暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

西成で暮らす。38日目 「ダウナーな語り口が続く」

2021年4月10日。  

昨晩は、人の金で、ビールの大瓶を4本ばかし空け、したたか酔い、西成に戻った。
あまり記憶がないが、ドン・キホーテに寄って、スイーツやスウィーツに準ずるモノを買い、食したようだ。
そのことは、今朝起床し、布団の周りに転がっている残骸を見つけて気付いた。
アーバンな暮らしの怠惰な生活めいた香りがそこにはあった。

前向きな文章にならない

昨晩、友人から言われたこと。

「話すとアッパーなのに、ブログの文章が“暗い”んですけど。どうなってるんですか?」

確かに、パソコンに向かって思うさまつらつらキーボードを叩いていると、自然俄然内省的な語り口になってしまう。

自分の嫌いなポイントは有り余るほど、二万字インタビュー全15回でも語り尽くせないほどある。代表的な点として、

笑い声が阿呆みたいなこと

がある。

ダイアローグでは、相手とのグルーヴが生じ、僕も有る事無い事口からでまかせに喋り、自分の語りに自分がノッていくような展開になり、ケラケラ見苦しい声を上げて笑うのだ。
時にそれは、「鼻で笑う」ような趣きを帯び、そこには「何でもかんでもバカにする」ような自分の持つひねくれた属性が滲む。
ただ、話を聞いてくれる相手に甘えて、阿呆のように笑う。

西成で、仕事を得られず悶々と息を殺して過ごす時間では、徹底的に己と向き合うモノローグが果てしなく続き、いきおい愚痴や憂いが漂う方向に流れる。

もっと前を向いて、もっと建設的な語り口を志さねばならない。
反省と逡巡と後悔ばかりのブログなんて誰が好き好んで読む?
それでも、毎日を楽しむことが肝要で、楽しんでいなければ継続していかない。
「よーし、明日も3時起きで仕事探すぞーーー」
みたく、無理して行こう。無理して楽しんでこう。

 

二日酔い、を言い訳にして現金仕事を放擲し、8時半に西成から天満に移動。
泥酔運転防止のために駅前に停めていた自転車をピックアップ。

コンビニに届いていたモバイルバッテリーと自転車のサドルカバーを引き上げ、至近の公園で開封。ウーバーやるにも設備投資や維持保守費がかかる。

これまで、
サドルの外皮が破れる→そのひび割れに雨が染み込む→ひび割れから延々と水分が染み出す→ズボンのちょうどアナル付近にシミが出来る→ガムテ補修で急場をしのぐ→俄然、みすぼらしさが増す。
という悪循環を繰り返してきたので、循環打破。

商品名『メチャノビBIG』

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装着の儀。
どのような比較で、「メチャノビ」なのか「BIG」なのかわからないが、とにかくサドルはカバーされた。ダサいとか言わないでください。
じゃあ、アナタにとってイケてる自転車サドルってどういうものですか?
↓この頃よりは、現実は糊塗出来てるから良い、とします。

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9時〜21時半まで、途中2時間ばかし休憩しながら¥11,748也。

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島流しにあう

当然のことだが、ウーバーイーツの配達依頼は「人が多く住んでいる地域」と「加盟レストランが多い地域」の兼ね合いとバランスによって、その多寡が決まる。

大阪でいえば、梅田と難波という二大都会に加えて、新大阪辺りがホットスポット
時間帯によっては、上記の地域で料理をピックアップすれば「プラス125円!」のようなボーナスも付与される。
「シミ」と呼ばれるゾーンである。

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僕らウーバーイーツ配達員は、「シミ」のゾーンで配達依頼を受け、仮に配達先が辺鄙な住宅地に飛ばされれば、もう一度シミゾーンへ戻ることで継続して配達依頼を受けやすくする。
住宅地でいくら待機しても、配達依頼が舞い込まないからだ。

