暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

西成 リアル・ワーク・スタイル「現場で働くための正しいファッション」

西成界隈には、多くの衣料品店がある。

現場仕事用の、作業着や安全靴、手袋を売るような店も多いが、作業着メインで破格に古着や出どころ不明なタグの付いたままのサラピンの衣料を扱う店もある。

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「これ、タグのついた新品が300円なんすか?」

「そうよ。お買い得品や」

「出所は…」

「色々やね。季節落ちのモンを仕入れたりね」

深く聞いちゃダメよ!
的なアトモスフィアが漂うので、これ以上は聞かない。聞けないアトモスフィア。

新世界ファッション

あいりん地区から少し歩けば、大歓楽地「新世界」

ここには、労働者向けとは又異なる位相が拡がる。

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「タイガータイガー!着られないガー」©︎タイガー&ドラゴン

みたいな華やかに過ぎる虎たちの跳梁跋扈上等の衣料品が並ぶ。
あるいは、しまむらユニクロなにするものぞ!な意気込みの価格設定で勝負するブティックもある。

新世界は観光地として位置づけられているから、「維新の会」グッズも豊富。
吉村先生のご尊顔を見ながら飲むカフェラテとか最高ですね。

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昨年の選挙時には、大阪都構想グッズも売り出されていた。
Tシャツとか買って、台所マットにしても良かったんですけどね。
アニマルプリントTシャツよりも、着こなすには数段上級テクニックが必要でしょう。

www.daily.co.jp

路上でも買える

また、旧あいりんセンター付近に早朝居並ぶ、ダンボール上で販売される衣料品にも掘り出し物があるかも知れません。
「掘り出すんだ!digるんだ!」
という強い気概と、早朝4時に起きれるならば。

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nishinari-lives.com

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ハードな労働に耐えられる本当のワークスタイル

「ワークスタイル」

みたいなお題目で、ファッションの1ジャンル化している「労働者スタイル」
雑誌『Begin』あたりで特集されていそうなアレ。

でも、アレってみんな働いてないんでしょう?
ワーカーワーカーぶっておいて、ワーカーなフリをしてスタバでグランデ頼んでダベってるだけなんでしょうよ。もしくは、USJ行ったりとか。

僕も、西成に来る際には現場仕事用に、舶来ワークブランドであるところの「ディッキーズ」や「カーハート」のズボンを持参したのですが、もうほとんど死滅。
現場仕事における、セメントや粉塵、砂泥の猛威に耐えられない。

時には、鉄筋に生地を貫かれ、飛び出した釘で破れ、けつまづいて膝が飛び出す。そんな土工仕事には、舶来品たちは次々に根を上げていく。
アメリカ産に期待した僕がバカでした。アメリカさん。

ですので、ハードに汚れが付着しそうな時には、作業ズボン+作業用ロンTの上から

ヤッケ

を着込みます。

www.l-m.co.jp

少しでも、手持ちの作業着を長持ちさせるべく、粉塵や泥はヤッケで防ぐ。
西成界隈では、上下800円ほどでヤッケが入手可能。

仕事内容によっては、1日で油まみれになり、破け果てるヤッケですが、僕らの必需品です。

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軽い雨ならば、ヤッケのナイロン質が身を守ってくれますし、これからの厳しい寒さと闘うために、防寒効果も期待できる、そんなヤッケ。

ぜひ『Begin』あたりでも、
「出来る男の “ヤッケスタイル” 特集」
とか組んで欲しい。
「泥だらけの横顔に惚れる女子が急増中!」
とか、言ってりゃいいんじゃないか。
ついでにコッチは、歯はヤニだらけで鼻毛も伸び放題なの。いや、むしろ歯は無いの。

リアル・ワーク・ジャケットで決めたい

暖かい季節は必要なかったが、もう冬の足音が。冬将軍が待機中。

夏場は、ロンT一枚で良かったが(半袖Tなんか着て仕事したら、17時ごろのは二の腕アザだらけ)、これからはジャケットスタイルも取り入れたいところ。

僕も現在のところは、フレンチ・ワーク・ジャケットで仕事しているんですが、コレでは俗世間を引きずり過ぎ。スタバとUSJが懐かしい。
USJとか行ったことないけど。

57-rue-de-rome.com

ビル・カニンガムの真似っこして、着てたんですけどね。

そんな小賢しいアトモスフィアとかフィロソフィーなんて、ここでは不必要。

www.harpersbazaar.com

あいりん地区の衣料品店には、まさにリアルなワーク・ジャケットがふんだんにある。

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生コン

の刺繍とかいいですね!

