暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

西成から遠隔地へ、期日前投票する。

参政権を使う

第49回衆議院総選挙の投票日が、来週10/31に近付いた。

ちなみに僕は、選挙というか開票速報をテレビ観戦するのがガキの頃から好きで、総選挙の翌月曜日は、たいてい仮病を使って学校を休み、前日の寝不足を解消したものである。
その大きさに関わらず、自分に投票権がある選挙には押し並べて参加してきたので、今回も納税義務と引き換えに、立候補者の生殺与奪権を行使できるオープンゲームに参加しないのは訳にはいかない。参加したゲームでなければ楽しめない。

毎回の投票行動は、納得した上で行使しているが、一度アントニオ猪木を擁した「スポーツ平和党」に投票してしまった事は僅かに後悔しておる。あの頃は、プロレス者の必須図書であった週刊プロレスも猪木推しだった。これにより、偏ったメディアばかりに接していてはいけないのだな、というメディアリテラシーを学んだ。ような気がする。
だだし、高田延彦を擁した「さわやか新党」には投票しなかったので、自分を褒めてあげたい。

かつては芸術分野のはしっこに居た「マンガ」。漫画家のことを「先生」と呼ぶのは、一種の自虐を含めた漫画というカテゴリーの底上げを願った慣習だったのではないか、と考えるが、プロレスというスポーツ分野にも、エンタメ業界にも属せない日陰者が次から次に「議員先生」を目指すのは、被差別ジャンルに属する卑屈さの表れなのだろうか。
猪木のように国会に卍固めしなくても、船木誠勝のように役者に憧れなくても、あなたたちプロレスラーは、プロレスラーのままで、僕らの先生だよ。

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「頑張っている」ふりをしているだけ

まだ、参政権を持ってなかった高校生の頃。
ひと月ほど、青春18きっぷで全国を野宿しながら彷徨っていた夏休みがあった。
(その30年後も、まだ野宿して、彷徨っているとはな!絶望…)

ある日、東京中野の路地裏で、ハンドマイクを片手に街宣活動している女性立候補者を見かけた。
彼女の周囲には人っ子ひとりおらず、ときおり通る通行人に訝しげな視線を投げかけられながらも、熱心さだけは伝わる語調で、未来への希望めいた演説をしていた。

選挙に出るような人は、「理想に燃えて、実直で、誠実で偉い大人」なんだろうという幻想を持っていた僕は、ただ一人の聴衆となり、彼女の演説を15分ほど立ち聞きした。
演説中は、僕と一切目を合わせなかったその立候補者は、やがて誰にも届かない感謝の言葉を述べてマイクを置いた。

「君、いくつ?」

「高2です」

「そうか。ご両親はこちらの方?」

「いや、夏休みで遊びに東京に来てるんです」

「そうか、じゃあお父さんによろしく!とも言えないね。どうだった私のお話は?」

「よく、わかりませんでしたけど、頑張ってるなぁ、とだけ思いました」

「そうね。ハッキリ言うけどね、頑張ってもいないんだよ。私らは、この選挙期間だけ2週間だけ頑張ってるフリをしてるだけ。当選するために、この期間だけ舌を出しながら、嘘の笑顔で喋ってるだけ。あなたのご両親や、あなたの方がよっぽど毎日頑張ってるんだよ、本当の意味でね。こんな事あなたに言ってもだけど…、よく憶えておいてね」

短い会話を交わしたあと、その立候補者はトラメガとスピーカーを抱えて、近くの雑居ビルに消えていった。

よく憶えている。
彼女との会話のあと、テレビに映る選挙期間中の「雨に打たれながら」「スーツ姿のまま田んぼに入る」「涙ながらに」といった扇情的な立候補者の行動は、頑張っているフリをしているんだなと思って見るようになった。
その後当選し、議席を確保して、収入を得、利権を濫用する国会議員の不祥事を目にするにつけ、彼女が言った「頑張っているフリ」という言葉の意味がよく分かるようになった。

期日前投票する

という訳で、頑張っているフリを眺めるのはどうでも良いので、実績とこれからの政策で投票しましょう。

 

西成での安宿生活を始める前に、一旦故郷へ住民票を移した。
よって、遠隔地からの不在者投票になる。

隠しているのも面倒なので、書きますと、僕の住民票は石川県金沢市にあるので、金沢市選挙管理委員会へ「不在者投票宣誓書」を記入し送付、投票用紙を請求せねばならない。
面倒だ。

この宣誓書の書式は、統一されているので、どっかのサイトからDLして、コンビニでプリントアウトする。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000107625.pdf

面倒だ。

Web上で済ませられないので面倒である。
でも、頑張っているフリをして、面倒さを乗り越えることにする。

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この「不在者投票請求書・宣誓書」に必要事項を記入し、先週土曜日に金沢市選挙管理委員会宛てに送ると、4日後には届いたので、大阪私書箱に受け取りに行った。

