暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

大分に行く①「時間だけはある人」西条〜松山〜八幡浜

2021年7月31日

青春18きっぷ」という「JR鈍行一日乗り放題×5」の時間だけはあるが、金はない勢が用いるお得な切符を46歳になっても使っているとはな。
しかも旅程を検討して、節約のためのオプションとしての選択肢ではない。
断然、絶対、第一等のチョイスとして今回の旅に使用する。

高校時代とまったく変わらない。
「あの頃…時間だけは有り余るほどあったなぁ」みたい回顧は当たらない。
「今も、時間だけは有り余るほどあるんだよなぁ」現在進行形で。

今回の旅は、福岡の会社からの案件で動画を撮影に大分県まで。
西成から逃げたいのね。そうかもね。

nishinari-lives.com

愛媛県松山市経由で大分県中津市まで

JR新今宮駅を始発で出れば、15時には愛媛県松山市に着けるはずだ。
もしかすると、乗り鉄ガチ勢および18キッパーがダイアグラムを精査すれば、より早く到達できるのかも知れないが、大丈夫!時間だけはあるから。

 

そういえば、5年ほど前に「京都大学吉田寮」に宿泊したのだが、あてがわれた場所は京大生が夜を徹してダベっている大部屋で、まったく眠れないのでゴミが層になったような床にまんじりともせず、ただ横たわっている感じだった。
京大生たちの会話は流石の明晰さで、盗み聞きするのは楽しかった。
その夜いくつ目かの彼らの議題は、
「『時間』と『金』はどちらが重要か?」
僕は「どっちかな?」と悩んだのだが、彼ら(6人くらい居たと思う)は全員が即座に
「時間でしょ」
と答えを出していた。

時間をコントロール出来れば、金どころか、あらゆる事象が追いついてくる。自分次第で。
僕は、「そうなん!?」と驚き、続けて「時間の有益性」を次々に並べ立てる京大生の発言が続くにまかせて、納得した。

という訳で、僕にも時間だけはある、京大生と同じだけの。そして、勉学にも勤労にも勤しまないので時間を蕩尽できる。金はない。

 

愛媛県松山市には、杉作J太郎レコ発イベントを見に行くつもりである。
なんと、時間を有効活用してる。もう、死んでく。

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姫路あたりで、「車内にあたりめ的な芳香が漂っているなぁ」と感じていたら、あたりめの匂いであった。

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香川県に入り、乗り換えの時間を使って一服する。
もうずっと、鈍行の列車のなかで何服もしていたのにね、煙を出すタイプの一服。

ホームの端っこに灰皿を設置してあるような駅も減った。
当然の流れだが、僕のような時間を持て余しているような人種には、ありがたい設備である。
喫煙も結局、時間稼ぎだろうな。無駄に引っ張って時間稼ぎしてるだけの生活、全般。人生、一般。

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杉作レコ発、不発

電車移動中にradikoで、『杉作J太郎のファニーナイト』を聴取していると、昨日の放送で、「本日のレコ発イベントは中止!」と発表されている。
コロナの拡大による判断。
あららー、どうしようかしら。
有り余る時間を利用して、旅程を変更。
愛媛県伊予西条駅で途中下車。

西条市観光交流センターでレンタサイクルを借り、ブラつくことにする。
受付の方にコインロッカーの在処を伺うと、レンタサイクル返却までの間、荷物を預かってくださるという。時間はあるけど、金はない、体力もない。人の優しさが西条市観光センターにはある。お金の話ですけど。

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グローバル化するお守り

神風特攻記念館を擁する楢本神社と隣接する西條神社を訪ねる。

楢本神社には英霊が祀られているのだろうか。
バルチック艦隊を撃破した砲弾」を顕彰する碑の奥に、特攻記念館が見える。
が、その引き戸には鍵がかけられていた。引いても引いても無駄であった。もちろん押してみても。

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どことなく神妙な面持ちのふりをして、隣の西條神社にも足を運ぶ。

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僕が、神社に立ち寄る目的はただひとつ

「交通安全シール」

を手に入れるためである。
建立のいわれも、祀られている神性にも特段興味はない。興味の対象は「交通安全シールのデザイン」その一点。

御用の折にチャイムを鳴らすタイプの授与所には、数多くのお守りが揃っていたが、交通安全シールはなかった。中堅以下の規模感ならばサイトを開設していない神社も多いので現地まで赴いて、そもそもシールを作っていないことがわかることもある。残念であった。
もう一点残念だったのは、そのお守りラインナップ。