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胸元の刺繍のバリエーションが豊富!

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「建設」「電設」「ネーム」

選び放題。

英文、横文字のタグワッペンなんてクソ食らえ。
こういったリアル・ワーク・ジャケットが、300円〜500円のお値打ち価格で手に入る。

とくに理由はないけど、「(有)山本機械」ジャケットあたりを買ってみようと考えています。
見た目優先ではなく実利優先のリアル・ワーク・ジャケットは、異常な量のポケットや頑健な生地で、きっと僕の西成暮らしを力強くサポートしてくれることでしょう。

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とりあえず、今回はひ弱がたたって、股ぐらに限界を迎えた「ディッキーズ」を捨てて、500円でリアル・ワーク・新古品・パンツをゲットして帰ります。

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ハードなワークに耐えろ!ワンコインズボン。

そして、何よりハードなワークに耐え抜け、俺。
肉を切らせて骨を断つ。
安っすいズボンに身を守ってもらって、絶対現場に血を流さない。
と、誓います。
ケガしたら終わり。

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金沢への帰省で、ワクチンと純喫茶と古本と金沢カレーを接種あるいは摂取する ②

2021年9月16日,9月17日

注射を打った左腕に鈍痛はあるが、とくに大きな副反応はない。
ドンツー、ドンツー。

nishinari-lives.com

ガレージセールの誘惑

母ちゃんの膝痛をおして作成された昼メシを平らげたあと、妹さんと連れ立って、
金沢随一の古書店金沢文圃閤」へ。

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三冊500円のガレージセールは、東京神田神保町古書街のいわゆる「コミガレ小宮山書店のガレージセールに引けを取らない品揃え。

真木蔵人『蔵人独白』、『ガキ帝国 悪たれ戦争』『テーブルマジック入門』を購入。真木蔵人の本は三冊持っているのに、また買った。この辺が「ワゴン体質」「ガレージセール病」の蔓延を許し続けてきた生来の悪癖。
一時は、川本真琴の1stアルバム『川本真琴』を中古CD屋で見かけたら買わなきゃいけない、というルールに準じて生きており、結果的に部屋の壁面を川本真琴のご尊顔でいっぱいにした。今や、自部屋がないから、マイ壁面も存在しないので、そんな愚行に及ぶことはない。

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店内の貼り紙
「本を元に戻せない方は、申し訳ございませんが、一昨日いらしてください」
この慇懃っぷり。古本屋店主のひとくせ、ふたくせっぷり。
めんどくさい店主がいる古書店ほど、魅力的な品揃えになりがち。
めんどくさい店主のいるラーメン屋には二度と行かないが、古本屋なら全然OKである。

香林坊に移動。

ここでも、古本まつりを冷やかし。
デパート香林坊大和の“回転する駄菓子ショーケース”で、ウヒャウヒャ言いながらお菓子を買う。

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川のある街

金沢のローカルスーパーマーケット、ひまわりチェーンでお菓子を買い込み、金沢市の真ん中を貫く二級河川犀川の河川敷に妹と寝転び昼寝。

川のある街並みって良い。
妹さんの近況などを伺いながら、いつの間にか眠る。
ごめんね。興味ないわけじゃないです。

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ひまわりチェーンで見つけた

三ツ矢製菓
「ミニビスくん」

の、いなたいパッケージに痺れる。
味は、ビスケットのそれである。それでいい。

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翌日は、amazonで注文しておいた折り畳みのキーボードを受け取る。
この先永続的にこのブログを更新していくにおいて、ノートパソコンを持ち歩くことを辞めて、スマホ+薄いBluetoothキーボードでなんとかならないか?
と考えた上での購入であったが、絶妙に使いにくかった。

