける。という完全謎ムーブ。
行くのかー。行くんだね。
それが、「西成で暮らす」ということ。

というのも、昨日、福岡の友人に
「もちろん!現金仕事にはしょっちゅう行ってるよぉ!」
と息を吐くように嘘をついたからである。
自慢ではないが、「息を吐くように嘘をつく」のは僕にとって当たり前の、常識的な仕草。
不誠実に生きることが僕の正論である。
辻褄を合わせないといけない。ので、仕事しよ!

ちなみに、アウダースの痴女モノAV傑作シリーズ『女の口は嘘をつく。』を全巻揃えていたのは大学生の頃であった。懐かしいなぁ、仕事したくねぇなぁ…
マスかいて、ただ寝て、またマスかいて、寝ていたい。

 

久々だったので、暗いうちにホテルを出奔し、万全の体勢で仕事探しをすべきだったのだが、一度3時に起きてから、二度寝かましたので、スタートが5時近くになってしまった。

しかし、運良くあびこ筋沿いで、マイクロバスを停めていた手配師に声をかけられ、仕事獲得。

「何系の仕事ですか?」

「港湾で、荷運び荷上げやね。船から荷物が来るから、コンテナに詰め替える。簡単なもんや!安心しときや!」

安心の仕事か。
そんな訳ねーんだよな、大概。

バスに乗り込み、明るさを増していく車外の景色を眺めながら、もう不安でいっぱい。
護送船団方式の同僚たるオッチャンたちのタバコの煙が目に沁みる。
と、

「〇〇!車内禁煙って言ったやろ!出てけ!出ていってや!出禁や、アンタ」

と、怒られている。

「あんなぁ、ここは車の中で吸ったらいかんねん。みんな、シートとか床を焦がすやろ。やから、禁煙になってもうてん。アホくさい!」

前の席のオッチャンが教えてくれた。
調子こいて、タバコに火を点けなくて良かった。
注意されたオッチャンは言われるまま、肩を落として去っていった。
まだ、5時前。
あぶれずに、仕事見つかったらいいね。

寒いし、暑いし

コチラの会社は、朝飯なし。
そのまま、マイクロバスに乗った僕を含めた10人ほどが、大阪の港まで、埋立地まで運ばれていく。
広い港を巡回しながら、一人また一人と車を降ろされる。

「ここで待っとって!7時半くらいになったら、人来るんで、そいつに指示もらってや!」

時間はまだ、6時15分。
見渡す限り、コンテナがうず高く積まれ、人っ子ひとり見当たらない、特撮モノの撮影場所みたいな空間。
不安しかない。
あるのは、まだ夏の香りがする空気と優雅に舞うカモメの姿だけ。

便所も、当然コンビニエンスストアもない。
朝飯食っておけば良かった。
もう、帰ってしまいたいが、どうやって鉄道が敷設されたような文化的な地帯まで辿り着けるのかすらも分からない。
Google先生によると、最寄りの駅までは徒歩で30分かかるようだ。
腹を決めて、海を眺めながら横になり眠る。

なんだこの放置っぷり。

8時近くになって、いよいよ不安が過ぎて情緒が不安定さを極めんとしていた頃合いに、フォークリフトに乗った作業着の人がやって来る。

「竹下さんやね、今日冷凍庫の作業ね。これ着ておいてや」

ファー付きのドカジャンを渡され、移動。

「ここのコンテナから、台車使ってもろて、トラックに荷物移していってや」

「コンテナも冷凍庫なんですね」

「そら、そやろ。中国から来とるからな。ワシは定期的に見にくるさかい、サボらんとやってな。積み方は、トラックの運ちゃんと相談して、ええようにして」

 

冷凍コンテナと冷凍トラックの距離は、50m。
その束の間は夏だが、ほぼマイナ20℃のコンテナ内とトラックの荷台の中での作業。
冷凍エビだ、冷凍イカだ、を触りまくるので、くっさいし(臭)。
中には、電子機器もある、コレはおっもいし(重)。
ゴム手袋は張り付くし(張)。
とにかく、さっぶいし(寒)。
でも、50mはあっついし(暑)。

しかし、間もなく震えるほど凍えていく。
ドカジャンの内側でかいた汗が凍っていくような感覚。

 

何台もやって来ては、荷台をいっぱいにして去っていくトラック。
その運転手さんの当たり外れもある。
積み込みを手伝ってくれる天使もいれば、
「その辺に積み上げてくれたら、僕が奥持って行きますわ。ゆっくり、ケガせんようにね。一個20キロはあるからね、落とさんことね」
全くロンリーに作業させて、タバコを吸いながらスマホゲームをしている悪魔もいる。
「早よしてや、そっちもや!横詰めてくれる!時間ないで!タラタラすんなや、オッサン!」

 

昼休憩に入る。
腹は減っても、その腹を満たす食料を買い求める場所もない。

「弁当持って来てないの?準備不足やな、どっこも買いに行かれへんで、この仕事は」

監督役の方に、暖かい缶コーヒーと、コンポタ缶をもらう。

「なんも聞いてないんかいな(笑)〇〇は弁当付いてないからな。これ飲んどきや」

ありがとうございます。
けれど、休憩中の気温は30℃近い訳だから、冷たい麦茶とビシソワーズが飲みたいです。

 

寒さで、肩が上がらなくなり、荷物を高く上げる動作が鈍くなっていく。
もう、このまま『シャイニング』のジャック・ニコルソンの末期のように凍って絶命してしまいたい。ニコルソンは笑いながら死んでたしな!

 

悪魔多めのトラックの運ちゃんと闘いながら、ノルマを16時には終了。
残りの時間は、空になった運搬用のパレットや台車を倉庫に運んでいき完了。

途中、寒さと空腹による倦怠感でかなり逃げ出したかったが、逃げ出すにも徒歩で30分かかるのよ。隔離された区域での強制労働。僕は、労働者。君は傍観者。

「お疲れさん!また、頼むわな」

いえ、もういいです。

 

仕事が久々すぎて、現場の写真も、報酬の万券の画像も撮り忘れた。

18時過ぎに「パークイン」に戻って、煎餅布団に突っ伏す。
お昼過ぎにはあんなに空腹だったのに、飯が喉を通る気配なし。
食欲不信、西成不信、人間不信©︎坂口征二
一応、『女の口は嘘をつく。』の動画を探してみたのだが、いにしえすぎて発見出来ず。発見不信。
マスかく気力もなく、風呂にも入らず眠る。精力減退。
息を吐くように嘘をつく、のが信条の僕ですが、今日の「疲れた」は本当です。
嘘つき不信。

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仕事内容
日付:2021/9/10(金)
場所:大阪市
現場:港湾地帯
内容:冷凍物運搬
時間:8:00~17:15
待遇:昼食なし
給与:¥10,000

 

収入

10000円

 

使った金額

交通費:420円
麦チョコ:108円
小さなチョコの木:108円
森永・ラムネ オレンジソーダ:152円(二個分)
烏龍茶:100円
明治・ココア:80円
ブルボン・牛乳でおいしくホットなココア:140円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:800円(二個分)

 

所持

77,750円

西成で暮らす。172日目〜175日目「始まりの終わりの、終わりの始まり」

2021年9月6日〜9月9日

福岡と名古屋でのwebっぽい仕事の終わり

日曜までの、怒涛のウーバーイーツ週間を終えて、西成に戻り、常宿いい宿「パークイン」で昼過ぎまで惰眠を貪ること山の如し。

今日は、福岡とのオンラインMTGの日であったが、主役休演とのことで幕は開かず。
首謀者の体調不良とのこと。
こんな生き辛い世の中で、正気を保って暮らすのは至難の技である。
みんな、よくやっている。
みんな、よく生きている。
みんなでみんなを褒め称えてあげるべきである。みんなが、みんなを。ミンダナオ。

radikoなぞを聴きながら、福岡案件でのTwitter担当の仕事をこなす。
僕くらいになってくると、もうradikoでは飽き足らず、
鳥越アズーリFM
あたりまで聴いているんだから。
東京、台東区コミュニティFMでありながら、パーソナリティに、
アントニオ小猪木井筒和幸東ちづる、木下ほうか、ジャガー横田
らを抱える注目の放送局。