このピストン運動を繰り返さなければ効率的には稼げない。
だから、毎回100キロ以上自転車を漕ぐ。

この日は、夕方に梅田から淀川越えで新大阪に飛ばされ、続けて豊中市に飛ばされ、(ここでピストン運動で繁華街に戻ればよかったのだ!)
結果的に20時前には吹田市まで飛ばされてしまった。
ふと、配達を終えると目の前に「太陽の塔」が屹立していて、戦慄。

宿泊のために天満に戻るのに、90分を要した。
流れ流されて、戦略もなしに生きているとこんなことになってしまう。
ウーバーでも、最近の己の生き様にダメ出しをされたようであった。

なぜ嘘をつくのか

今日のウーバー中の一時休憩中。
近くの商店主に、「ウーバー儲かりまっか?」と話しかけられた。
ので、少し雑談したのだが、途中

「ウーバーで食べてんの?」

と問われ、

「いえ、普段はガチャガチャの商品企画してるんですよ!今日は会社が休みなので、やっているんです」

とウソを吐いた。
クソみたいなプライドだと心底思うが、「ウーバー専業です!」「西成日雇いあぶれ組です!」と正直に言うのが恥ずかしくて、デタラメを答えた。
カッコ悪すぎる。

菊地成孔がかつてラジオで、自らの職業を「ジャズミュージシャン」とは答えず、
「コンビニおにぎりの外装デザイン」
と答えていることを知ってから、その影響もあろう。

下手に「ガチャガチャの商品企画」なんて答えてしまうと、今度は話の矛先がウーバーからそちらに移行し、どんどん追い質問が飛んできてしまう。
それに対し、
「実は、業界にはパクリは3回まで、っていうルールがありまして…」
とか、
「この先は、500円のガチャが中心になってくる」
とか、ガチャポン業界通みたいなトークをデタラメにし、それに相手が不用意にうなずいてくれていたりすると、上手くウソを吐けている実感があって、爽快。

なんて、底意地の悪い人間なんでしょうか。
クズ。

 

天満に戻り、溜まっていた洗濯物をコインランドリーに突っ込み、西成価格から見れば驚天動地の、洗濯+乾燥=1200円!という大枚をはたいた。

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流石に、太ももやふくらはぎが痛い。
もう、あちこち痛い。あっちこっち丁稚

先週すっ転んだことで、自転車の前輪に歪みが生じているので運転効率も落ちている。
坂道を突っ走っている時など、このまま大破するのではないか?というくらいの異音がする。
自転車、買い直しなのかなぁ。そんな金ない。

 

「快活CLUB」に入り、深夜2時には眠りについた。

 

使った金額

交通費:230円
駐輪場代:150円
コインランドリー(洗濯・乾燥):1200円
サドルカバー:580円
モバイルバッテリー:1980円
おにぎり・焼きドライカレー:162円
おにぎり・胡麻さけ:130円
ジャイアントコーン・コーンポタージュ味:650円
お惣菜・大きなイカフライ:137円
どらもっち・苺&みるく:151円
Wハンバーグパン:167円
梅しそチーズチキン:124円
カルピス・バナナ&ヨーグルト:80円
紅茶姫マイルドミルクティー:50円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円
 

所持金

6,505円

西成で暮らす。37日目 「友人とは誰か」

2021年4月9日。 

期待感を持って、その期待を裏切られることは切なくツラい。

本日も、西成は快晴。
フラれてバンザイするのが億劫で、今日も早朝の西成現金仕事求職活動は、せなんだ。
「だって、今日は友達と会うから」
それが表向きの理由で、本心からの希求でもある。
表裏なんかもう僕にはないのだよ。

 

ただ、「なぜ西成に居るのか」という己が目的やゴールがブレまくっている。
3月いっぴから、この生活スタイルをスタートさせた時には、「西成で暮らしていくうちに、きっと何がしか見つかるであろう」であろうぞ、とタカをくくっていた。
しかし、どんな幸甚も向こう側から、千切れるくらいに手を振りながら近づいてきてはくれない。

日雇い仕事が得られないのだとしたら、少しでも「イマの西成」を体感し、それを自分なりの回路で伝えねばならない。

「ねばならない」とか本当はイヤなんすけどね。
強制されて生まれるものなんてない、もしくはろくなもんじゃねぇ、ぴいぴいぴいだと。

でも、きっとこのままじゃ埋没します。
生みだせる可能性も閉じてしまう。

100本でいいですか?