キーボードの軽さや薄さは携帯性の点では有利だが、当然平滑で安定したテーブルなどに置いてのタイピングが前提となる。
これが、西成安宿では無理。大体、万年床の上で書いてんだから。
あと、スマホ液晶の小ささね。もう、見えません。
なので、そのまま妹にプレゼントし、一足先に帰る彼女を見送る。

「僕は、そうそう来れないから、母ちゃん頼むな。悪ぃけど、よろしくな」

「任せといて。あなたは西成で泣きながら、踏ん張んだよ!がんばれー。それと、こういう(折り畳みキーボードみたいな)無駄遣いやめれ!」

分かりましたよ。
ありがとう。元気でな。

 

荷造りをし、役所で払える範囲の税金の類いを支払う。
払えないもんは仕方がない。これ以上は、払えない。
差し押さえはやめてくださいね。

金沢カレーを食らう

自転車で30分ほど移動し、金沢市の隣野々市市の「カレーのチャンピオン 本店」で夜メシ。

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金沢カレー数あれど、確かな味を提供してくれるのは「チャンカレ」一択だと思っている。

ただ、「フォークで食う」という謎マナーだけは、納得いかない。
明らかに食いにくい。

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カレーのチャンピオン」は、実は支店が東京にもある
ので、在京時にも定期的に金沢カレーを補給していた。
いまや全国区の「ゴーゴーカレー」とは、別物の別格の味である。
どっちも旨いけども。思い出補正がかかっているのだろうね。

帰りがけに、サンドイッチの名店
ニュージョイスかもの
に寄ってみたが、この時間では当然売り切れ。
朝から来なきゃ買えないわな。

bonno-web.com

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東京にいた頃には荻窪天沼に住んでいたので、阿佐ヶ谷中杉通りにあったサンドイッチ店「タワー」によく行った。「ワカメサンド」という謎サンドを敬遠して買わないうちに、いつの間にか閉店してしまったようだ。
街場のサンドイッチ店の、コンビニにはない雑さ、ダイナミックさと、リーズナブルさは大変に魅力的なもの。独自のパッケージも。

 

故郷の地である金沢を離れて、数十年。
もう、この場所は僕にとって「思い出を追いかける場所」でしかない。
記憶の糸を全て手繰り寄せてしまったら、後には何も残らない。
それらもやがて消えていくのだろうし。
そうなったら、この街には何もない。

母親という大切な存在も、近い将来目の前から消えてしまうだろう。
そうなった時、この場所は故郷でもなくなる。
まだ、僕にとっての「西成後」を考える余裕はない。
また、「西成真只中」を続けていくだけだ。

帰省の終わり

18時には、金沢駅に向かい、大阪へ「アンバサ」で戻る。

ワクチン接種の二回目のスケジュールも出た。
来月初頭には、また帰省することに。
それまで、しばし、さようなら。
思い出しかない街よ。

「アンバサ」車内で、富山産の白エビを食う。
もう、富山が金沢より上。断然、上です。

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最後のウーバーイーツ活動に向けて、野宿で英気を養う予定であったが、大阪は大雨。

天満橋の「快活クラブ」に久々に投宿し、ソフトクリームを食って就寝。

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使った金額

9/16
amazon:2765円
ハイディスク・モバイルバッテリー:1078円
携帯ハサミ:570円
古書代:500円
森永・ハイチュウ:179円(二個分)
お菓子:391円
駄菓子:800円
サラダチキン:160円
森永・大粒ラムネ ブースター:240円(三個分)
伊藤園・ヘルシールイボスティー:94円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:400円

9/17
公的支払い:22050円
レンタサイクル代:165円
Tシャツ代:2000円
駐輪代:240円
チャンピオンカレー・Lカツカレー:920円
惣菜:402円
北海道とうもろこし:281円
第一・惣菜パン:106円(二個分)
ポテたまドッグ:86円
ハンバーグドック:86円
赤城・ブラック:126円(二個分)
赤城・かじるバターアイス:124円
レジ袋:3円
烏龍茶:97円
黒烏龍茶:108円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円

 