ただ、気付いた時には最注目番組である
『名高達男のハングマンが今を斬る!』
が終了していたようで、斬鬼に耐えない。
ローカルのラジオ番組を週一で紹介して、月20万くらい貰えるような仕事はないだろうか。
そんなものは、ない。

 

結局、10月半ばまでの分を、予約投稿をした。なんと、ぞんざいなツイ担であろうか。申し訳ないとは思っている。片手間ンにもほどがある。
とはいえ、それなりの時間を要したので、夕方近くには「スーパー玉出」まで出かけ、飯など購入。
キャベツの千切りを如何に飽きずに食らうか?
という命題に挑んで、今回は、銀あなごの天ぷらと草を和えてみたりする。
金あなごでないのが残念と言えば、残念である。
幼い頃には、金さんのキャッチーさに目が行ってしまっていたが、齢45も過ぎてくると、銀さんの頬の皺にほうに有り難みを感じてくるものである。
成田きん蟹江ぎん、両名の話である。

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スーパー玉出
と言えば
「1円セール」
が目玉であり、1000円購入すれば毎日日替わりで指定された商品がアルミ製の硬貨一枚で楽しめるのが特徴的であったのだが、店にはこんな貼り紙が。

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彼らは我々からあらゆるものを奪っていったが、遂にして「玉出の1円特売」をも奪い去っていったのである。
こんな世界で生きていく、みんなにエールを贈りたい。し、誰よりも僕がエールを贈られたいのが偽らざる気持ちである。
ただ、正直な話、玉出で1000円オーバーの買い物をすることなどほとんどない。
よって、どうでもいいと言えば、どうでも良すぎるくらいに、どうでもいい。

 

夜半には、珍しく定例の木曜日とは別に、名古屋案件のプロジェクトリーダーから連絡。

「お疲れ様です!ちょっと電話しますね」

「そっちからしてくださいね。お願いします!」

と吝嗇家丸出しの返答をして、小一時間ほど話す。

僕が天才的な企画を、平凡以下のスキルでプレゼンし、あとは小ネタの使い回しでお茶を濁すパターンを発動させていた名古屋案件も終了である。

「…それで、もしアレでしたら、名古屋に来ませんか?一緒に出来ることたくさんあると思います。一緒になんか面白いことしませんか?」

と声をかけてもらう。
当然、いや当然ではないが、もうリーダーの言葉の後半部では、濁り切った瞳から、腐り切った光る物が溢れ落ちること山の如し。
ここは、川かも知れない。その水分のクオンティティで計れば海だったかも知れない。
ネットの大海から、こんな、こんなにも内容の薄いブログを見つけ出してくれ、あまつさえ仕事までくれた名古屋のweb屋さんが、仲間に誘ってくれた。

名古屋に住むのもいいかも知れないなぁ。
完全にバカにされてるけど、いい人も、面白そうな人もいる環境だし。
しかし、断った。

「まだ、西成が全然進んでいないので。とっても嬉しくて、もう泣いてる訳なんですけど、本当にありがたい申し出なんですけど、遠慮しておきます。ありがとうございます」

また、web会社に入ってシコシコやるなら、何も変わらない。
と、自分に言い聞かせながら、断ったそばから酷く後悔したのが、情けないところである。
同じような仕事でも、人や環境が変われば、この生き辛い世界に一条の光が差すような幸甚に恵まれるかも知れない。そう思って後悔した。が、続けて

「それと、当初ご依頼のあったライティングも、出来ないと思います。まず、書かにゃならんのは、コッチの西成のブログの方なので。よくしてもらうと、それに甘えて、かまけて、本分をほったらかしてしまうので。ただ、今、泣いてますけどね!ありがとうございました」

と、告げた。
「泣いてますけどね」が嘘でないのは、この短い付き合いでもリーダーに伝わっていたらしく。

「泣き芸ですね!さすがです!でも、ホントにまた声かけますよ。西成頑張ってください」

また、泣いた。
のは言うまでもない。

あとは、最後のzoom打ちになる木曜に、大勢の前で画面越しに汚ったない泣き顔を晒さないようにするだけだ。

いやだけど、いやじゃない

翌火曜日もダラダラと。
福岡案件のTwitter予約投稿をカサ増しなどして、夜に福岡の友人と話す。

それ用に、久々に飲酒するなど。

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福岡の人に、

「ブログの西成濃度が薄いんですよね。いやなら、辞めればいいんじゃないですか?」

的な至極もっともな忠言をもらう。

「いや」か、「いや、じゃないか」
で言えば、もう「いや」な訳だが、と言って始めたことを、あまりに半端に終わらすのはもったいない。もったいない、のレベルは自分が設定すれば良いのだし。
物好きな人に読んでもらえれば、それで良い。
でも、己が納得していないまま、辞めることは「いや」なのである。

この時点で、ブログの更新は月単位でストップしており、何も書けなくなっていた。
完全にwebっぽい仕草にかまけまくって、ウーバーやって日銭を稼いで、西成情報ゼロ。
そんなありさま。

通話を終えて、10月いっぱいまで、福岡案件のツイ担仕事をして、翌日には福岡へ、
「月曜のMTGに当分参加しない」旨を告げる。

これで、ブログ書かないと、もっと動かないと嘘ですよね的な環境は整った。
夜には、福岡案件の天才クリエイターに、サイト作成用の画像を見繕って送り、福岡案件も終了した。

深夜になって、少しブログを書こうとしたが、全く書けなかった。
書けるようになったのは、少し後になってからだ。

 

晩飯に、高野豆腐とキャベツの千切りを食って眠った。
高野豆腐って、スポンジみたいで美味しい。
多分、スポンジよりも。
スポンジ食って暮らせるなら、もっと頑張れるはずだ。

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涙のお別れ

木曜の名古屋とのzoom打ちも、本日が楽日。

結論から言うと、泣かなかった。
最後の方に謎の
「竹下さんへのはなむけの言葉を各自が述べる」
という感涙必至のコーナーが設けられたのだが、泣けなかったね。
泣かしにかかるような演出には、のらないのだ。ありきたりなナラティブなんてゴメンだね。
それぐらいの、シニシズムを持ち合わせた人間なのだ。
自慢できることではないが。

初めてのzoom打ちで、冷ややかに僕の醜態を眺めていた人たちの視線が、この数ヶ月で生温かくなる位には前進したことで良しとしよう。
最初のMTGで、口の端をかすかに動かし冷笑していた、zoom画面の右隅の娘っこが、のどちんこが見えるほどの笑顔で「せいぜい、頑張ってねー」と手を振ってくれたことで満足だ。
かそけき現象でも、ちょっとした繋がりを、まだ、持てる人間でいることに感謝。受け止めてくれた人がいたことへの希望。
この時は、泣かなかったけれど、今思い出して泣いています。
結局、泣いています。

nishinari-lives.com

みなさん、せいぜい頑張ってください!
また、いつか!(往生際が悪い)

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収入

101,130円

 

使った金額

9/6
自家製惣菜:119円
天ぷら:255円(二個分)
冷やして食べるフレンチクルーラー:150円
キャベツミックス:147円(二個分)
コーンサラダ:73円
フリトレー・ドリトス:73円
三幸製菓・新潟仕込み 塩味:127円
鈴カステラ:108円
コーンチョコ:108円
大粒ラムネ ソルティライチ:140円
ヨーグレットミニ:140円
コカコーラ・爽健美茶すっきりブレンド:160円
レジ袋:3円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円