「千本ノック」
ていうヤツありますよね。
照明設備も整っていない荒れたグラウンドで、そのユニフォームを目一杯汚しながら、自身のプライドを傷付けながら、それでも自分のポテンシャルを信じながらの守備練習。
高校球児のイメージですね。

青空球児・好児のイメージはカエルですね。
ああ、そうか!
イマの今気付きましたが、U字工事って球児・好児のパロディなんじゃないですか?
西成に来たから、こその気付きである。

ので、何が「ので」なのか回路が乱れているが、
なので、これから西成の人々にぶち当たって、メチャぶつけで話を聞いていく(インタビューとかいうと大仰ですが、)シリーズを始めたいと思う。

1000本、1000人、となると始める前から挫けちゃうんで、100人目標。
「ある!ある!ある!」、『クイズ100人に聞きました』ですね。
相変わらずモチーフがクソ古い。いにしえ。

 

東京でテレビ番組のバイトをしていた頃に「街録」という作業をしていましたが、インタビューって断られると、ガクッと心が痛み、断られ続ける果てに精神力がマイナスを叩き出すんですよね。

 

大体が、社交的でも陽性でも話好きでもないタチだ。もちろん妖精でもない。妖精なら良かったのに。
学校でも、仕事場でも己が心を開いて、相手の心を開かせるのに楽勝で最短で2年はかかる人間。
これがWEB制作会社でクライアントとか、採用サイトのための取材とかする際にはズケズケいけていた。ライターで取材していた時にも。
不真面目だからでしょう。聞きたいことだけ聞いて、あとは捨象して、作る前から結論を設けて、そこに落とし込む言葉だけを待っていたから。
サイン通りに投げてくれるピッチャーとしかコミュニケーション出来ないキャッチャー。
今日は、野球例え多め。
野球の話するのも旧人類感ある。いにしえ。

これから始める
「西成100本ノック」
は、気合い入れて、しかしサラッと話を聞かせてもらおう。
「この街で暮らすこと」「この街で暮らして来たこと」「この街で暮らして行くこと」
そんな市井の声を拾っていきたい。

 

という訳で、まずは投宿中の「ビジネスホテル ちとせ」のラウンジからスタート!
ラウンジ?っていう感じじゃあないかも知れないが、このホテルの一階の一角には宿泊客や福祉アパートとしてこの場所で生活する人たちの集う場所がある。

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ここで、しばし一服していると70がらみのオヤジさんがやって来て、スポーツ新聞を広げ始めた。

「今話しかけちゃあ、競馬の予想に差し障るかなぁ」

とか躊躇しているうちに、ラウンジ内はテレビを見る人、ボーッと外を眺める人、爪を切り出す人、らで混み合い出す。

それぞれが、それぞれの時間を過ごしており、やすやすと話しかける間隙が見つからない。
思い切って、

「今日は、割とあったかいですね!」

と隣でタバコに火を点け、虚空を見つめていたオッチャンに話かけたらば、ガン無視された。
しかも、この発言きっかけでラウンジ全体に
「お前、なんでココにおんねん」
的なムードが漂い始める。

いたたまれなくなり退散。


街へ出る。
あいりん地区の路上には、うんこ座りをして日向ぼっこしているオッチャンも多くいる。

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その中のお一人に、

「今日は、割とあったかいですね!」

と声をかけてみる。

「そうやな」

「日向はいいですね。日陰は寒いですかね、まだね」

「何が言いたいんや」

「…そうですね。すみませんでした」

 

第一、本日の陽気に関する第一声が間違っている気がする。

“インタビュー時のアイスブレイクテクニック”
みたいなハウツー記事は会社員時代いくつも読んだがなぁ。
誰も「西成100本ノック」のコツは教えてくれなかった。当たり前。

 

心折れた!
でも、頑張った!