所持

78,053円

金沢への帰省で、ワクチンと純喫茶と古本と金沢カレーを接種あるいは摂取する ①

2021年9月15日

「たくさんのアイデアと、楽しいお話と、竹下さんとのやり取りはいつも刺激に満ちておりました。また、ご一緒できる日が来ること。きっと信じております」

とのメッセージと共に、名古屋案件のギャラが振り込まれていた。
もう、泣かないもんね。もう、中年だし。泣いてもなんの養分にもならぬ。

nishinari-lives.com

しかし、福岡案件のギャラは一切振り込まれないし、振り込まれる気配もない。
請求もしていないので当たり前だが、請求しない状態で振り込まれたりすると、ビックリして嬉しいので、いつか突然40万ばかし振り込まれて欲しい。
問題は、先方が振込先を知らないことである。

実家にてワクチン接種する

大阪市西成区にて、住所不定無職の生活を継続している訳だが、当方の立場としては「ワクチン陰謀論」に加担しないアティチュード。
大阪のワクチン接種枠は空いているとの情報もあったのだが、住民票を実家の金沢市に移動している関係上、めんどくさい手続きが発生するようなので、帰省して注射してもらうこととする。天国注射の昼

本当の目的は、母ちゃんの謹製ひじきと、皺だらけの笑顔を補給すること。に、他ならない。

 

昼過ぎに、「パークイン」を出奔。
南森町の激安駐輪場に自転車を停め、天満のトランクルームで西成用バックパックとお出かけ用リュックを入れ替え、旅の準備完了。
がっつり西成労働者スタイルで帰省してしまうと親御が心配してしまうので、なんとなく小ざっぱりしたジャケットを着込むなど。
まだ、大阪は上着など要らない陽気であるが、北陸の地方都市はいくらか涼しいかも知れない。

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堂島アバンザで、アイスココアをしばき、階上のジュンク堂で移動時に読むための書籍『映画探偵:失われた戦前日本映画を捜して』『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』を購入。
梅田、阪急百貨店で母親ご所望の「岩おこし」、妹ちゃんに向けたおしゃれ小鉢めいたモノ、を購入。

13:42発の特急サンダーバードに乗り込む。
ちなみに、竹下家では「サンダーバード」のことは、略して「サンダバ」と呼称していたのだが、濁音が連続して舌がもつれるので、最近は「アンバサ」と呼んでいる。
竹下家で、「アンバサ買っておくわ!」は、ボーリング場で飲む甘汁ではなく、JR西日本によって運行されている列車のことを指す。
どうして今こんなことを書いたのかは、不明である。

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夕刻に、金沢着。

ワクチン接種会場である市役所第二庁舎には19時に向かえば良いので、駅からレンタサイクルを借り、金沢21世紀美術館を訪れるが、コロナの影響で閉館中。
屋外にあるアート作品は体感できるものの、展示および「金沢随一のセレクトショップ」としても機能しているミュージアムショップも閉鎖中。まあ、無駄金追い銭を使わずに済んだともいえる。

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レンタサイクルにおけるスマホの居場所

金沢市の運営するレンタサイクルは、docomoのバイクシェアサービスアプリから利用できる。

日本各地でレンタサイクルを利用してみて、思うのは

スマホのマウント欲しいな!」

ということ。
もうすっかり、地図を読むという行為を放棄した我々現代人にとっては、スマホの地図アプリが命綱。当然、観光で初めて訪れた地においては、スマホ画面と首っぴきで移動する。
そんな折、「スマホを見ながらレンタサイクルを漕ぐ」という局面が訪れるので、自転車のハンドル部にスマホを固定させておきたい。
金沢市の導入している車両には、スマホマウントが常備。
気が利いている。全国のレンタサイクル運営者も見習ってもらいたい。

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地方都市にありがちなことだが、その地における寡占状態のバス会社が自由自在にバス運賃を設定するので、運賃の高額化が顕著。

金沢市においては、北陸鉄道がガンガンに運賃値上げを強行する。
よって、天候が許す限り、金沢でもレンタサイクルが、利便性においても価格面でも最良の選択肢。
雪が降ってしまったら、仕方なしに北鉄バス乗ってあげる。
しかも、北鉄バス交通系ICカードの全国相乗りに参画していないため、SuicaPASMOが使えない。なんというガラパゴス

