西成ホテル探訪・五日目
Wi-Fiが欲しい!
今日は、どうしてもWi-Fi環境が欲しかったのです。少し、調べものをする必要があり宿のなかでノートパソコンをつなぎたかった。「調べもの」とか、カッコつけやがって!どうせ巨乳系youtuberのストレッチ動画でも見るんだろ?と思ったあなた。まあ、それも見られたら、見るでしょうけども。
なので事前に「Wi-Fi有り」ホテルを調べてから、西成へ。
いつもの大阪メトロ堺筋線動物園前駅9番出口ではなく、4番出口へ。こっちはエスカレーターがあります。是非とも、9番出口にも設置希望。
この辺りは西成区太子。いつものあいりん地区とは通りを隔てていますが、やはり安宿は多い。まだまだ、泊まれるなぁ。
うれしい!とは素直に言えないけど。
Wi-Fi完備で1000円以下の宿は存在する
今日の宿は「パークイン」
動物園前の、INN=宿泊施設って意味ですか。そうですか?
一見、マンション風で、一泊あたりの値段も明記されていない。不安。
ただ、ロビー然としたエントランスがあり、ソファやパソコン、海外の方向けのパンフレットもある。
「すみません!一泊イケますか?」
「大丈夫ですよ」
「ワイファイ生きてますよね」
「ああ、大丈夫です。1000円になりますね」
1000円アンダーで無線LANを利用できる宿はある!
1000円でしこたま酔える飲み屋を「センベロ」と言ったりするが、1000円でネット環境が整っている宿のことを「センサク」と呼んでもいいかも知れない。「サクサク」行けるという意味です。もしくは「センパイ」たくさん巨乳系動画が見られるという意味です。先輩。
なんの躊躇もなく部屋のカギももらえた。スゴい。
もう一生、三畳の部屋でいいのかも知れない
もう恒例のというか西成安宿探訪デフォルトの三畳間です。
ただし、窓際の板の間や玄関部、テレビと棚のスペースが三畳内に含まれていないため、実質三畳以上ある。ゲストを二匹のワンちゃんが出迎えてくれるという、ほがらかさもある。冷静に画像を見ると少し怖いが、入った瞬間は、ほがらかな心持ちになった。
エアコンスイッチはあるが作動はしない。ただ、畳も布団、シーツも清潔。棚もありなにかは置ける。僕はとくに置くものはないが。そして、
浴衣がある!寒いので着ないけど。
振興のドヤというか、インバウンド向けに改装された宿なのか。ホテル感は強いが、共同ガス台があるところなどは、西成の宿らしさが残っている。
このブログをはじめる前までは、三畳のホテルなんてありえない!と思っていたのだが、正直、今や広い部屋に泊まる意味が分からなくなってきている。なんのためにかりそめの寝ぐらに、必要以上の広さがいるのだろうか。これで、天井が異常に低い、とかの不具合が無ければ、三畳のスペースで充分。そんな身体になってきました。
3階には、僕以外の宿泊客はいないようだ。8階までエレベーターで上がってみたが、暗黒だった。インバウンド向けの宿は今は厳しいのかも知れない。ただ、これで1000円なら、1200円の「ホテル なかよし」は一体なんだったんだ?そう、振り返る訳です。
狂いまくる時制
お風呂は9時まで入れるようなので、すぐ近くの山王市場通商店街まで行ってみることにする。この辺りも、カラオケスナックやコインロッカー、コインランドリーが居並ぶ。そっくりさんぽい永ちゃんのポスターが迎えてくれるこちらのコインランドリーの前にはホワイトボードがあり、中古家電の入荷情報が書いてある。Wi-Fiだなんだ、こだわっている自分がみっともなくなる。情報は本来こうやって伝達されていくものであったのだ。
そして、店内の別のホワイトボードには客が記したとおぼしき
「2015年のカレンダーを処分され、2018年のカレンダーを掲示して下さい。」
との書きこみが、
「??」と思いカレンダーを探すと2011年のカレンダーが貼られていた。時空が歪んでしまって、今自分が何年に生きているのか?時制いじくりまくりのSF気分になった。
スーパー玉手の大行列
山王通商店街には「スーパー玉手」もあるので入店する。飲み物を買おうとレジに向かうと一つのレジ前だけにかなり長い行列ができている。ただ、もう一本生きているレジに人はいない。よくわからないが、そちらで会計を済ませる。
「あの行列、なんですか?」
「8時からお弁当が、半額になるので、それを待っていますね」
なるほど!と思いお弁当ゾーンに行ってみると、確かに半額になる時間が明記されていた。一般的には、シールを重ねて貼っていき、20%OFF~30%OFF~半額と段階を踏んでいくものだが、このシステムの方が効率的かも知れない。この店舗は24時間営業ではなく、21時に閉店するので、廃棄を少なくし、店員の手間も減らせ、客も納得できる。三方良し。
大衆演芸場・映画館
もうすでに閉館した「飛田東映」「トビタシネマ」も跡地もあった。
随分前だが飛田東映には行ったことがある。3本立て800円だかの名画座、二番館。すぐ近くには飛田新地もある。あいりん地区周辺には、人間の欲望回収装置が詰まっている。詰まっていた、というべきかも。
映画館はパネルで隠されているが、取り壊されてはいない。もしかしたら館内設備もそのまま残されているのかも知れない。一度、のぞいてみたい。ここに通い続けていれば、そんな機会も訪れるかも知れない。
風呂には石鹸、シャンプー、ドライヤー!