二打席立った。
凡退した。

だから、野球例え流行んないってよ。

もちろん、今日の二打席は「100本」のうちには入らない。
しっかり、まとまったインタビューを100本こさえたい。
20年くらいかかるかもね。
でも、これから恒常的にやってみます。

友人と会いに行く、というか奢られに行く

友人とは何であろうか。
武者小路実篤でも読めば分かるのだろうか。
中原中也小林秀雄の関係を眺めれば理解できるのだろうか。

 

小学生の時。
安藤という名前のクラスメートがおり、彼の外見的特徴がいわゆる“ギョロ目”であったことから、「きよし」や「ギョロっぺ」といったあだ名で呼称されていた。
僕と安藤は、時おり教室で話す程度で、竹馬の友でも親友でもなかった。
彼の実家は食堂を営んでおり、その事で安藤が給食係になったりすると「安藤食堂!不味そ〜う」みたいな揶揄に晒されていたものだ。

小学校の卒業式。
もっと、ドラマチックなイベントを想像していたのだが、特段、落涙させられたり、想いを打ち明けられたりするようなメイクドラマは起こらず、僕はいつものように一人で帰路についていた。変わったことと言えば、卒業証書の紙筒をシュポンシュポンさせたくらいのことであった。

その帰り路。
たまたま、安藤と会った。
彼もいつものように一人実家の食堂まで歩いていた。

なんとなく僕たち二人は近所のドブ川のへりに並んで座り、小学校生活をダイジェストで振り返ったりし、自分たちの卒業という一大イベントの終了をいたずらに引き伸ばしてみていた。

その時、安藤が言った一言に僕は驚かされた。

「竹下って、俺のことあだ名で呼ばなかったよね。食堂のこともバカにしなかった。すごく嬉しかった」

正直言って、それは僕の安藤への興味の無さから発していた振る舞いでしかなかった。
しかし、安藤はそのことを持って、僕を「友だち」だと認識してくれていた。

僕はズルいから、もう小学生にして小狡い人間だったから、

「ああ、安藤は“あんどう”だよね。あだ名で呼ぼうとかなかったよね」

みたいな返答を確か、したはずだ。

そうしたらば、安藤は泣き出し、僕のその興味の無さから発していたに過ぎない態度に感謝の言葉を重ねてきた。

安藤にとっては、僕は誠実に向き合ってくれる友人であったのだ。
意外であったし、よく理解も出来ていなかったが、その時僕は「友人」とは一方通行でも良いのだと思った。向こうがどう思っていようと、ボタンの掛け違いがあろうと、勘違いだろうと友人を定義するのは、友であってくれたと感じる己なのだと。

それからも、僕と安藤の関係は極端に深まるようなことはなかったが、節目節目にお互いの近況を報告する関係であり続けた。
もう20年近く連絡を取っていないが、今でも僕と安藤は友人関係だと思っている。

 

畢竟、今日僕に会いに来てくれた友人も、僕が一方的に友人だ!と感じていれば良いという話。
梅田で待ち合わせ、曽根崎の「居酒屋 松屋」で2時間ほど痛飲。

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僕が西成暮らしのあれやこれやを愚痴っていると、彼が、

「会社辞めて良かったと思います?後悔はない?」

と聞いてきたので、その質問にはハッキリと

「ない!」

と即答できた。
今も、日々の仕事やお金の奴隷のような生活かも知れないが、会社員時代も仕事やお金の奴隷でしかなかった。ただ、自分の選択肢がある奴隷であることに自由さは感じるのだ。