正直、新潟を除いては「北陸の雄」みたいなツラをしてきた金沢市であるが、いまや富山県の方がずっと魅力的。
百万石に胡座かいて、日本全体と共に沈没していくのだろう。

高田宏治 脚本、深作欣二 監督による映画『北陸代理戦争』では、ナレーションが流れる。

「俗に北陸三県の気質を称して越中強盗、加賀乞食、越前詐欺師、と言うがこの三者に共通しているのは生きるためにはなりふり構わず、手段を選ばぬ特有のしぶとさである」

つまりどっちにしろ、強盗か乞食か詐欺師の対決なんですけどね。北陸なんざ。

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愉楽の「純喫茶ローレンス」

帰省する折にはなるべく訪れるように努めているのが、金沢市の繁華街、片町にある
純喫茶ローレンス

名物マダムのちょっとすっとぼけた、しかし含蓄深いお話をつまみに味わうココアは美味しく。また、高校時代から通った喫茶店がいまだ息づいている奇跡を嬉しく思う。

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18時過ぎに店への階段を登る。

マダムは、もう何十年も変わらない風貌で出迎えてくれる。

「何になさる?私コーヒーは嫌いなのだけど、注文してくれたら渋々作りますわよ!」

そんなこと言われてしまって、珈琲を頼む豪胆さが貴方にはあるか?

「アイスココアお願いします!」

初めての来客には、「ここは五木寛之先生のお席なのよ」と、かの大作家が直木賞受賞の報を受けたシートを案内してくれるのが常だが、今回は別の席に陣取る。

なんだが、皮張りの記憶があるソファが変わっている!

「椅子変わったんですか?なんか新しい」

「そう、補助金っていうのはね使い切らないといけないの。だから、お席を新しくしたのよ」

老舗純喫茶も、少しずつ姿を変えていく。

「ここって、まだ建物は取り壊しとか、なんないですか?」

「耐震工事は終わってるから、大丈夫なのよ。これからも当分大丈夫!」

 

やがて、金沢大学に通っているという青年がやって来て、隣席となり、話す。

「ご常連なんですか?」

「そうですね、よく来ます。もう、タバコの吸える喫茶店なんかないし。ここは大好きです」

金沢大学は、かつては金沢城趾内という絶好のロケーションに存在していたのだが、近郊のベッドタウンに移築された。それに伴い、大学の周りに点在していた古書店や喫茶店、定食屋も姿を消した。
大学生のいなくなった街の文化は死んでいく。

「大学がまだこの辺にあったらね、良かったんですけど。つまんない街になりましたよね」

「そうー!お城の中の大学とか行ってみたかったですよ。今は、ローレンスに車で来てますから」

彼は大学院受験を志しているようで、本命は出身地の北海道大学大学院だそう。
とりあえず、滑り止めの他の大学院の一校に合格したそうで、マダムと共にお祝いをする。

なみなみと注がれたアイスココアを一滴もこぼさぬように擦り足で近付いてくるマダムの所作も変わらない。その滋味深い味わいも変わらない。美味しいよー。

「アイス食べる?わよね。差し上げますよ」

名古屋の喫茶店のモーニングでのサービスを軽くオーバーする勢いで、アイスクリームやおかき、ブルボン系のチョコ菓子など、どんどこ出てくる。
さらにエクストラドリンクもいただく。
ローレンスに来るときには、腹ペコで行くべし。

 

かつて、マダムが美術教師をしていた頃の思い出話。

「私も学校が嫌だったけれど、絵があったから一回も休んでないの。嫌なことがあっても、何かひとつでも好きなことがあればやっていける。そうでしょ?私は絵の楽しさを覚えてもらって、何人も面白がってくれたの。今もここに訪ねてきてくれるのよ。『せんせ〜い』って!でも、私もすぐに名前が出てこなくって、『誰だっけ?』ってなるんだけど」