9/7
貯金:30000円
自家製惣菜:320円
天ぷら:70円
もっちもっちこしあんぱん:106円
ピュアセレクトマヨネーズ:214円
岩塚・大人のおつまみ えび:298円(二個分)
かちわり氷:108円
コカコーラ・爽健美茶すっきりブレンド:160円
サッポロ・チューハイ:100円
チューハイ気分 ラムネ:92円
焼酎ハイボール レモン:105円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm+5mm:800円

9/8
交通費:360円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:800円(二個分)

9/9
自家製惣菜:119円
キャベツミックス:73円
コーンサラダ:73円
森永・リプトン グレープティー:106円
一級茶葉烏龍茶:160円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:800円(二個分)

 

所持

69,658円

【西成のお店】お昼には閉店する喫茶店。「喫茶ソレイユ」

「ソレイユ」soleil
とはフランス弁で「太陽」を意味するらしい。
シルク・ドゥ・ソレイユは「太陽のサーカス」
太陽のKomachi Angel」は日本のロックユニットB'zによる1990年のヒット曲。
やや乱れて、ヨーセイ、イエーイエーである。

そんな、どんな? 名を冠した喫茶店が西成あいりん地区にはある。
西成警察署の斜向かい「喫茶 ソレイユ」

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いい意味で昭和的な趣を湛えた外観の店舗が多いこの地にあって、まさに太陽の輝きを思わせるようなレンガ造りの意匠がオシャレ。

オシャレだけど、店の前ではいつものように、オッチャン同士が口喧嘩を始めたりして、マスターが「また、なんかやっとるな…」と店先を覗きに行くような状態であった。

この喫茶店の営業時間は、
開店4:30
閉店13:00
Google先生は教えてくれた。

以前訪れた「たちばな食堂」と同じく、朝早く仕事に出かける労働者たちをギリ迎えてくれ、仕事にあぶれた日にも受け止めてくれる。

nishinari-lives.com

そんな太陽。行きたいよう。

 

午前9時頃、店を訪れると、先客が2名。
ご常連らしく、「いつもの」でメニューが通る。
「いつもの!」で着席と同時に、調理が始まるような関係性の飲食店を持ちたいなぁ、とは思わなくもないが、そこまで親しくなってしまい、コチラのセンシティブなやらかい辺りまで踏み込んで来られてしまうのでは?という危惧もあるので、「いつもの!」状態は要らないかなぁ、とも個人的には思う。
そんなことだから、知り合いも友人も少ない訳だが。

入って右側にカウンター、厨房の壁には年季の入った鍋やフライパンがかけられている。
正面から左側にかけてのスペースには、四人掛けのテーブルが数脚並んでいる。

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店先の貼り紙で見たモーニングを注文。

メガネ姿の華奢なおかみさんが対応してくれる。

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これはお安い。
断然「B」であろう。

カウンターの端っこに座して、Bを待つ。
厨房の奥、引き戸を開けてマスターが現れ、調理してくれているようだ。

カウンター席からは、タイガー珈琲のロゴが見える。
大阪東成区にあるコーヒー製造・販売会社のようである。
地元の味を楽しめるコーヒー店ということになるが、モーニングセットのドリンクはアイスミルクにしてしまった。もう引き返せない。タイガーを味わうのは次回。

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そして、カウンターから見える棚に札束が!
と驚いたが刹那、そうだね、おもちゃのお金ですね。
玩具銀行。

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赤いウインナーのドッグ

待望のBセットがやって来た。

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少量ではあるが、サラダにバナナ、ゆで卵。
そして、メインのホットドッグ。
に、シロップ付きのミルク。
これで400円は破格。

そして、特徴的だったのはホットドッグのソーセージ。
ドイツ的な奴ではなく、赤いウインナー。タコさんになる前の。

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半切ではあるが、確かにあの肉肉しさの薄い、赤いヤッツである。
パリッとして、肉汁ギューみたいなドッグが欲しい向きは、そういう店に行ってもらいたい。
むしろ、小籠包とか食ってもらいたい。
西成の太陽に照らされたような人工的な赤が「喫茶 ソレイユ」のホットドッグなのだ。

「持っていっていいよ!」

お客さんが途切れたタイミングで、首元が広く空いた黒いロンTを着た屈強そうなボディのマスターと会話。

「4時半から営業してるんですか?」

「ああ、今ねコロナあってから? 5時から11時までにしてるんです。食事も休みにしてますねん」

壁に貼られたメニューには、ハンバーグやカレー、定食類も掲げられているが、現在は休止中。再開時期は今のところ未定だそうだ。
ランチタイムには、500円のサービスランチも提供していたらしい。
そちらも、休止中。

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「それ、4時半言うのはなんかに載ってますのんか?」

Googleマップには、そう載ってましたね。ネットでは」

「そうなんや。インターネットとか、見んからね(笑)」

ということなので、ググマの営業時間の情報は修正を提案しておいた。
傍証がないので、採用されないかも知れないが。
お昼廻って来たら、もう閉まってるよ!
インターネットの隅っこで言いたい。

 

「このお金、いいですね!一瞬ホンモノかと思いました」

「それね。もっといっぱいたんまりあったんやけどね、だいぶ減りましたわ。良かったら、持っていき!」

「いいですか!一枚もらいますわ」

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結果、400円を支払い、 福沢諭吉風の肖像が描かれた10000円札を手に入れた。
玩具銀行発行の。

「なんか特した気分ですわ」

「そうでっしゃろ(笑)」

「また、今度はランチ食べに来ますね、ごちそうさんです」

「うん、お願いします。ありがとーう」

 

この、喫茶店から「ありがとう」と送り出されていく感じ。
小休憩を挟んで、「また、行くぞ!」と街に出て行く背中を押される感じ。
ここに、喫茶店の価値の半分以上がある。
「喫茶 ソレイユ」のマスターのそれは、「ありがとーう」の「ー」棒引きの部分で、即合格点。
ご馳走様でした。
赤いウインナーのホットドッグと、ポパイとオリーブを彷彿とさせるマスターとおかみさん、街という名の戦場へ送り出してくれるエールを味わいたいなら、午前中に訪れていただきたい、「喫茶 ソレイユ」でした。

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goo.gl

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※ 訪問日:2021/11/2

西成で暮らす。168日目〜171日目「一週間に十日来い」

2021年9月2日〜9月5日

間断なくふり続ける雨を横目に、断続的な眠りを貪りながら、朝を迎える。
石畳の上で眠るのは、身体の熱を奪ってくれ、夏の夜に一筋の涼やかさをもたらしてくれるが、結局汗だくである。汗なのか、雨粒で濡れているのか、わからない。

乾き切るはずのない湿った上着を羽織りなおし、拾ったビニール傘とウーバーバッグをトランクルームに置き換えて、7時よりウーバーイーツ稼働。

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安息の地を探す

僕自身はそういったマンションで暮らしたことはないし、この先も暮らすことはないのだけれど、エントランスに応接スペースが存在するような物件ありますよね。
こういった感じの。

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こういった感じの、「もう住むのここでいいじゃん!」的な。
そのガラステーブルにウーバーバッグを置いてみたりすると、一気に親近感が湧いていいですね。
底辺生活者の夢想と、しばしの休息時間。
窓から差す淡い光がいいですね。

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路上生活者の寝床の排除は、ここ大阪でも隅々まで拡大しており、雨をしのいで休めそうな高速高架下には、ランダムの置き石が施された現代アートが展開しておる。

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「ここなら寝れるな」
という判断基準で、身の丈ほどのスペースを見つめるようになったらお終いです。いや、むしろ始まりです。思わず「ら」抜きになってしまうほどの。

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雨によるインセンティブを2回こなして、それなりの給料に到達したので、15時には配達を終了し、毎週木曜開催の名古屋zoom打ちに参加するため、ホテルを探す。
降りしきる雨の中、いつものように公園でパソコンを開く訳にはいかない。