「ある!ある!ある!」は、『クイズ100人に聞きました』の話。

ただ、彼の宿泊先の梅田のホテルのロビーを見て、いつもの西成安宿とのギャップは感じたが。

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その後も、これからの西成生活および当ブログの展開などについても意見をもらい、大変有意義であった。

そして、何より有意義であったのは、その居酒屋のお会計を彼が負担してくれたこと。
ただ、丸々奢られたわけではないことを、ここに表明しておきたい。
全5,500円くらいのうち、200円だけ出しました!

つまり、結論めいたことを書けば、

「奢ってくれる人、みんな友だち!」

金銭の奴隷にとっては、金銭からの解放の一助をもたらしてくれるのは、良き友の存在である。
また、奢って欲しい。それは切実に。

別れがたく、春だというのに肌寒い大阪駅周辺をウロつかせてしまった。
別れがたい。とか言うのも一方通行で良い。それが友人だもの。

「お土産買ってなかったんで、コレを…」

と、タバコをワンカートン渡してくれる。
いやぁ、やっぱり君は友人だ。
最低。

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ちなみに、「西成100本ノック」と「友人に200円奢ってやる」の間は、ウーバーイーツしてました。10時半〜15時まで稼働で、¥3,502也。

オイ!
そんなにやったのかよ。
もっと、100本ノック頑張れよ!
分かってる、頑張る。

 

使った金額

交通費:180円
居酒屋 松屋(夕食および飲酒):200円
明治・ガルボバナナミルクポケット:143円
お惣菜・一口ハッシュポテト:176円
2種類のクリームたっぷりシュークリーム:52円
鈴の屋・きなこ棒:149円(二個分)
菓子パン・バナナチョコ:95円
パリッテストロベリー&ショコラ:106円
伊藤園お〜いお茶濃茶:181円
miuレモン&オレンジ:100円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円
 

所持金

12,696円

西成で暮らす。36日目 「体感的な休憩」

2021年4月8日。 

本当に虚しいことだ。

今日は早起きをしたんだ。
早いって言っても、どのくらいだと思う?
3時15分なのさ。
そして、今週初めての「仕事探し」をした。
けれども、仕事は無かったのさ。
ここまでの語り口は佐野元春調でお送りしました。

 

ただ、現金仕事に関しては朗報もある。
これまで二度お世話になったお馴染みの地盤改良仕事が来週月曜日に入りそうだ。

ただ、現場仕事というのは、簡単に飛ぶようで。
前日になって「無くなったー」
当日になって「今日、来れんのけー」
といったカオスっぷり。
期待せずに、希望していよう。

 

帰省から戻ってから、ここまで収入がヌーなので、そして腹も極度にグー。
なので、ウーバーイーツへゴー。

大阪においては、日中はペダルを必死こいて漕いでいればTシャツ上等。
しかし、日が陰ってからはコートでも羽織りたいくらいの気温。

UEにおけるThursday

ところで、木曜日という曜日は1週間の中でどういうポジションを占めているのだろうか。

健全な社会を営んでおられる方々にとっては、
「恐怖の月曜日」「まだ、水曜か…」「『笑点』終わったあたりで自殺したくなる日曜日」などといった各曜日の持つイメージや役割が存在するのだろう。