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ご当地キャラ「みきゃん」から、ドラゴンボール、トーマス、ハム太郎、サンリオ勢まで。
ここまで、独自色を失ったお守りたちも珍しい。一見豪華なようだが、浅草仲見世のお土産店の店頭と見紛う。残念であった。

 

そのまま山間部へ移動。

伊曽乃神社。

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広い境内には、またしても砲弾のモニュメント。
西条市は太平洋戦争時に空襲を経験しているようだ。なんとなく卑猥な位置に鳥のフンが落ちていた。

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神社を訪れた悩める方々の絵馬を、みうらじゅんマナーで見物。

反ワクチン派の主張が旗幟鮮明な絵馬。

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大喜利っぽく経年変化した絵馬。

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破魔鬼を見初める

残念ながら、ここにも「交通安全シール」の扱いがなかった。

が、「破魔鬼」という鬼面のストラップが売っていたので、買い求める。

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破魔矢」は神社の定番授与品であるが、「破魔鬼」には初めて出会った。

「破魔」には、悪魔を打ち破り、煩悩を断ち切る意味があるようだ。
家内の柱などに、毎年買い求めた「破魔鬼」を飾り、家を警固する存在とするようなので、西条市の家々には、玄関先の「犬シール」のように、こうした破魔鬼がズラっと居並んでいるのかも知れない。
柱の傷はおととしの〜的に、毎年子らの身長を測って記録していく際には、破魔鬼で背中を痛打することのないようにしたいものである。

ストラップとの名称の割には、割と大きい。

携帯電話がスマートフォンへ、その肌身離さず状態の座を譲ってからは、ストラップという商品の存在感も薄まった。が、どっこい「破魔鬼ストラップ」があるよ。

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ところで、神社で授与品を買い求めると、応対してくれた巫女さんや宮司さんに

「良いお参りでした」

と「ありがとうございました」代わりのサンキュートークをいただくのだが、僕はほとんど参拝することがないので、なんとなく申し訳ない気持ちになる。
申し訳なさを感じながらも、こんなに時間はあるのに、一切お参りはしないのだが。
破魔鬼購入に免じて許していただきたい。

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メロディー板は鳴らせない

行きしなに橋を渡る際に
「バチを大切に!」
という文言が記された注意書きを目にして、気になっていたのだが、

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西条市は、諸人こぞりて太鼓の達人という訳ではなく、この橋には「メロディー板」という金属片が取り付けられており、順にバチで叩いていくことによって「さくら さくら」を全奏できるようだ。

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しかし、バチが見当たらない。

どうやら「調整中」のよう。残念だ。こんなに時間はあるのに。
太鼓の達人』では「さくらんぼ」を軽快に叩ける、そんな僕なのに。

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ローカル・デザインを見る

地方に行くと、その土地ならではの表現を駆使した看板に出会う。
旅の醍醐味といって良い。
以下のように、

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愛媛民藝館でお土産を買わない

山を下り、川沿いに走り、愛媛民藝館へ。

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今日は、TV取材を伴ったイベントが開催されるようで、若干見学が制限されていたが、なかなか楽しい施設であった。

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一階の物販部に、エクストリームな張子が並んでいたので、お土産に数個購入したい欲求は高まったが、それなりの値段がしたので大いに悩む。
そして、断念。

時間はあっても、先立つものはない。

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西成生活を始めてから、「飾るもの」「そばに置いて愛でるもの」を購入しても仕方がないと思うようになった。どうせ毎日河岸は変わるのだし、それらを持ち歩ける訳でもない。
畢竟、「いつか死ぬ」ということなのだが、それでも虚しかろうが買い物をして、その時を愉しむという心持ちくらい持っていないとやってられない。
とは思う。

 

隣接する、西条郷土博物館へ。

民藝館とは趣きを異にする、西条の民俗や生物が詰まった館内。

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カブトガニの甲羅に顔を描いた、面の勢いが強い。
そして、カニの裏っ側はエグい。

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安政の大地震の際に窯に入っていた、焼き物の失敗作を展示しているのも良かった。

これを残したのは、震災の記憶というよりは、たくまざる形で出来上がったフォルムに魅せられた人が居たということだろう。
クッタクタのトッポギの連弾みたいで面白い形だ。

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充分に堪能して、民藝館と博物館を後にする。

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剥製大行進みたいなスポットとしては、岡山県
「つやま自然のふしぎ館」
が好きだが、随分訪れていない。