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ランクルーム近く、「ホテル京阪天満橋」の一泊料金がセールで1700円に降下していたので、楽天トラベルで予約。

チェックインを済ませ、湯船に浸かる。
どっちにしろ身体全体を濡らしている行為には変わらないのに、お風呂って気持ちの良いものですね。

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西成安宿のように、喫煙環境がデフォルトではないので、ただただボーッとまだ陽の高いなかお働きになっておられるオフィス街を見やる。
雨脚は弱まるどころか、叩きつけるような勢いに転じている。
やめ時としては正解だった。たまに、ごくたまには正解を出す。
ただ、こんな時間に真っ当に働いていないような大人は不正解の極みである。

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特段の準備もしていなかったので、完全に適当に言いたいことだけを喋るという絶対に不正解極まりない態度で名古屋の会議に参加。
先日、自分が出した企画も通ったので、他の人の企画を膨らましたり、生意気に意見したり、「偉うなったな!自分」的な口上を連発。10本言い募れば、1回はポテンヒットにはなる。
天才じゃないかな、っていう勘違いをしながら会議を終える。打率1割の天才打者はいない。

金を幾ばくか出せば、路上に横たわる必要はなくなる。
今晩も、この雨に濡れながら、路上で過ごす先輩たちに敬意を払いつつ、Netflix『ボブ・ロス 楽しいアクシデント裏切りと欲』を鑑賞。

幼少の頃、NHK-BSで見ていたカーリーヘアーのジョイオブペインティングの伝道師、ボブ・ロスの笑顔に隠された苦悩を眺めて切なくなるが、今度ボブさんのTシャツを買おうと誓う。ボブ・ロスが一代で築いた「簡単で楽しく描く油絵」は、息子に引き継がれた。
どこの世界にも「世襲」が蔓延っていて、親の威光を借りることで、3段飛ばしのスタートは切れるけれど、階段を踏み外すせば致命的な傷も受ける。土井善晴とか、佐藤浩一とかは異例だ。

スプリングの効いたベッドと清潔なシーツをふんだんに味わいながら眠る。
ただ、ちょっとベッドの下とか覗き込んで見て欲しい。
それなりのホテルでも、それなりに汚いから。
見えてるとこだけ飾れば良いのである。

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1700円分の恩恵を余すことなく受けるためにチェクアウト時間ギリの翌12時近くまで、ホテルに滞在。

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雨脚の弱まりを期待していたのだが、更なる豪雨っぷり。

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みんな大好きドトールで、みんな大好きレタスドックを頬張っていると、ようやく天候が曇り空に転じてきた。13時から、ウーバーイーツ配達を開始。

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施しを食らう

夕刻近く、浪速区の風俗店にドロップしに行くと、麗しい姿のお嬢さんが受け取りに現れ、ピザを渡すと、

「一枚は、お兄さんの分よ。ご苦労様!持っていって食べて!」

一瞬言葉を失うほど驚く。
チップや、飴玉ではなく、配達員の分も注文して、それを現物支給してくれるケースは初めて。

「あいや、ホントですか?いいんですか?貰っても」

「うん!どうぞ!雨の中ご苦労様でしたー」

颯爽と奥に消えていく嬢。本物の上玉の嬢であった。

暖かいうちに食べるのが、彼女のお気持ちに沿う礼儀であったとは思うが、雨が降り続いていたため、小康状態になるまで何件か配達し、のち公園でありがたくいただく。
うん、美味しい。美味しい。頑張ってください、僕も頑張る。そして頬張る。

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そのすぐ後の配達先のお客さんはホテルに宿泊中で、以下のようなメモがあった。

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JKから来た「ホテルのロビーでお会いできますか」というメッセージには、もしかするとピザ以上の何かが隠されてはいまいか?
と妄想したのだが、当然弁当を渡すだけで、何にもいいことはなかった。

 

22時近くまで稼働し、雨が止まないので雑居ビルのトイレで顔を洗い、歯を磨き、今日もイリーガルな雰囲気を醸し出しながらも、絶対に絶対に法に抵触しない形で雨を避けながらの野宿を敢行。

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一応、いつもの寝床たるベンチのある南天満公園にはいってみたのだが、とてもとても寝られる状態ではなかった。

しかし、先日お会いした野宿の先輩はガッチリ雨ガードで眠っておられた。
ご苦労様です。

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そして、なんとか濡れずに今日も就寝。

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ほとんど眠れずに、翌朝を迎え、6時半より本日もウーバー稼働。

雨は夜更け過ぎに雪に変わることもなく、ただただ真夏の湿度をブン上げている。

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ちょっと流石に厳し過ぎないすか。

昼過ぎには、小雨になってきたが、なかなかヘビーなレインであった。

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途中配達したマンションのエレベーター内には、こげな貼り紙。

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back numberやAwasome city ciubを2時間ギターで弾き語りするのがうるせぇ、とのこと。
ごく具体的。
河島英五なら良かったのかもね、それか村下孝蔵

「どこか防音設備のある場所で練習に励んで下さい」
という、優しいようで突き放したハイライトされたメッセージが。
屋根のある場所に住んでいる人々にも悩みはある。

もう、秋か。
秋に先駆けた長雨を呪いながら、雨の収まった南天満公園の蛇口で身体を洗い、いつものベンチで0時前には就寝。
濡れた身体をえっちらおっちら運んで、銭湯に行く気力もなかった。

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翌日曜日、新潟旅行での収入の空白を埋めるべく働いた1週間も今日で終わり。

楽しんだ後には、苦しみだってある。
苦しみの後に楽しさは待っているとは限らないのが、人生でもある。

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ようやくやってきた晴れ間、順調にそして快調にウーバーイーツをこなす。

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気分がいいぜ。
雨の日よさようなら!

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お客様への対応に追われる

昼間に吉野家からお届けにあがったお客様は、こう仰られた、

「あれ、大盛り頼んだんだけど、これだけ?」

「ごめんなさい、中身は見てないんで。ただ、そう注文されたのなら合ってると思いますが…」

玄関先で、包みを開くお客様。

「この量で大盛りな訳ねーだろ!お前、間違ってんじゃないか?」

しかし、商品に貼られたレシートにはしっかり「大盛り」との記載がある。
こういうアホな、ウーバーばっかり頼んで、家から出ずにマスかいてるだけの、クソになんて言えばいいんだろうか。バカ盛りとかやってる店言って、吐くまで食ってこいよ、カス。

時間をかけて、ピックアップ先の店舗に連絡をし、ウーバーのサポートの事後対応を預ける。
結局、「大盛りの基準」に納得がいかないようで、ずっとゴネてるカスのお客様。
お前が、食うなら小ごはんはミニマムごはんだよ。並盛り18個頼んで食ってろ、アホが。

 

その後、ピックアップに行ったスターバックスでは、いつも丁寧な口調のお嬢さんが、注文の品がまだ出来上がっていないことを僕に告げる際に、

「ちょっとだけ、スタンバってて貰えますか… いえ、ごめんなさい、お待ちください!」

と一瞬フランクな物言いになったことに照れて、頬を赤らめておられた。
マニュアルを越えるくらいの丁寧さでいつも接してくれるスタバの店員さんから、一瞬こぼれる「スタンバってて」に人間的な滋味を感じた。
どんだけでも、スタンバりまっせ、俺。

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16時まで働いて、今週の収入が10万を越えたので、終了。

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上手くならないように、自分の絵を描く

会社員時代にしばしば寄っていた「夜長堂」というお店で開かれている、河田潤一さんの展覧会に行く。

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河田さんの絵には大阪在住の人なら、ほとんどの人が触れているはず。
というのも、その作品が大阪メトロの公衆トイレに飾られているからだ。
いわゆる「ようおこしトイレ」の内部には、あまねく河田さんの作品が飾られている。
僕は男子トイレしか見ていないが、河田さんによると女性個室にも一点ずつかけられているとのこと。