今や僕は曜日を意識することもない生活。
「仕事か?」「仕事が無いか?」
のローランド的な感覚。

ウーバーイーツにとっては、木曜日とはどういう曜日か?
「意外に朝から夜まで配達依頼が入る曜日」

誰もが思わず外出せずにウーバーイーツしてしまう日曜の繁忙さは別格としても、週末の金曜や土曜よりも木曜日に注文が入る。
あくまで、僕の体験的知見だが。

よく、「ウーバーイーツ配達員の仕事のコツ」みたいな検索結果を目にするが、僕はほとんどその執筆者の体感でしかないと思う。
「トイレに行くと絶対個室が埋まっている」みたいな、“晴れ女”や血液型別性格診断レベルの話。
個人的な体感を、常識や実際に持ち込むから、いさかいや誤解が生じるのではないか。
閉じた世界の所感を、公に持ち込まないで欲しい。
思い込みや、データとして価値のない個人の経験はあなた以外の誰とも共振しない。
「竹下さん!何かあったんですか?」
という勢いで書いていますが、何もないです。何も。

という訳で、あくまで僕の体感では「木曜日は儲かる!」のですの。
そして、今日木曜日も快調に9時〜19時までで、¥11,689也。

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途中、信号待ちで並びになったうら若き女性配達員の方に、

「今日、どうですかー?」

と笑顔で問われたので、

いいですよー。数珠ってますねー(「数珠る」とはウーバーイーツ界隈で、1件目の配達完了前に、次の配達依頼が予約状態で舞い込み続け、延々とペダルを漕ぎ続ける状態を指す)」

と笑顔で返すと、その後10分先の配達先までなんと一緒になったので、しばし並走し、束の間のランデブーをした。
学校の図書館で本棚に手をのばしたら、たまたまツルゲーネフの『初恋』を手にしようとした隣のクラスの女子の指先とぶつかり、一瞬で恋に落ちるような出来事であった。
しかも、その後彼女は

「何件目ですか?ちょっと休憩しませんか?」

と缶コーヒーを買ってくれ、近所の公園で他愛のない、あくまで個人の体感としてのウーバーイーツ噺などに興じた。
「休憩!」と耳にして、「ご休憩¥4800」的なネオンが脳裏をよぎり、いっそこのままチャリ並走でラブホにインしてしまいたい欲求などに駆られたことは絶対にここだけの話にしておいて欲しい。絶対にだ。

思えば、こんなに長く異性と会話したのは、この西成暮らしを始めてからなかった。
あらゆることから遠ざかっていくんだね。

 

ウーバー歴3ヶ月のハリキリ女子の笑顔に元気をもらって、夜まで頑張れました。
そして、かくいう自分はちゃんと笑えていたのかな?
僕の、笑顔は見苦しくなかったかしら、と反芻し、ちょっぴり落ち込む。

かつて、TBSラジオで南部広美が昔付き合っていた男に振られた理由が「お前の笑顔には本当がない」だかで、そのことを聞いたジェーン・スーが「バカじゃないの。どうでもいい男だね」と返していたのを思い出した。
「私はうまく笑えていたかしら」なんて思うのは、自己愛の無様な表出でしかない。

 

ところで、配達先のエレベーターの階数ボタンが縦に長ーく1列設定だったので、驚いた。
休憩話以外のウーバーイーツトピックスは以上。

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西成に戻り、「スーパー玉出」でお惣菜を買い、安宿で黙々と食事。
誰とも話さない生活。

明日は、友人が関西での用事のついでに大阪にも寄ってくれるそう。
タダ飯の予感。
それは確信。
明日のことは、明日になれば嫌でもわかる。
未来への憂いも不安も暮らし続ければ、やがて見えてくる。
生きてるって、そんなことなのかもね。

 

使った金額

セリア・厚口画用紙:110円
ハムカツミックスサンド:108円
げそ天:108円
牛肉コロッケ:108円
テンダーチキン:216円(二個分)
ペアシュークリーム:82円(二個分)
菓子パン・ミルククリーム:95円
いかるが乳業・フルーツ:117円
チェリオ・セーフガード:100円
miuレモン&オレンジ:100円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール12mm:800円(二個分)
 