剥製の目。
あの黒目がちな、空洞の目。
生気を失った目の持つ負の力。
段々と恐ろしくなっていくんですよね、剥製の陳列を眺めていると。
生きてる内に行けるだろうかなぁ、あっという間に時間は過ぎるから、一期一会で触れていくしかないとは思う。どんなに時間はあっても、経過する速度は止められない。

シャッター商店街を行く

駅周辺まで戻り、商店街を散策。

ほとんど営業している店舗がない通りを歩く。

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会員制ではなく、常連制の「ナイトパブ トトロ」

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制服を扱う衣料店「ヤング 西条店」

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「ご自由にどうぞ」
ゾーンが出現したので、コチラの支給品をお土産代わりにしようかと一瞬考えたが、流石に相手が喜ぶ顔のかけらも想像できなかったので、やめておく。

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観光交流センターに戻り、レンタサイクルの返却手続きをしていると、「マンホールカード」の文字が目に留まり、一枚いただく。

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なかなか可愛いが、すでに758種類もあるようなので、コンプとか考えるべくもない。
時間はあるが、そんな時間はない。

松山市に入る

伊予西条から松山に入る。

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地元のスーパーで、「松山あげ」を大量に購入し、お土産用とする。

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杉作先生が週4でラジオ登板している南海放送と、中止となったイベントの開催地であった「モアミュージック」を訪れる。

去年来た時は、南海放送のウインドウに大きな杉作看板があったのだが、なくなっている!
絶対的な看板番組なのにな。どうした。

モアミュージックには閉店間際に駆け込み、マスターの大久保さんのご尊顔を拝見し、時間切れで退散。また、ゆっくり来よう。
「また!」なんてないかも知れんがな。

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八幡浜に向かう

再度の杉作イベントの開催を願いながら、再訪を誓い、19時前には松山駅からフェリー乗り場の最寄駅である八幡浜駅まで向かう。

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どんどん乗客が降りていき、夜のとばりが下りると共に、寂しさが増す。

旅に出ると、こんな不安とかりそめの愉楽と向き合うのが常であるし、旅が長くなればなるほど、自分の住まいへの恋しさも募る。
ただし、今現在は、西成で旅を続けているようなものなので、住まいもないし、何が恋しいのかなぁ。
「パークイン」のせんべい布団だろうか。

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深夜発の別府行きフェリーに乗る

八幡浜駅からフェリー乗り場までは徒歩で20分。
歩くには長い距離だが、出発まではかなり時間がある。
どこかでメシを食べて、時間を潰したい。

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商店街に到着したが、店の開いている気配は無い。

黒推しの店で「黒いイタリアン」というメニューを見つけ二階に上がるが、もうオーダーストップとのこと。
地元の子どもが課外学習で書いたと思しき壁新聞がステキなのに。
またしても、時間はあるのに、タイミングが合わない。

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仕方なく、来た道を戻り、松山の一大勢力スーパーマーケット「フジ」で惣菜を買い、駐車場のベンチで食す。

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タラタラと歩き、フェリー乗り場を目指す。

途中、ライト兄弟よりも早く有人飛行をするはずだった日本の飛行機の父、二宮忠八の生誕地を訪れる。

圧倒的な結果を出した人では無いけれど、挫折を知っている人なので、二宮忠八は魅力的だ。
植村直己もそうだし、僕は負けを知っている人が好きだ。
負け方が上手いとか、負けなりの輝きなんか微塵も考えずに、負けたことのある人。
その誠実さが、結果的に負けを輝かすのだろう。

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八幡浜港で、切符を買い乗船。

切符に「船内休憩」との印があるのは、航行後、午前3時前には別府に到着したのち明るくなるまで船内に留まれることを示している。

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土曜日だし、それなりに混み合っているのかも?と警戒していたが、乗客は僕を含めて6組ほどしかいなかった。

皆旅なれているようで、カーペットスペースにすぐさま陣取り、寝場所を設定している。
やー、やー負けないぞ!
僕も、コンセント付近にリラクゼーションスペースを確保。

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うつ伏せに寝ないとな。
また、いびきの騒音で迷惑をかける事になる。
結果的には、1時間ほど眠れた。イビいていたかどうかは、分からない。

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別府港に到着。

しばし、船内休憩。
大分県に上陸!は、ギリまだしてない。陸地は目の前。もうすぐ上陸します。

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使った金額

交通費:3350円
雑費:3604円
食費:2886円

 

所持金

19,617円