一点ものの「居酒屋メニュー風シャツ」や、この展示のために作られたサコッシュがカッコよい。

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在廊されていた河田潤一さんと少し話せた。

「いわゆる、『上手い絵』になりそうじゃないですか?長く描いていると。けど河田さんの絵は、絶妙に『上手くない』というか、独特の味になってますよね。これは意識されているんですか?」

「それは、どうしても商品みたいな方向に流れていってしまう時もあります。でも、どう転んでも僕が描いてるから、好きで描いてるから。なんていうか、僕なりの上手さみたいなんを上げていくような感じなんですよ」

スペースいっぱいにたくさんの河田さんの「上手い絵」が所狭しと詰め込まれており、かなり長居してしまった。少し大きめの鉛筆で描かれた新宿東口の風景の絵が素晴らしく、買えないのに一応値段をお聞きすると、やはり高価であった。
あくまで、僕のような人間にとっては、だ。
作品を安売りしてしまっては、いけない。価値を減じさせてはいけない。それでも、

「高いんですよ、すんません!」

と恐縮される河田さんが素敵であった。
いつか、いつか、買える日が来たら、お願いします!
肉体労働で稼いだ金で、芸術を買う。それは、大正解じゃないだろうか。

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好評で品切れになっているというサコッシュを福岡の友人の分を合わせて二つお願いして、辞去。

 

すっかり、名ばかり名折れブログと化している「暮らす西成」
ようやく、マイホームタウン西成に戻る。

また、明日からやっていきます。

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収入

口座から引き出す:10000円(預金残高18751円)

 

使った金額

9/2
宿泊代:1700円
ドトール・レタスドック:265円
ドトール・アイスミルクティー:357円
ホットドッグ カレーキャベツ盛り:171円
ミルクあげぱん:162円
ちくわ天:212円
神戸牛入りメンチカツ:322円
SD食品・お好み焼き:430円
日清・カップヌードル:127円
日清・カップヌードル シーフード:127円
手巻き 具入りラー油:128円
鶏つくね串:135円
いこい・ココアピーナッツ:108円
フローズンヨーグルト:302円(二個分)
ぎっしり満足チョコミント:178円
サントリー・クラフトボス:117円
コカコーラ・紅茶花伝:106円
烏龍茶:140円
レジ袋:4円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:800円(二個分)

9/3
駐輪代:150円
手巻寿司 マヨネーズ:108円
手巻寿司 エビマヨ:108円
ザクザクうまチキレギュラー:130円
亀田・堅ぶつ:214円
ヤマザキ・ホワイトチョコサンド:117円
明治・つぶつぶチューインガム:138円
グリコ・アイスの実 大人のショコラ:149円
午後の紅茶 ミルクティー:75円
ほうじ茶:73円
レジ袋:2円

9/4
コインランドリー(洗濯+乾燥):1000円
大きなシュガーデニッシュ:108円
胡麻さけおにぎり:240円(二個分)
わかめご飯おにぎり:120円
はみでるスティックバーガー:130円
あらびきソーセージのこんがりチーズ:135円
大きなおむすび 紅鮭:95円
大きなおむすび えび:95円
亀田・柿の種 梅しそ:214円
豚肉と筍の春巻:190円(二個分)
もち麦あじと大葉:146円
チーズチキンカツおむすび:167円
ふっくらあじフライ:140円
小海老フライ5尾:200円
こだわりのマドレーヌ:128円
カフェオレパンケーキ:128円
赤城・チョコミント:279円
黒烏龍茶:108円
明治・ザスパ ミルクヨーグルト:160円
濃い茶:138円
レジ袋:3円
レジ袋:3円
レジ袋:3円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:400円

9/5
宿泊代:6000円(六泊分)
おにぎり 鰹おかか:88円
おにぎり 具しっかり和風ツナマヨ:88円
イカフライ:108円
シャウエッセンのパリッとドッグ:216円
ひとくち包みソーセージ:180円
ランチパック キャベツメンチカツ:137円
大きなハム&タマゴ:109円
薄皮ピーナツパン:109円
プリングルズサワークリームオニオン:207円
堅くて旨い柿の種 黒胡椒:230円
ヤマザキ・大きなチョコエクレア チョコバナナ:108円
ガリガリ君 九州みかん:73円
ヨーグルトテイストドリンク:106円
ソルティライチ:84円
リプトン・グレープティー:103円
ダイズとアーモンド:184円
綾鷹ほうじ茶:137円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円
レジ袋:2円

所持

5,395円

西成で暮らす。165日目〜167日目「雨の避け方」

2021年8月30日〜9月1日

300円で何が買えるのか。
大阪では、自転車のパンク修理が可能。
何となく1000円付近が相場だと感じていたのだが、大阪の自転車店では500円が平均値である。

結果、ウーバー開始時刻が後ろ倒しになったが、10時過ぎより稼働。

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配達開始後、ほどなくして福岡とのオンラインMTGに参加するため、靱公園のベンチで、お陽さんしとどに浴びて熟成肉にされる。

オンラインの参加者の皆皆様はお元気そうで、何よりであった。
まあ、僕も熟成されるだけの脂肪は蓄えているので、大丈夫。

男性用小便器からのエール

ウーバーイーツ稼働中に、尿意および便意を催した際に、どうするか?

配達依頼待ちで公園に座している時には、当然公衆トイレが安息の地。
それ以外の街中走行中には、大型店舗の多いスーパー「ライフ」のトイレをお借りすることが多い。都市区域にしかない商業施設よりも入りやすく、トイレの位置が、生鮮食品を扱っている一階部ではなく、二階部であることが多いので、無駄に嵩張るウーバーバッグを担いで移動していても、さして迷惑をかけにくいという自己判断から。ありがとう、ライフ!人生に乾杯。

男性用トイレの小便器の用足し中の視線の高さには、「オイ、お前絶対にしょんべんを便器外に撒き散らすなよな!約束だぞ!」という清掃される方の目線による注意喚起の一文が掲示されていることがよくある。
今日のライフからのメッセージは、大変力強く、心に響くものであった。

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僕らが分かち合う言葉がある
こころからこころへ 声を繋ぐ YELL

いきものがかり
作詞・作曲 水野良樹

ライフ・イズ・ビューティフル

 

夜になって、またしても、自転車トラブルに見舞われたので、近場の店舗で折れたスポーク交換をしてもらう。
その修理額、なんと2500円!
そんな訳ないよなぁ、と思いながらも支払う。

「うわっ、結構するんですね…」

「おたくは知らないと思うけどねー、スポークの折れは大変なのよ。高いと思うなら、他所行きーな」

瞬時に脳裏をよぎる、多種雑多の妄言暴言を飲みこんで、お支払い。

公園の蛇口があれば、風呂はいらない

深夜2時まで働き、¥8,715也。
もう銭湯は閉まっている時間帯。
いつもの野宿先、南天満公園の水道を用いて、髪を洗い、身体を清拭。
蚊除けスプレーを塗りたくって、のち公園のベンチで気絶。

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翌、8月最終日。
人生の最終日でも、この暮らしの最終日でもない、ただただ暑い日。

5時半には起床し、6時半からウーバーイーツ開始。

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きょうのお客からの配達メモ。

すっごく丁寧に書いてくれてありがたいけれど、
「13階から19階に乗り換えるエレベーター」
がとんでもなく遠い位置にあったり、
「エレベーターから少し先の位置の事務所」
がまったく「少し先」ではなく、とんでもなく遠かったり。
もう、勘弁して欲しかった。あんなとこで働いてたら、下界に降りたくなくなるんだろう。

 

20時過ぎまで配達し、¥10,471也。

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いつものコインランドリーへ。
あれっ…なんか様子が違う…
ああ、ソファがどかされとるな。

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壁を見やると貼り紙が、

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ああ、この間ここで寝ていたあの人か…

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排除されたのだね、彼。

「長時間居座る中年男性」
を広義にとらまえれば、まごうことなく僕も当てはまる。通報されるのも、致し方ない。
ちょっとやり過ぎたな。この時期なら野宿でOKだろ、頑張ってくれ。
しかし、エアコンを消してしまうのは、マズいなぁ。この真夏に。
他の利用者が遠ざかるだろうし、もう僕も来ないだろう。

天神橋商店街近くの「紅梅温泉」へ。

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今日も、南天満公園にて就寝ていうか野宿。

蚊除けスプレーを足にかけ忘れたので、足がボッコボコになった。どうせ血を吸うならバランスよく噛んで欲しい。もう、ボッコボコ。

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改めて、セブンプレミアム1.5ℓペットボトルを枕にして、おやすみなさい!