所持金

14,478円

西成で暮らす。35日目 「無為徒食」

2021年4月7日。 

身体が痛い。

もう、おなじみになってきて、お馴染み過ぎて、もう自分自身反吐が出る。
自分への絶望感で反吐が出る。

自転車で1回転した打撲症状が尾を引いている。

そして、あまつさえこの日は一枚たりとも画像も撮っていない。
Amazonで自転車ライトを注文したくらい。
金曜日には近くのローソンで受け取れるようだ。

モノを注文したり、イベントのチケットを買ったり、旅行の計画を立てたり、今この時間より先の事象に関わろうとしている自分を認める度に、
「明日があると思うなよ」
という気持ちになる。

今日は、風呂にも入らず、ラジオも聞かず、12時間ほど眠った。
よくこんなに眠れるなぁ。
成長するわけでもないのに。
なんのために眠るのかなぁ。
馬鹿馬鹿しいなぁ。
身体痛いなぁ。

 

腹減ったなぁ。

一歩も外に出なかったんだなぁ。
西成に居るのか、入院しているのか、夢でも見ているようだった。
夢でも見ていりゃ良かった。

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使った金額

ナシ
 

所持金

16,422円

西成で暮らす。34日目 「ひねもす のたりのたり かな」

2021年4月6日。 

目覚めたら、もう朝ではなかった。
それは、目覚ましアラームをかけ忘れていたから、否あえてかけなかったから。

ある朝、グレゴール・ザムザが不安な夢からふと目覚めてみると、ベッドのなかで自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた。

『変身』カフカ

ある朝、竹下キノが不安極まりない日常を忘れるために眠りに逃げ込んでいると、西成の安宿の万年床の上で自分の姿が、めっきり老け込んでしまった一体の不完全な死体になっていることに気がついた。

という感じ。
どういう感じでしょうか。
早朝の求職活動をサボってしまった果ての状況です。

小春日和

昼前の西成あいりん地区は穏やかで、どんどんと春に近づいてくる陽気が僕にとっては、いらだたしかった。

商店街、ファミマ前に並んだガチャポンのラインナップが、ジーコJAPANだった。
時よ止まれ、君は美しい。

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コインランドリーで洗濯を待つ。
それだけしか、しなかった一日と言って良い。

洗濯しながら 運命を待っている

酩酊しながら 運命を待っている
心ニ雨ガ降ル

 

『未ダ未ダヨ』
作詞・作曲:吉野寿
eastern youth

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今回のブログには、なぜこんなに引用が多発するのか。
それは、何も。何一つ書くことがないから。

絶食という習慣

働かぬ日々が続く限り、固形物を口にしない。
絶食が週に一度二度あるのは、なかなか良い習慣のように思える。
頭がハッキリとして、身体が軽くなる。
そして、無駄なことを考える。
考えなくても良いことを考える。
メシのことだけ考えるよりは、いくらかマシな精神構造かも知れない。

 

「ビジネスホテル ちとせ」の部屋に戻り、横になって窓から差し込む春の陽光に己が手をかざす。

何にもなかった。
何にもしなかった。
何にも書けなかった。

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いつに間にか夜だった。

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使った金額

コインランドリー(洗濯):200円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール12mm:400円
 

所持金

16,422円

西成で暮らす。33日目 「繰り返す傷害」

2021年4月5日。 

 

月曜日か。
『一週間』っていうロシア民謡ありますよね。
アレって、日曜に市場で糸と麻を買ってきたくせに、月曜に風呂焚いて火曜に入って、水曜にダチを迎えて、木曜に送って行って、金曜なんか「糸巻きもせず」っていう実質ゼロで、土曜なんかはダチも居ないのに「お喋りばかり」っていうほとんどノイローゼ状態で、「一週間って早いよねー」という内容。

こんな感じで年取るんだなぁ。っていう光陰矢の如し感があって良い。
こんな感じでダラダラと僕の「西成暮らし」も実質ウーバーイーツ稼働三昧で光陰矢の如しなんでしょうか?
いやぁ、良くない。良くないです。
何かしなければ。

 