その後も、学生さんへ、もっとも年上がしてはいけない類の話「昔の金沢は良かった」トークを上からかまし、マダムが買ってきていた1990年代の『広告&CM年鑑』を肴に、「昔の広告は良かった」と言い続ける最低なオッサンを演じたまま、ワクチン時刻19時が近付いてきたので辞去。

「まだまだここは大丈夫そうですね。また来ますね」

「どうかしら。うん、まだやってますよ、きっとね。また、おいでくださいね」

営業時間は、マダムの気分次第、「ここまで来れたら開けるわ」ってな具合なので、概ね17〜20時あたりを目指して「純喫茶 ローレンス」を訪れてみてください。
もし、開いてなくても責任はもたない。それもまたローレンスである。

www.kissa-nostalgia.net

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歩けなくなった母

ワクチンの接種券は実家に届いているので、母ちゃんに会場前まで持参してもらう。

「何、タクシーで来たん?」

「膝が痛くって、歩けんのよ」

もう僕自身が初老感ひしひしな訳だから、実母が日に日に衰えていくのは必然。
膝の痛みもついに歩けないとこまで来たのか…

何事もなく無事にワクチン注射完了。
天国注射の夜。

 

タクシーで市内のマンションへ。
これに合わせて帰省してきた妹君と合流し、近くのスーパーまで買い物に行き、公園のベンチで四方山話など。

「もう、兄ちゃん『公園のベンチ』がベッドにしか見えんのんじゃない?」

「そうね。これは、ちょっと寝にくいベンチやな。擬木風のあしらいが邪魔やな」

 

妹が持参してきていた
『コンセプト』
というディクシット系のボードゲームに興じたあと、深夜になって床に就いた。
今日のベッドは、ベンチじゃない。
実家って素晴らしい。よね。

 

 

収入

40043円(名古屋案件)

 

使った金額

交通費:13000円(往復分)
レンタサイクル代:165円
タクシー代:1360円
お土産代:4346円
書籍代:3600円
ホーリーズカフェ:390円
喫茶ローレンス・アイスココア:450円
じゃがバターリング:108円
豚肉と筍の春巻:190円(二個分)
ロッテ・スウィーティーラムネ:108円
BIGポークフランク:130円
セブンプレミアム・辛口カルパス:207円
烏龍茶:100円
ポリ袋:4円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:400円

 

所持

112,424円

西成で暮らす。179日目,180日目「軽ければ軽いほどに」

2021年9月13日,9月14日

昼までガッツリ寝て、ようやく覚醒。
溜まった洗濯物を手に街へ。

コインランドリー稼働中に、先日の冷凍倉庫現金仕事で、仕事用の安全長靴に亀裂が入っていることがわかったので、おニューを買いに出かける。

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ゴム製の長靴というヤツは意外と重い。
厚手のゴムに、つま先には鉄板が内蔵されているのだから、もうこれはほとんどキカイダーみたいな重量になってもおかしくはない。
実際、両足で2kg近くある。
この重み、生活の重みをいくらかでも減じたいところ。
軽い長靴はないのか?
誰か、この中に「軽い長靴」をご存知の方はいらっしゃいませんか?

西成に数店舗を構える最大手「丸美衣料」へ。

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店先では、新庄剛志が出迎えてくれた。
指差すの、辞めてくれます?

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数ある安全長靴ラインナップの中に、ゴム製ではなくウレタンっぽい材質の軽量長靴を発見!
持ってみると、確かに軽い。
まるで、ゴム製の長靴ではなく、ウレタンっぽい材質の長靴を持っているかのような重量感である。というか、そうだ。
通常のゴム長の半分くらいの重さに思える。
もしかすると、耐久性に難があるかも知れないが、購入してみる。
値段も割高だが、仕方ない。
軽い方が高い。安全長靴界においては、重量と価格は反比例する。

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洗濯の終了時間まで、あいりん地区周りを散策。

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コロナの影響か、商店街にあった古いパチンコ屋が潰れていた。
このパチンコ屋、その向かいに質屋があり、「質草入れて即パチンコ」という自堕落ムーブに陥った人を見物できる場所であった。