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翌朝、蚊たちの蹂躙によって、ほとんど眠れず5時には覚醒したので、そのままの勢いでウーバー稼働開始。

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我々ウーバーイーツ配達員は、接客業務であるからして、しっかり身だしなみを整える。
公園の蛇口をフルに用いて。

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6時に配達依頼が来たカレー屋で、

「おはようございます!朝からご苦労さんやね、コレ持ってって!倒れんようになー」

と飴をくれる大阪のおじちゃん。
西成現金仕事的テクニカルタームで言えば、熱中飴。
あざっす!いただきまっす!

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心斎橋では、
「コロナは大嘘!」
と街宣している小集団が。

「コロナは…」カモン!「大嘘!」イエーイ!
と、コール&レスポンスを通りがかる人々に求めるが、一切スイングしていないライブ会場であった。

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22時あたりまで働き、インセンティブも付いて、¥27,857也。

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雨の日には野宿できるのか?

しかし、問題は今日の雨。家がない。©︎井上陽水
なんか前も使ったような気がするが、この後日を跨いだあたりから降雨必至。

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どうせ雨で濡れるのだから、いいのだけれど、寝床を探す前に南天満公園のお水を拝借して洗髪完了。

雨を避ける庇のある野宿先を探す。

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先輩に聞く、雨の日の野宿

まず頭に浮かんだのは、長いアーケードで確実に雨風をしのげる天神橋筋商店街で眠ること。

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ここでもいいし、

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こんなとこ理想的だし、

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規制線を突破してしまえば、こんなトコの奥なんて完璧じゃないか。

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ただ、踏ん切りがつかないし、商店街は夜中でも明るく人通りも、ポリの見廻りもあるだろう。眠れる気がしない。

都市高の高架下には、先輩がいるし、商店街のベンチは横になれないように障害物が取り付けられている。

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途方に暮れて一旦、南天満公園に戻ると、
いつもベンチを占有している先輩が、傘やビニールで雨対策に余念がない。

「雨降るみたいですね」

「ああー?そうみたいやな」

「それは、雨の準備ですか?」

「見たらわかるやろがい。そういうこっちゃ」

「雨の日って、みんなどうしてるんですかね?」

「みんなって(笑)みんな、ウチに帰るんやろ。兄ちゃん、外かいな?」

「そうです。今日も、そこのベンチで寝ようと思っとたんですけど…」

「教えちゃろか?作っとるマンションとかな、警備員のおらんビルとかな、いくらでもあるわこの辺。それと、雨の日ぃは、夜寝んこと。昼間寝て、夜は起きてたらええんや」

先輩がいっつも昼間寝てるんは、そういう狙いなのか!
違うような気もする。

「ようよう、降り出すで。早よ、探しや!」

 

言われてみれば、人気のない新築マンションの駐輪スペースなどは理想的かも知れない。

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しかし、落ち着けないだろうなぁ。

僕には無理そうである。

そして、予報通り深夜になって雨粒が落ち出した。
ビニール傘を拾い、夜中の天満を歩き回り、どうしたか?
は、法に抵触してたらアレなんで書きません。法に抵触なんてしてないし。
でも、何とかはなった。絶対、法に抵触なんかしてない形で。言い過ぎ。
小一時間は眠れた気がする。

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けれども、問題は明日の雨。
明日も大阪は雨予報である。

 

収入

口座から引き出す:20000円(預金残高29001円)

 

使った金額

8/30
自転車修理代(スポーク折れ):2500円
自転車修理代(パンク):300円
かしわ飯おにぎり:149円
じゃがバターリング:108円
キャベツメンチカツパン:162円
ふっくらアジフライ:160円
シマシマウマウマバー:140円
セブンプレミアムアールグレイ無糖:100円
ジャスミン茶:140円
ほうじ茶:116円
烏龍茶:106円
レジ袋:3円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:800円(二個分)

8/31
コインランドリー(洗濯+乾燥):1400円
銭湯代:450円
はみ出るスティックバーガー:120円
トルティーヤ海老カツタルタルソース:298円
もっちりチーズソース:216円(二個分)
ミックスサンドBOX:242円
ふんわりたまごサンド:127円
メロンクリームとホイップのツインシュー:108円
クリームソーダアイスバー:124円
赤城・ガリガリ君白いサワー:152円(二個分)
シマシマウマウマバー:140円
パルム ナッティショコラ:106円
赤城・ガリガリ君九州みかん:63円
お〜いお茶濃い茶:168円
セブンプレミアム・烏龍茶:149円
セブンプレミアム・メロンミックス:127円
レジ袋:3円

9/1
お惣菜:382円
ハムカツタルタルロール:88円
味付手巻マヨネーズ:176円(二個分)
エビカツバーガー:118円
赤城・ガリガリ君九州みかん:73円
ロッテ・BIGカルピスバー:95円
さわやか白くま:106円
ロッテ・クーリッシュ メロンソーダフロート:124円
黒烏龍茶:108円
レモン&乳酸菌:140円
濃い茶:138円
クラフトボス抹茶ラテ:117円
伊藤園カテキンジャスミン茶:108円
レジ袋:3円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円

所持

15,547円

新潟で、アートとローカルフードに出会う旅 ② 田中角栄とも。

2021年8月28日,8月29日

8時には出発予定であったのだが、相変わらず待たされる。

どうしてんのかなぁ、ちゃんと仕事とか打ち合わせとか、遅れずに行ってる?
行ってるんだろうなぁ、これは僕だから待たされてるんだろうなぁ。
さあ、今日こそナビ頑張ろう!

nishinari-lives.com

さて、同行する社長にとっては、彼の事業を今後ブイブイに展開させていくための、知的財産を蓄える旅なのであろうが、僕にとっては彼の私有財産を新潟ローカルフードによって少しでも目減りさせるための旅。

朝食を何にすんべか?と散々検索した結果、道中無理なく寄れるパン屋さん「フレンドリー高橋」で、地元の人々に愛される味を求める。

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さすが、愛されやすいパッケージデザイン。
ローカルCMに漂うチープさと情熱に、胸を熱くするように、洗練とか代理店の匂いが一切しないローカルパッケージデザインの「まっすぐに投げられた」清々しさにもまた胸を熱くさせられる。
ローカルパッケージデザインとスモールパッケージホールドは似ている、語感が。
そして、その奥には、愛されにくいデブの短パンからのぞく生脚。

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ちなみに福岡から来た社長は、一年中短パンで過ごす元気な小学生みたいなイメージがあったのだが、最近は長パンも履いている。「勝俣州和に憧れているんだ!」と聞いたことがあるような気がするのだが、もう彼は憧れることを辞めたのかも知れないし、そもそも憧れたこともないのかも知れない。むしろアンガス・ヤングの方なのかも知れない。