ただ、もうめんどくさい。
そう、面倒なの。
街に出て、現場作業してる人とか、工事現場見ますよね。
なんか見ただけで、畏怖と恐怖が己の身体中に湧き立つのを感じる。
泥、コンクリ、足場、防音シート…、嫌悪感に近い。

「めんどくさい」
が全ての始まり。
こうやって、人生は投げ捨てられて行く。そんな気がしています。

一回転する

8時半に「快活CLUB」を出て、
9時半〜12半までウーバーイーツ稼働。
昨日、ピックアップ先のお店で貰ったアルフォートがあったので、食べながら。

そうしたら、「これで最後にしよう!」と決めた配達のスマホを見ながら運転で、車止めに激突。

右膝、左腕、右肩をしたたか打撲。
もう、笑いが止まらない。
「見ないでくだっせ。哀れな中年男を見ないでくだっせ」
と独りごちながら、周囲の人々の目から逃れて、裏路地で20分ほど地面に突っ伏す。
何でこんなことになるのか。

自転車本体の前輪も損傷した。
もう、この中古チャリも限界か。
もう、何もかも限界なのか。玄界灘か。

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収入は、3,454円也。
銀行に行き、日曜の稼ぎから2万円のみおろす。
残りの6000円でケータイ代くらいは事足りる。

戻る西成

痛みと闘いながら、自転車で西成まで移動。
いつもの無料駐輪場にチャリをドロップ。

新たな宿「ビジネスホテル ちとせ」にイン。
五泊分。

1200円/一泊
の安宿だが、まあ大丈夫!
何が大丈夫って、とにかく大丈夫。
寝れます。屋根があります。湿布が貼れます。湿布はきっと翌朝には小さく丸まって布団の脇に転がっているでしょう。
つべこべ言いません。

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安宿探訪のレポートも随分と滞っている。
もう正直、ブログを書くのも面倒になってきている。
ダメだな。
唯一の生存証明なのに。

風呂場に行ったら、凄まじい獣臭がした。
さっき獣を屠ったのだろうか。
違う。
きっと、今日一日働いたオッチャンの戦利品ならぬ戦利臭だろう。
臭いとの闘いも始まるシーズン。
シーズンインザサン。
プロレスラーからは、シーブリーズの香りがする。
肉体労働者にとって「香り」と如何に付き合っていくか?は、大命題である。

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全身を湯に浸す。
あちこち痛い。
前回やらかした腰の痛みも冷めやらぬうちにまた傷を増やしてしまった。

湯の温度が温い。
傷の回復は遅い。
あらゆることが、めんどうに思える。

 

それでも生活は続いていく。
ウーバーのみならず、日常的にも必要不可欠なのでAmazonで、モバイルバッテリーを買い求めるためにスマホをずっと弄っている。
この西成の安宿でやることか?
かつてと何も変わっていない。

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モバイルバッテリーの軽量さを表すのに、
食パン6枚切り3枚分
というのは、伝わる表現なのか?

人に何かを伝えるとは、どういうことか?
そもそも、伝えられる人間か、僕は。
映画『ジャッキー・コーガン』に確かこんなセリフがあった。

「何をやったか、が重要なのではない。何をやったと見えるか、が重要なんだ」

精一杯やってますよー(半笑い)で何が出来るか。
見える形にせねばならない。

 

収入

26,180円

 

使った金額

貯金:6180円
漫画喫茶宿泊代:2000円
宿泊代:6000円(五泊分)
駐輪場代:150円
ランチパック・ピーナツ:65円
ハムからしマヨネーズ:67円(二個分)
大きなエクレア:54円
じゃがりこサラダbits:171円
えびピラフ味コーンスナック:85円
ベビースター旨味醤油:54円
プリングルス・テキサスリブ味:149円
紗々:117円
烏龍茶煌:117円
ほうじ茶ラテ:95円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円
 

所持金

17,022円