2021年4月26日。
「快活CLUB」で目を覚ます。
頭上には、爽やかな淡く青い空が広がる。
肩に食い込むバックパックを背負い、えっちらおっちら西成に向かう。
なんだか、バックパックの重量が軽く感じるようになった。
この感覚が、自らの生活を受け入れてきた成果なのかどうか、は分からない。
この天満から西成あいりん地区までの移動を一気加勢に行えれば良いのだが、たいてい途中下車する。
なんにも、背中の重みを受け入れてねぇじゃねーか。
公園のベンチに座って、近所の子ども園のワラーべたちが駆けずり回り、駆けずり回るワラーべたちを中腰で追いかけ回る保育士たちも眺める。
平日の午前中にただ公園のベンチにしどけなく座り、死んだような目で彼らを眺めている僕は、彼らの目にはどう映っているのだろうか。
完全に「不審者」。
こんな暮らしを始める前の僕ならば、今の僕の姿を見てなんの躊躇もなく「アイツは不審者だ!」と断言するだろう。
いくら抗弁しても、「オラ不審者などでは、ねーだ!」と叫んでも通報されたら一巻の終わり、のような気がする。
人は見た目と醸し出す空気が全てだ。
今の僕が発信している情報は「不審者」でしかない。
公園の塀に写る影が、葡萄のように見えた。
ぶどう狩りとかしたことないな。
一生しない気がする。
狩りなんてしない。
狩るとしても、実体のない影だけだろう。
ゲジゲジに襲われる
西成に到着したが、もう少し陽の光を浴びていたい。
本日二度目の、公園でのレスト。
西成近辺の公園には、灰皿がわりのカンカンや、設備として設置されたわけではないインディペンデントチェアーが置かれていることが多い。
住まう人々に寄り添った機能がある、それが公園。
ここに居れば、「不審者」とは見られないだろうか。
「不審さ」を感じさせる基準が、ココと向こうでは違う。
ところが、春の息吹と啓蟄の陽気が、僕を攻撃。
頭上の樹木から、毛虫やゲジゲジが落ちてくる。
次々と。
毛虫とゲジゲジの使い分けは分からない。
毛虫やゲジゲジにとっては、この場所でも僕は「不審者」である。
通りを挟んだ高校のグラウンドでは野球部の大きな声が聞こえる。
すると、場外ホームラン。
ボールが毛虫公園まで飛んで来た。
元気があるね。
投げ返したかったが、緑のネットが高すぎて、あんな高さを越えて投げ返す自信はない。
後から取りに来てください。
新規の宿を探す
「ビジネスホテル スバル」と「パークイン」以外の新たな安宿を見つけるために、あいりん地区をそぞろ歩く。
以前から狙っていた「つかさ旅館」。
受付に女将さんはいらしたが、
「もう、今日はいっぱいなの」
とのこと。
最近見つけた「アパート もとせ」。
13時まで粘ってみたが、受付が開く気配がない。
断念。
結局、安パイの「ビジネスホテル スバル」に投宿。
今回は土曜日まで6泊。
「1400円の部屋は、冷蔵庫付きなんでしたっけ?」
「そう、そっちも空いてるよ。どうする?」
「…、大丈夫っす。まだ、そんなに暑くはないですもんね」
「ビジネスホテル スバル」への不満は概ね無いのだが、エレベーターが遅いのが玉に瑕。
その遅延ベーターに乗り込もうとしたら、リニューアル工事の貼り紙が!
思わず、
「なんと!ついにエレベーター早くなるんですか?」
とオヤジさんに聞きに行ったら、苦笑いしてました。
食わねぇ、から飲んで寝る
砂糖の入った、もしくは人工甘味料がドバドバ入った飲料で空腹を紛らわす。
星野リゾートの建築は着々と進行し、西成の街は平常運転であった。
収入
10000円(口座から)
使った金額
漫画喫茶宿泊代:2000円
宿泊代:7800円
駐輪場代:150円
コインランドリー(洗濯):200円
烏龍茶 煌:117円
午後の紅茶ミルクティー:127円
レジ袋:3円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:800円(二個分)
所持金
8,848円