多種なパンを一種類ずつ買ったので、半分ワケワケして食べることを想定したのか、奴が店員さんに、

「二等分に切ってもらえますか?」

と依頼。

別に手で、千切れば良いのではないか?
と思ったのだが、コロナに配慮したのか、あるいは僕の指先に対する嫌悪感があるのだろう。
社長のイレギュラーな懇願にも、即座に対応してくれた、二等分にされたサンドパンの鮮やかな断面が以下の画像である。

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お召し物は、短パンから長パンに移行したが、自らの要求を衒いなく発する様子は、やはり勝俣州和的な無邪気さがある。やはり、今も憧れの思いは消えていないのだろう。

「フレンドリー高橋」のパンたちは、素のパン生地自体がとても美味しく、ローカルパッケージデザインの鮮やかさをその味わいでダメ押ししてくる旨さであった。それは、木戸修の円熟味を帯びたスモールパッケージホールドのキレ味に似ていた、なんとなくだが。

田島征三と最後の卒業生がこしらえた廃校の再生

10時前には、「大地の芸術祭トリエンナーレ2021」のゾーンに入り、

鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館

を鑑賞する。

「廃校になる学校を、最後の在校生がアートで彩り、思い出と作品を閉じ込める」
というコンセプトだけで、涙腺が瓦解しそうな。そしてへそ曲がりには、「お涙ちょうだいじゃん!」と揶揄されてしまいそうな作品である。

が、当然へそ曲がり寄りで生きてきた僕も感涙にむせぶよりも、ほおが綻び、自らの幼き日々を想い、ノスタルジーを軽く飛び越える楽しさで、子どもの、人の、暮らしの、エネルギーに満ちた空間に浸ることができた。

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廃校舎の窓からは、農作業をするご夫婦らしき方々の姿が見えた。
その光景が、ちっともアンバランスではなかった。当たり前のようにある。

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学校生活の面影もしっかり残している。
その時間を、思い描いて切なくなる。
そんな時間が、こういう形でまだ継続している。訪れた感動がまた蘇ってきた。

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壁に貼られた「学校はカラッポにならない」というこれ以上ない惹句に触れながら、奴と駐車場でしばし、話す。

「良かったなぁ、やっぱこういうのに感動するのって、年取ったってことなのかね」

と、『キッズ・リターン』のシンジのテンションで言ってくるので、

「老いたね、お前も」

と、『ロッキー3』のミッキーのモードで答えたが、いいや、年齢じゃあないね。
この感動は涙ではなくて、笑顔につながるものだよね。

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ただし、感動のあまりインスタ用の写真を撮るのに時間をかけるのは、やっぱり良くない。
笑顔が消えちゃうよね。

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また、雪の季節にでも行きたい。

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田島征三アール・ブリュット

この素敵に過ぎる空間を作った首謀者である、田島征三という人の講演を福山市の美術館で聞いたことがある。

「正規の芸術教育を受けていない人が作るアート」であるアール・ブリュットに興味を持った時に、田島征三のことを知った。

 

障がい者の人たちが作るマグカップを施設が売る際に、彼らは自由に創作するので、使いやすさに配慮しない。
よって、マグカップに当然備わっている「持ちやすい把手」を取り付けない。
「これでは売れない」と判断した施設側は、一般的な把手に付け替えて売った。
しかし、さして売れ行きが良くない。

その話を聞いた田島征三は、
「だから売れないんだよ。『使いにくい把手のまま』、彼らが作ったまま売れば、売れます」
とアドバイス
実際、飛ぶように売れ出した。

 

その講演で田島さんがこんな話をしていて、そこにはアートの本質のようなものがあるなぁ、と感心したことをよく覚えている。

こんな場所を、生徒たちの力を引き出して、地域を巻き込みながら作るのだから、スゲーなぁ。僕と違って、物販にほとんど興味を示さない社長が、田島さんの絵本買ってたからな。僕は当然のようにTシャツ買ったんだけども。

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豪雪地帯の住まい

トリエンナーレの開かれている町並みを、奴の運転で、僕は助手席で半分寝ながら走行していると、一階部分が車庫や倉庫になっており、二階に相当する高さに玄関がある家屋が多い
僕も、生まれは雪国なので、「雪がたんまり降ると、一階の高さは雪で埋まっちゃうから」という正解を叩き出したのだが、「そうなの、そうなの」と嘘つき呼ばわりしてくるので、「そうだよ、そうだよ」と返していたのだが、道中ずっとそのことに感心しきりである。

奴は、一極に焦点が合うと、ずっとそのことに囚われ続ける欠陥があるので、ずーーーっと、「その土地独特の建築、深いなー」と言い続けていた。
こういうファナティックなこだわりが、ビジネスの種になったりするのだから、一種のというか、これは才能である。
ずーーーーーーっと、同じ感慨を聞かされ続けるコッチにとっては、迷惑でしかないのだが。
全編奢りの道中であるから、許す。許さざる終えない。負えまい。オンマイマインド。

田中のオヤジ

新潟が産んだ偉人と云えば、田中角栄その人。

ラーメンズのコントでもお馴染みだが(お馴染みではない)、「コンピューター付きブルドーザー」と呼ばれた圧倒的なスピーチ力、利益誘導する腕力。

想定していたルートを大きく外れることになるが、満場一致で「田中角榮記念館」を目指す。

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館内は撮影禁止なので、画像をお見せできないのが残念だが、
書斎の再現、達筆な毛書、陳情書の束、記念館に協賛した企業の異様な豪華さ、などコンパクトながら見どころ満載。

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唯一、撮影可能なのは田中角栄等身大パネル

この記念館のレビューでは、辛辣な意見が多く、その少なくないレビューが館内スタッフの態度が悪ぃ的な書き込みなのだが、実際お話を伺ってみるとそんなことは杞憂であった。

角栄さんのことは、地元のみなさんは何と呼んでいるんですか?」

「そうですねー。『角さん』が多いんじゃないですか?ただ、私もまだ幼かったので、そんなに記憶がないんですよね」

「でも、いまだに愛されている政治家ですもんね!」

「そうですねー。そうだと思いますけど、活躍を知っている世代も少なくなってきましたからねぇ」

「『オヤジ』とか、呼んだりするのかなぁ、って」

「どうでしょうねー。そう呼ぶ方もあるのかなぁ」

「ちなみになんで、ここは撮影禁止にされているんですか?」

「それは、田中真紀子さんのご意志なんですよ」

それでは、唯一の撮影スポット等身大パネルを撮影。
係の方に100円を渡すと、スマホを受け取ろうとされたので、
「いいえ、僕は写りたくないので、角栄さんのワンショットだけ撮ります!」
と高らかに宣言し、パシャリ。と行こうとしたら、

「ああ、ひとつ注意点なのですが…」

「ああ、そうか、背後に館内の様子が映り込みますもんね。なるべくパネルだけ写します」

「いえ、違うんです。パネルが角度によって、光ってしまうことがあるので、カーテン閉めますね」

何だよ、全然いい人、素敵なスタッフの方ではないか。改めてパシャリ。

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100円を支払うことに関しては、全く文句は無いのだが、僕に続けて社長も100円玉を取り出して渡そうとしたら、

「いえ、結構ですよ。お連れの方もどうぞお撮りください!」

と言ってくれたことについては、そこはもう厳格に料金を徴収してもらいたかった。
なんで貧者からのみ取るんだ。
角栄さんは、そんな人じゃなかったはず。

そして、この等身大パネルだが、

「あれですね。結構、角栄さんって身長高かったんですね!」

「いや、これですね。等身大じゃあないんです。下駄履いてるでしょ。しかも、石の上に乗ってるでしょ。だから、かなり高身長になってます」

身の丈に 下駄を履かせる オヤジかな。お見事。

受付で、クリアファイルを購入したり、近くにある角栄さんのご実家の所在地などを伺っていたら、その隙に社長が、越山会の旗の写真を勝手に撮ってる!