「パークイン」にインして共同浴場に行く。先客が2人いて、どちらも30代だろうか。旅の途中なのか、この街に落ち着いていてドヤ住まいなのか、物憂げな表情に見える。僕の思いこみですけど。
風呂には備え付けの固形石鹸とシャンプーも。ドライヤーなんてものまで。風呂にはひと癖あったこれまでの宿のなかでは最高の設備。浴室近くには共同冷蔵庫もあった。自販機も3台。素晴らしい!
待望のWi-Fiにつなぐ!
部屋に帰って、パソコンを開き作業しようとWi-Fiパスワードを探すが、室内には掲示がない。廊下に出てエレベーター前に貼られた番号を入れる。
結論から言うと、まったく速度が出なかった。
「センサク」とか、絶対言えない!サクサク感ゼロ。濡れせんべい並みの。
ただ、今日やりたかった調べものは、検索しながら表を作っていくだけだったので問題なかった。もし、あなたが巨乳系youtuberのお料理動画とかを見たい場合のみ、不具合を感じるだろう。僕も見たかった。
はじめての二度寝
やはり空調は効かないので、寒さはこたえる。もう、大阪も夜は一桁台の気温。夏場に西成を訪れたとき、路上で眠っていたオッチャンたちはどうしているんだろうか。1000円の宿にも泊まれないとしたら。僕はまだまだ幸運だ。Wi-Fiが微弱だったとしても。
翌朝
一応、7時頃起きてみたけど、まだギリ行ける!と思い直し、30分ほど睡眠を追加する。二度寝。まさか、西成安宿で二度寝できるようになるなど、思ってもみなかった。布団があたたかい。
8時を回って部屋を出ると、ベッドメイクの方がおられた。いたって、一般的なホテルの朝の風景。ちょっと早めだろうけど。
「おはようございます」
「おはようさん!寒いわね!」
「お世話になりました。ここは何時までに出なきゃいけない、とかありますか?」
「一応、9時半だけどね。ゆっくりしてくれていいですよ」
「わかりました!また、来ます!」
移動式のカゴのなかには今から作業されるであろう、清潔そうなシーツがたくさん入っていた。Wi-Fiのことはもう言うまい。気持ちの良い朝。
仕事行ってきます!
パークイン
宿代:¥1000
三畳/テレビ有/コンセント2口/空調故障/トイレ共同/風呂共同(21時まで)/ドライヤー有/石鹸有/シャンプー有/共同パソコン/ガイドマップ/コロナ対策/布団/毛布有(犬柄)/浴衣有/鍵有/喫煙/ゴミ箱有/灰皿有/一泊OK/夜間外出可/Wi-Fi有(微弱)/バグ無/棚有/ハンガー有/お盆有/電気スイッチ/自販機有(酒類)/翌朝9時半まで/エレベーター/ガス台共同/雑誌・漫画・新聞/電子レンジ共同/電気ポット共同
清潔度 ★★★★
フロント★★
サービス★★★★
価格 ★★★★
総合 ★★★★
食費
しっとりフィナンシェ 140円
ハッシュドポテト×2 200円
タバコ・アメリカンスピリット 570円
コカコーラ・ご褒美カフェオレ 89円
コカコーラ・紅茶花伝 110円
にごり旨味緑茶 100円
西成に落とした金額
計:2209円