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洗濯物を干し、自転車で大阪私書箱で郵便物を受け取り、
ジュンク堂で『白と黒のとびら:オートマトン形式言語をめぐる冒険』『田中角栄 昭和の光と闇』を買い、
宿でペラペラと捲りつつ、
ようやく重い腰をあげてブログの再開にとりかかり、
ほったらかしていた女装さんのインタビューをまとめ始める。

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翌火曜日は降雨。

スーパー玉出」で半額惣菜を買い求めた以外には、外出することなく女装さんへのインタビューを記事化できた。
生活しながら、記録しながら、発表していく、ってのはやはりなかなかタフな行い。
これを、続けていかねばならない。

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気づいたことと言えば、玉出の電子レンジ周りが騒がしいことくらいだ。

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明日は、実家まで、ワクチン受けに遠征。
しばし、さようなら!西成さん。西成さんよぉ。

 

収入

40537円

 

使った金額

9/13
軽量安全長靴:3058円
洗濯ロープ5m:218
書籍代:4092円
コインランドリー(洗濯):200円
ニッスイ・さばの旨味:108円
あらびきチョリソーソーセージ:84円
ポテロング ごま油としょうゆ:149円(二個分)
亀田・柿の種 梅しそ:140円
こんがりおこげ:233円(二個分)
ラーメンおつまみ:171円
食事の脂にこの1杯:171円
コカコーラ・アクエリアス1日のマルチビタミン:160円
コカコーラ・紅茶花伝ミルクティー:90円
のむYGブルーベリー:192円
家族の潤い ライチ:73円
レジ袋:4円
ポリ袋:3円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円

9/14
精肉加工品:214円(二個分)
自家製惣菜:108円
食品:80円
食品:70円
大粒ラムネ ド派手ミックス:140円
日清シスコココナッツサブレ:75円
10種類野菜クラッカー:257円
ロッテ・コアラのマーチ:84円
メグミルク・フルーツ:108円
レジ袋:3円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:800円(二個分)

 

所持

96,939円

西成で暮らす。177日目,178日目「聞こえないこと/見えないこと」

2021年9月11日,9月12日

充分懐は暖まっている昨今であるが、週末ウーバーイーツ稼働は続けるのである。
生きている限り、金はいるのである。
しかしながら、西成暮らしに専念すべく、ウーバーも今週、来週までとする。
その後は、不信感しかない現金仕事に従事すべく、稼げる時に稼ぎませう。
というのも、ワクチン接種のために実家に戻る必要があるから。
旅費が要る。
待ってろコロナ!待ってて、母ちゃん。ひじき作っててください。

 

6時前には強い雨音で目を覚ます。

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知っていましたか?『雨音はショパンの調べ』というのは大嘘である。
雨音をショパンに喩えるとか、さすがユーミンは天才。実際は、「雨音はションベンの調べ」です。ここ西成では。

ただ二度寝したら、8時過ぎには一転ド快晴。
女心と秋の空っす。俺の空っす。
「パークイン」は今日まで。
いつもの素敵な、『鬼滅の刃』マスクで決めた清掃のお姐さんに見送られる。

「気楽な店やろ!またね!また来てね!」

お世話になりました。
いつも感じいいなぁ。
かくありたい。

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9時前には、待機。
ウーバー稼働。
今日も、ファストフードをタワマン勢に配達しまくるという社会の矛盾、社会の必然を浴びまくる。

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「設備がつけられないんです」と彼女は言った

夜になり、都島区で配達をこなしていると、客からのこんなメモが添付された注文が、

「アパートの前まで来られたら、ご連絡お願いします。外まで取りに伺います」

オートロックを解除できないとか、女子寮だとか、玄関先まで届けられない事情のあるお客さんもいるので、こういうメモは珍しくはない。
ドロップ先に着いて、アプリからメッセージを送ると、程なく若い女性が弁当を受け取りに現れる。

「ご苦労様です!ありがとうございます」

彼女の声を聞いてすぐに察した。
母音が抜けるような聴覚障がいの人独特の発声。

「お待たせしました」

彼女の住まうアパートはセキュリティ上なんの問題もなくドア先まで足を運べる物件。

「耳が悪いので、玄関のインターホンが聞こえないんです。なので、コチラで受け取っているんです」

耳の聞こえない人の居宅には、パトランプのような設備が付けられて、玄関チャイムや電話着信を視認できるようになっていることが多い。
大学時代の友人に見せてもらったことがある。