僕の場合は民間の私書箱と契約しているので無事に受け取れたが、ホテル住まいや居住住所が固定されていない人の場合は、郵便局留などのサービスを利用する必要があるだろう。

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届いた封筒は「開封すんな!開封したら無効!」的な文言がサイトに記載されていたので、封筒は開けずに近くの西成区役所へ。

www.city.osaka.lg.jp

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別室で投票する

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午後2時過ぎに西成区役所に到着。

なぜなら昼過ぎまで寝ていたから。
期日前投票ができる時間は、8時半〜20時(直前の1週間は21時まで)
区役所前では、どこぞの政党の公認候補者が、今から頑張っているフリを始めるようであった。

天王寺あたりには、岸田文雄総理が応援演説に入るような街宣もあったようだが、西成あいりん地区付近では、ほとんど候補者を見かけない。費用対効果を鑑みたら、この辺に来る価値は薄いんでしょうね。キッシーとか来るとは思えんもの。
しかし、キッシーといえば希志あいのを思い浮かべる。岸田文雄はとくに見たくないが、希志あいのが応援に来るのなら、間違いなく見には行く。投票は多分しないけど。多分だ。

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ロビーには、投票所が設けられており、遠隔地への期日前投票がしたい旨を伝える。

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「今、係りのものが来ますのでお待ちください」とのことで、どこぞに電話をかけている。西成区選挙管理委員会は同建物内にあるので、連絡してくれているのだろう。

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3分ほどで、紺のジャンパーを羽織った選挙管理委員会の方が現れ、役所内の面談スペースのような場所へ引率される。

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このスペース内で、係りの方に封筒を手渡すと、彼が開封

中には、不在者投票の説明と投票先(個人・比例)が書かれたペライチ、に加えて透明な袋に入った投票用紙が。

「ああ、そのビニール袋を開封しないでくれ、という意味なんですね」

「ええ、そうです。封筒自体は開封してもらっても良かったんですよ」

「すみません、よくわからなかったんで」

「いえいえ」

選管の方が、透明な袋から投票用紙と投票用紙を入れる封筒(個人・比例政党・裁判官国民審査)を示してくれ、生年月日を聞かれ本人確認される。

「私は席を外しますので、コチラで記入してください」

と、例のプラスチックのボディにペン先がくっつけられたペンを渡される。
クリップペンシル」というのだね。アレ。

 

石川県は、いかんともしがたい強大な保守王国であるので、僕の一票なんざ鼻クソな訳であるが、巷間言われるように選挙とは、
「同じクソの中から、よりましなクソを選ぶ」
作業であるので、鼻クソの価値を万感込めて、クソの名前を記入する。

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投票用紙は、二重に封かんする必要があり、まずは小さい封筒にクソを入れ、

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その内封筒を、ひと回り大きい外封筒に入れ、外封筒には投票者の氏名を書き入れる。

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比例の投票用紙も同じく。

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そして、3通目。
最高裁判官国民審査も同様に。

民意によって、最高裁裁判官を罷免できるというのは名ばかりで、制度実施以降ひとりも辞めさせられていないという全く機能していないクソなシステムである。
今回は、先ごろの「夫婦別姓を認めないことに対して『合憲」としたか、『違憲』としたか」という判断基準があるので、少しは機能するやも知れないが、望み薄である。

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この各裁判官の氏名の上に設けられた欄にハッキリと
「×」
印を記入しなければならない、という所もまたクソなシステムで、「◯」を書いたら無効になり、何も書かなければ信任となる。
この記入方法を反転させて、辞めさせたくない裁判官には「◯」を書き、無記入ならば罷免希望とすれば、結果は違うような気もする。性善説クソ食らえ。
何より、「どうせ辞めさせられないもんね」とたかをくくっている裁判官が、積極的に自らの判決の正当性をアピールしなければ罷免されてしまう、という危機感を持つようなシステムの構築と広報活動に勤しんでもらいたいものである。

もちろん僕は、たくさん「×」を書いた。
頑張っているフリすら見せてくれないような裁判官はクソ・オブ・クソであろう。

ゲームを見守る準備

3通の封かんを終え、選管の方に渡し、投票終了。

「これで、自分がすることはないんですよね?」

「そうです。確かに投票用紙はお預かりして、お送りしておきますのでご安心ください。ご苦労様でした」

 

「ふさわしい候補者がいない」ということの意思表示のために、白紙投票する。
という投票行動をしていた時期もあるのだが、
「白紙投票が一定数集まれば、再選挙」
といったような制度がなければ、結果としては「投票しなかった」ことと変わらないことに気付かされたので、やめた。一応ね、鼻クソでも投じるしかない。

何らかの事情で住民票と居住地が異なる方は、上記の方法を参考にしてください。
まだギリ間に合うのでは。

まあ、面倒で即時性に欠けるシステムですが、こんなクソなシステムを変えるのも、僕らの鼻クソを集めて、でっかいクソにしてぶつけるしかないのではないか。
そんな風にクソはクソなりに思うのでした。

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