2021年3月29日。
初めての宿「ホテル ウエスト」で目覚める。
もう、3時起床する気なし。
サナトリウムみたいなベッドで目覚める。
ウーバー中に、階段からすっ転んだ腰の痛みはまだ引かない。
ベッドの端に、丸まった湿布が転がっていた。切ない。
宿を出て、新今宮駅から、昨日天満に置いてきた自転車を回収に向かう。
新今宮駅のホームから下に延びる階段はつづら折りで長く、ある日現場で会ったオッチャンによると「日雇い殺し」と俗称されているそうだ。
「仕事終わって西成に帰ってくると、あの階段やろ。降りるのもしんどうてな。エスカレーターなんでないねん(笑)」
帰省用のきっぷを駅の端末で購入。
特急券+乗車券の往復で、13,000円也。
地元で駅から移動する足代も含めて、15,000円を使う算段。
しかし、A地点からB地点にただただ横移動するだけなのに、なんで銭がかかるんでしょうかね?
無料にして欲しい。
新今宮駅の乗車ホームからは、絶賛建築中の、星野リゾートのホテルが見える。
建設計画が持ち上がった時には、「スラムにリゾートホテルが!?」みたいなノリで語られたこのホテルであるが、あいりん地区のド真ん中に建てられる訳ではない。
むしろ、新世界の延長といった位置関係。
しかし、近隣には見られない大規模な建築であることには変わりない。
こんな人足がたんまり必要そうな現場が、目と鼻の先にあるのに、日雇い現金仕事はココではないんだろうか。
ここなら、通うのもラクそうなのになぁ。
天満で自転車をピックアップしたついでに、数日前からカラカラと音をたてるようになっていたチェーンの調整を最寄りの自転車店で行なってもらう。
500円で調整を施してもらうと、一気に具合が良くなった。
踏み込んだ一歩が確実に動力化して車体を前進させる効率が改善されており、どこまでも走っていける気になる。
どこまでも、どこまでも、果てしない空。
信じている限り、夢は終わらない〜。
コレなんのCMソングですか?
自転車に乗りながら、思わず口をついて出る歌ってあります。
ちなみに僕はたいてい、黒木渚の『ふざけんな世界。ふざけろよ』を歌ってますね。
チクショーチクショーふざけんな
この世はほとんど終わってる駆け上がって転げ落ちて 人生はコメディ
何度でもこっぱみじんになって やけくそで立ち上がってチクショーチクショーふざけんな
会社も社会も終わってる作詞・作曲:黒木渚
ディストピアを歌う内容に惹かれていた時期というのが、確かに若い時分にはあって、やがてその鬱屈は、慣れと諦めに流されていくのでした。僕もそうだった。
けれど、まだこの歳になって、日雇い現場や自転車配達のさなかに「チクショーチクショー」歌っている訳ですから。
何にも変わらない。
西成に戻る道すがら、四天王寺に寄る。
特に信仰心も、仏閣への興味もない。
ただ、四天王寺がたびたびカラーリングを変更して発売する100円ライターに興味があるだけです。
覗いてみたら、新色が出ていた!
黒×黄の阪神カラー。
「今、届いたばっかりやけど、他の色も見ていく?」
と売店のお母さんがゴソッと新色を見せてくれた。
わざわざ、出してくれたのに買わないわけにはいかない。
いくつか購入。
今日は、働かないので絶食。
なのにライターには金を使う。
バカなんでしょうか?
このライターは無駄に炎が大きく、すぐにガスが無くなって、風の強い日にはまったく点きが悪くなります。
でも、オススメ。
なぜ、オススメなのか?
その理由は単にデザインです。
皆様も大阪土産には、四天王寺の性能の悪いライターをどうぞ!
「ホテル ウエスト」は大浴場はないが、24時間使用可のシャワーを完備。
シャワーを浴び、コインランドリーで洗濯。
何の手応えもない1日が過ぎていく。
使った金額
帰省用交通費:15000円
交通費:180円
駐輪場代:150円
自転車チェーン調整代:500円
四天王寺・100円ライター:1000円(十個分)
コインランドリー(洗濯):200円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円
所持金
3,194円