暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

西成で暮らす。31日目 「怒鳴られない現場」

2021年3月31日。 

今日は、現場が決まっているので、午前3時にあいりんセンター付近をウロチョロする必要はない。
それでも、現場仕事の朝は早い。
5時前に起きる。

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「ホテル ウエスト」は今日まで。
昨日の夜に、カギは返却済。

ちなみに「ホテル ウエスト」の扉は下部にスリットがあるので、電気が点いているのが丸見えだし、音に関しても注意を払わねばならない。少年院感。

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480円で、待ち合わせ場所へ電車移動。
結構、遠いなぁ。
でも、再三言うけれど、3時起きでの仕事探しよりはマシ。マシマシ。噛みしめる。

6時半に落ち合い、現場に移動。
すでに見知った職人さんたちなので安心する。

土壌を改良する

今日も、前回と同様土壌を改良するのである。
僕は土壌を改良するのである。
スコップをむやみやたらに振るいまくるのである。 

nishinari-lives.com

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西成現金仕事は、「その日限り」であるので、技術の蓄積や作業の継続性が起こらない。
その気安さや刹那性にこそ、日雇い労働の醍醐味はある。と言える。
しかし、雇う側からすれば、いつもズブの素人を相手にせねばならない歯がゆさもある訳だ。

もちろん経験のある仕事だからといって、肉体を酷使する仕事には変わりない。
むしろ「経験している」からこそ、作業の迅速さや効率が求められる。

 

地中に沈んでいくドリルを眺め、セメントを加え、攪拌された土とセメントを再び穴に戻していく。スコップを振るう。前回潰れた手のひらの豆はまた潰れた。
回復した身体を、また壊して、再生した身体をまたいじめる。
肉体を使う。とはこういうこと。

相変わらず不器用

掘削地点をマーキングしたり、現場写真を撮影する際にラッカースプレーで地面に印をつけるのだが、これが上手くいかない。

対象物に対して、スプレーを正対させなければ無駄にガスだけが噴出され、塗料が出てこない。

「真っ直ぐね。竹下さん真っ直ぐ!」

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セメントを混ぜ込んだ土壌は定められた高さに均し、その表面を金属棒の先端に平らな重しのついた器具で整えていく。
その際には、金属棒でテンポ良く地面を叩いていく。円形に整えるため、円の外側を整える際には金属棒の荷重を外側に傾け、円の中心を整える際には垂直に落としていく。

基本は、金属棒の自重を生かすこと。
無駄に己の力を使うと、すぐにバテてしまう。
器具の自重を上手に生かす。

これが慣れていないと、力任せにやってしまう。
結果的にそのやり方では、キレイな面にならないのだ。

器具に頼りながら、そのポテンシャルを最大限引き出すことで、手元を担当する僕の疲労は軽減される。

「もっと上手く道具使って!」

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まあ、不器用だわね。

僕の大好きな映画に、
藤田容介監督『全然大丈夫』
という作品がある。

この映画で木村佳乃演じる「あかり」は、不器用すぎて
“エレベーターのボタンを押して、指を骨折してしまう”
「そんなことも出来ないのか?」
の極みのような彼女。

この表現がとても好きで、とても身につまされる。
「出来ない、そんなこと」
を表すために、おそらく多くの事象が検討されたのだろうが、確かに便利で簡便に作られた「エレベーターのボタン」すら満足に押せない、その選択は絶妙。

いつも、どこに居ても僕は「エレベーターのボタン」と向き合っているような気がする。

「昔は怒鳴っとったよ」

この会社の職人は、けして怒鳴らない。
高圧的に人を恫喝するような態度は取らない。
それだけで、この現場は幸福。

 

「絶対、怒鳴らないですよね?僕は動きも悪いのに。どうしてですか?」

「昔は、怒鳴っとたんですよ。オラオラで。なんや、お前ら動けんなら自分でやったるわ、いう感じで」

「そうなんですか。何がきっかけで変わったんですか?」

「それは、周りから人が消えて行ったからやね。そんな現場誰も行きたがらんですよ。ホントは俺はすぐカッとなるタチ。でも、そのやり方じゃあ、誰も近寄って来なくなる。それがわかったから」

 

なるほど。
これまでの現場でも、若い棟梁から罵声を浴びせられることが多かったように思う。

ならば、

「じゃあ実は、『竹下!何やっとるんじゃ!クズが!!』とか、思ってはいるんですね(笑)」

と冗談めかして言ってみたら、返事がなかった。
こわーい。
もう、触れずにおこう。

下半身はウーバーで。上半身は現金仕事で

狭い現場だったので、脚力の消耗は薄い。
代わりに、腕の疲労は大きい。
ウーバーで脚を酷使して、現場で腕や腹筋を鍛えさせて貰ってる。と、考えよう。

これで、上半身も下半身も使いまくる現金現場もあるから、要注意なのだが。

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巻きで仕事が終わり、17時前には西成に戻れた。


車中で監督さんが、業務スーパーのことを

ギョムスー

と呼んでいた。

「ギョニソー」は魚肉ソーセージ。
「コムソウ」は虚無僧。
「ドパルデュー」は最近、太り過ぎ。

ギョムスーか。
今度から僕も使ってみよう。
「ギョムスーでドパルデューも大好きなギョニソー買ってきたんだけど。虚無僧も食う?」

ところで、ファーストキッチンのことを「ファッキン!」と略すのだけはやめておいた方が良いと思う。

 

報酬は11,000円。

交通費やメシ代はかかったが、またお声がかかったらありがたいです!

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帰省列車に乗り込んで

その足で、新今宮駅から自転車移動。
再び大阪に来た際には、ウーバーイーツ稼働予定なので、天満に自転車を預ける。

まだ口座から下ろしていなかった日曜日と火曜日のウーバーイーツの収入¥10,159から10,000円をおろし大阪駅へ。

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母親へのお土産を買いに阪神百貨店に行くが、時短営業でもう閉まっていた。

急場しのぎで申し訳ないが、駅構内で「岩おこし」を購入。
確か、「大阪のおこし」が食べたい!と言っていた気がする。
東京の雷おこしと違って、なにわのおこしは生姜が入っている。
気に入ってもらえるといいが。

特急列車で、故郷へ。
つかの間、西成暮らしから離れます。
あらゆることから逃げて逃げて、逃げ続ければ何か見つかるかもしれないね。

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仕事内容
日付:2021/3/31(水)
場所:大阪市
現場:更地
内容:土壌改良・乾式柱状改良
時間:5:05~16:05
待遇:飯なし・直行直帰
給与:¥11,000

収入

11,000円+10,000円

使った金額

交通費:480円
交通費:180円
戸谷・岩おこし:2160円
たっぷりタルタルフィッシュバーガー:203円
おにぎり・味付けのりツナマヨネーズ:124円
ハッシュドポテト:108円
鶏つくね串:146円
ミニスナックゴールド:135円
明治・エッセル白いチョコ:106円
赤鶏軟骨唐揚げ:583円
いかりのミニカレーパン:151円
細巻寿司・和風ツナ:130円
細巻寿司・海老マヨネーズ:130円
タンパク質が撮れるチキンチリ:367円
フローズンヨーグルト:326円(二個分)
ココナッツミルク:100円
セブンプレミアム・ほうじ茶:100円
完熟ピーチオ・レ:138円
白桃カルピス:151円
コカコーラ・紅茶花伝:85円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:800円(二個分)
 

所持金

14,731円