2021年4月23日。
「パークイン」の窓の外から、猫の鳴き声が聞こえる。
淡く日の差す窓を開け放つと、隣接するビルの非常階段扉の前で食事の供給を待つ猫の姿が見えた。
食事は供給されるものではなく、勝ち取るものである。
という理念に基づけば、今日も飯抜きです。
念のため、といえば聞こえは良いが免罪符的に「西成労働福祉センター」に赴き、契約仕事(10~30日間の食事・寝床付きの所謂“飯場”)を探す。
掲示されている求人情報から、いくつか目星を付け、窓口の職員に尋ねてみる。
「契約仕事を申し込みたいんですけども…」
「はい。問い合わせは出来るんやけどね。もうすぐゴールデンウィークに入るでしょ?そうすると、祝日は仕事ないから。必然的に宿泊費だけ取られて、あなたにとっては“赤”になってまうケースがあるんよ。ほやから、なるべく今の時期は避けた方がいいね」
やはり、先日聞いた通りの説明、「赤字になる飯場」。
「連休明けの方がいいんですかね」
「それが確実やね。正直、今飯場に行く人は、どうしても泊まるところが無い、とか、顔見知りの人とかばっかりやと思うわ。受け入れ先の会社と既につながりのある人とかね」
こんな注意喚起の貼り紙もあった。
「飯場」に入ることを「入飯」と言うんだね。
テクニカルターム。勉強になる。
はい。
消えたー。
「のん」のポスター見られただけで満足。
これから、5月の初週までは、あるかどうか分からない日雇い現金仕事を探すしかない。
朝、起きられたらな。
あいりん地区散歩
あいりん地区をそぞろ歩く。
絶食状態が続いているが、思いのほか気丈に歩ける。
「どこまでも行けそうだなぁ」
と感じ、試しに少し走ってみたら、頭がガンガン痛んだ。
飯を食わないと、ボーッとしてくるのが一番の難点。
簡単にバテて、簡単にヘタり、何も考えられなくなる。
道すがら、路地の真ん中で立ち止まり、空を見上げているオッチャンがいたので、
「何が見えるんですか?」
と話しかけてみる。
「ううん?あっこの家。あっこの窓。ずっと、閉まったままなんや。どうなんかなぁ、思うてな」
オッチャンの視線の先には、古いマンションの一室、閉められた窓が見えていた。
灯りは灯されておらず、隣室に見られるような洗濯物や家具の影も見えない。
「空室みたいに見えますね」
「住んどったんやけどね。今も住んどるはずなんやけどな」
「訪ねてみたらどうですか?」
「…そら、出来ん。やったらアカンこと」
「そうですか。なら、不安ですね」
「そうやな。また、明日来てみるわ。ありがとう」
三角公園の端には、タンポポの綿毛が咲いていた。
もうすぐ春ですね。ちょっと気取ってみませんか。
もう一枚、路地にいた猫。
隻眼で凛々しい一匹。
猫の画像が多ければ多いほどアクセス数が増えると聞いています。
重いコート脱いで出かけませんか。
この貼り紙の建物には、組事務所が入っていたのかな。
ひとつ大人になって忘れませんか。
あいりん地区の古本屋
南海高野線のガード下に、書店があり入ってみる。
6ヶ月前の週刊文春が¥100。
コンビニ売りのコミックスが¥50で売られているが、棚はスカスカである。
古い邦画のポスターが¥2000で売られている先にはアダルトコーナー。
時刻はまだ14時前だが、もう店じまいのようだ。
「もう、閉めますか?」
「そう。あれやろ緊急事態なんやらもあるやろ。もう閉めんねん。なんも買わんのやろ」
店先のCDワゴンにあった謎の三人組が気になったが、買ったところで聞く方法はない。
片付けを進めるオヤジさんに一言告げ、店を出た。
甘味を摂取して、眠るだけ
その後は、宿に戻りパソコンで作業をした。(作業とか言うほどのものではないが、)
Wi-Fiが良好に繋がった宿ならば、漫画喫茶や電源カフェよりも安価でネット環境を用いてコワーキングスペース的に使用出来る。
リモートワークにもオススメ。
zoom会議とかの時は、背景をゴールデンゲートブリッジとかにしておけば問題ないね。
リアルに写してしまうと、ヤニだらけの壁とかで「そこ、何処よ!」って突っ込まれるかも知れないので。
「西成の一泊1000円のホテルだよ」と全身全霊で答えてもいいだろう。
疲労感に効く甘味、今日は「白い恋人・ホワイトチョコレートドリンク」。
お休みなさい。
使った金額
香りごこちジャスミン茶:95円
白い恋人・ホワイトチョコレートドリンク:212円(二個分)
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円
所持金
19,989円