ああいう事する奴なんですよ!
ああいう不埒な行動を取る奴に、さっき貴方方は100円を免除したんですよ!
と、通報してやろうかとよっぽど思ったが、連座制で追い出されるのも嫌なので、グッと堪えた。

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続けて、角栄さんの生家も見学。

垂直跳びを試みて、門扉の奥を覗いてみたら、生活臭のある光景が見えたので、誰か暮らしてらっしゃるのかも知れない。

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だからさぁ、もうこれは流石にインスタ映えとかじゃないじゃん。
時間かけて、写真撮る意味ある?社長?

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今日も、ローカルフード「イタリアン」を食う

昨日は「フレンド」の「イタリアン」を食したが、今日は「みかづき」の「イタリアン」に挑む。この一文、まったく意味がわからないな。

イオンの一階の入居している店舗。
確かに、みんな「イタリアン」食ってるわ。ソウルフード

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今回は、ちゃんと社長が支払いを済ませてくれる。
そうだ、いいぞ!それが君の任なんだ。

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食べ比べの結論、これは奴とも意見が一致したのだが、

「フレンド」の「イタリアン」の完勝。

麺のもっさり感もいただけないし、具として入っているもやしの水分が出過ぎて、ソースの味わいを減じている。

ソースを和えてみたが、どうだろうこの非シズルっぷりは。

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一般的には、「フレンド」よりも「みかづき」の評価が高いようにネットでは見受けた。

これは、常勝軍団の奢りなのか?
この食事は、社長の奢りである。

ただ、チェーン展開をしている飲食においては、各店舗での個体差も起きがち。
もしかすると、ここの「みかづき」はちょっとアレなのかも知れない。
もしかすると、今日のシェフの体調が悪かったのかも知れない。

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各メニューのアレルゲン情報とか配っているのは素晴らしい。
ネットなんかに明るくない老若男女がその情報に紙ベースでもアクセスできるからこその、ローカルフードとしての責任は果たされている。

ローカルフード考

観光客の我々にとっては、一期一会のど真ん中で体感した「みかづき」の残念さを語っていた時に、奴がローカルフード論を披露してきた。

「実はローカルフードって、美味しいものじゃないんだよ。本当に美味しいものなら、とっくにローカルを乗り越えて、グローバルになっているはず。その土地にとどまってしまっているということは、美味しくない証拠」

その土地でしか採れないような産物を用いた料理、という括りのローカルフードはこれに当てはまらないが、新潟における「イタリアン」のように、地産食材を使っていない場合には、奴の論が確からしく思える。

実際、似たようなというかほとんどレシピの同じ料理が、その名称の違いだけで各地のローカルとして認定されている例もあるだろう。仙台銘菓「萩の月」のように

そして勿論、「美味しくない」ことによってローカルフードを貶める必要もない。
因習や思い出と切り離せないからこそ、ローカルフードとも言える。
だから、「みかづき」の「イタリアン」が美味しくなくても全然OK。
順番がテレコで「みかづき」の方を最初に食べていたら、結論は異なったかも知れない。
俺たちどっちも、カップ焼きそばUFOが至高だしな。

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前川國男は「ある」。新潟の「潟」を知る。

奴は建築に明るい。「どうしても見たい!」とのことで、前川國男の設計による新潟市美術館へ。

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「これ、福岡市美術館と似てない?」

と言ったらビンゴで、福岡市美も前川作であった。

僕のような審美眼を備えていない者からすると、至って普通にして「よくある」建築物にしか見えない。
が、奴は「パースが」とか「この角度を変えてるのが」とか「このレンガがちょっと大きいのが」とか。好物を目の前にして涎を垂らす風情でうっとり見ている。

見るべきところと見ても、「よくある」「あるなー」としか思えなかった。
前川國男に対して不感症。
ごめんね、こんなに奢ってもらってるのに、魅力を理解出来ずに。

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新潟の「潟」とは?

その後、新潟県の地名にある「潟」について学ぶために、「ビュー福島潟」へ。

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例えば、東京という名の由来は「東の都」なのだろうし、北海道は「海に囲まれた暮らしのある北の地」なんだろうし、云々(あくまでイメージ)。

この施設は、螺旋状の階段で各階をのぼっていきながら、「潟」について知りつつ、「潟」に住む生物を鑑賞するための知識を蓄えられるベースのような場所。
社長は、説明パネルと展示物をじっくり眺めて、「潟」への見識を深めていた。
かくいう向上心ゼロの僕は、懇切丁寧な解説を概ねスルーして、最上階のビューポイントへ。

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新潟広いな、大きいな。

程なく合流した社長によると、この地は周囲の日本海信濃川阿賀野川の水面より低く位置した巨大な砂丘で、河川の氾濫や海面の上下に影響され時代によって姿を変えてきた土地。
「潟」とは自然によって形成された「海岸沿いの湖」と理解すれば良いようです。
ちょっと、本心からバチコン理解できていない気がしますが、そのようです。ですよ!

www.niigata-satokata.com

「潟」と共存しながら暮らしを立てていくことは、新潟県民にとっての課題で、開発や管理を逐次施しながらも、潟から得られる魚や米、鳥の恩恵を受けてきた。
自然の脅威に抗いながら、利用していく歴史。

そう考えると、ほら「イタリア」も海に囲まれた国じゃあないですか。だから、ほぼ新潟なんですよ。ヴェネチアとか『水の都』と言われますよね。
だから、新潟のローカルフード、ソウルフードは「イタリアン」な訳です。
無理矢理強引に接続を完了しました。

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ローカルフードの食べ残し

ここに来て、まだ新潟っぽい「タレかつ丼」「へぎそば」「ラーメン」などのソウルフード周りを制覇していないことに思い至り、ホテルへの道すがら、「中華そば こころ」燕三条ラーメンを食す。

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玉ねぎの乱切りによる味わいが、どうかするとどうかなぁという感じであったが、濱田岳とおんなじラーメンを食ったという喜びは噛みしめたい。

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僕は太っている、太ってはいるが胃袋はひとつ。地球はひとつ。そんなに食えないよ。そんなに住めないよ。

コロナ禍で、「タレかつ丼」の有名店も早晩閉まっていたので、夜半は居酒屋で少し呑み、散開。居酒屋のメニューには、とんかつが存在したのだが、店員さんに聞くと「普通の豚を揚げたのです」とのことだったので、辞退。胃袋はひとつ。トンカツはどこで食べても、トンカツである。

深夜になって、少し繁華街をうろついて就寝、明日にはこの旅を終える事になる。

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新潟、その旅の終わり

翌朝、新潟駅から新潟空港

新潟駅でお土産を買い、送る。駅の数店舗でも「きのこ汁の缶詰」は発見できなかった。無念。

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空港内の店舗で、「タレカツ丼」を消化。

まさに「消化」というやっつけ感であった。学食みたいな見た目だったし。

奴が、「俺はカツ食うけど、助監(彼による私の呼称)は、“へぎ”れば?」
と、「へぎそば」を押し付けてくるが、どうせ奢ってもらうのならば、カロリーの高いカツの方がいい。大体、「ヘギる」とは言わないで欲しい。

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機上から「潟」の国、新潟にお別れを告げ、関西空港で福岡に戻るこの旅の大スポンサーを見送る。

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「いやあ、楽しかったな!こんなに奢られ続ける旅は最高だな!」

「もう、ないね。もう二度とないよ」

ご立腹である。

そりゃあ、そうだ、また西成で働いて今度はいくらかは出す!
ただ、もう二度とないのだろうけど。

いつもの稼ぎ方に戻る

夢のような旅は終わり。
また、虚しい人生の旅路の始まり。

17時からウーバーイーツを開始。
深夜には野宿の開始。
昨日までの、ベッドのスプリングが懐かしいが、このベンチの固さと蚊との闘いが、本来の僕の生活である。

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収入

4541円

 

使った金額

交通費:13710円
雑費:2018円
食費:1021円

 

所持

6500円