「ランプみたいな設備がないんですね」

「そうです。今、補助金を申請しているんですけど、なかなか通らなくて…」

「今は、僕の口を読んでいるんですか?」

「そうです。なんとなく。話噛み合ってますか(笑)」

「大丈夫です!ありがとうございました」

大阪府政がクソなのか、市政か、それとも国がクソなのか知らんが、そんな補助金すぐ出せばいいのに。
彼女は、ウーバーアプリで注文をした後、スマホをずっと眺めて、僕からのメッセージを確認し、すぐに戸外まで出てきてくれたのだろう。

聴覚障がい者の普段の生活のありように詳しくはないが、外出して食事を取るよりは、ウーバーイーツを利用した方が簡単なのかも知れない。
フードデリバリーサービスは、僕が考えるよりも、ずっとさまざまなシーンで活用されている。

www.wp-shop.net

 

22時過ぎまでウーバー稼働し、¥7,348

以前配っていたウーバータクシーのプロモーションカードを使用してくれた人がいたようで、昨日には¥1,000の収入があった。
併せて、¥8,348

すわ「イエイ!夢の不労所得!」と勘違いしたが、500枚以上カードは配っている。
それで、やっと1000円…
見合わない対価だわなぁ。

nishinari-lives.com

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いつもの南天満公園で、歯磨きと洗髪をして、ベンチで野宿。のじゅっく。
いつもよりもキレイめなベッドは、ベンチのセメントが身体の熱気を奪ってくれるので、寝冷え上等、最高であった。
ベンチにもレベルはある。

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9月の声を聞いたとて、モスキート群の活動は衰えない。
どんな種も生きていくのに必死なの。
今夏に活躍してくれた蚊除けスプレーも、野宿泊のたびに大量消費を繰り返している為そろそろ底が尽きる。何匹の蚊から身を護ってくれたのか、あるいは護り損ねてくれたのか、定量的な分析が求められるところであるが、なんのデータも採取していないので、そんなこと出来ない。ね。
濡れた二の腕が刺激的。ね。

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翌朝は6時に起床。
「起床」っていうけど、実際は「ベンチから身を起こす」ので、「起ベンチ」もしくは「起台」と言い換えた方がいいのかも知れない。野宿用語は奥が深い。

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23時過ぎまで、43回の配達依頼を消化。
実家までの旅費は確保。

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途中、自転車から異音がするため、よくよく見たら、前カゴが金属腐食で外れかかっているので「ローソン100」で結束バンドを購入。異音はしなくなったが、前カゴが少しトゲトゲしくなった。

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結束バンドといえば、パン・ホーチョンの収入格差下克上ムービー『ドリーム・ホーム』で、人間の首を締めるのに有効活用されていて、目から鱗であった。
ガンガン扼殺。
いつか、そんな使い方も試してみたいもの。

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視力の限界

夜のウーバーイーツは、交通量が減り、自転車での走行が快適になるのだが、あくまでコチラの配達員側の問題として、

「夜目が効かない」

現象が顕著になってきた。
元来の近視、乱視に加えて老眼も加わったマイアイズがバカになりかけている。

西成暮らしで、活躍し続けてくれているマイメガネも痛みが激しいし。
「もう現実を見たくない」という僕の潜在意識のあらわれだろうか。な。
視界のぼやけた大阪の街を疾走するのも悪くはない。
感覚が鈍ることを、経験や予測でカバーするしかない。

もう色々限界なのかも知れない。玄界灘
「夜目が効かな」くて、「嫁が言うことを聞かな」かったらダブルパンチで大変だろうが、幸い僕は妻帯者ではないので、まだまだ恵まれている。な。

ここ50行ほど、本当に内容がない。な。

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SHAOLIN AFRONAUTS」という最近知ったグループを延々聴きながら、西成「パークイン」へ帰還。

open.spotify.com

 

身体にガタがきても、器官が衰えても、暮らしは続く。

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使った金額

9/11
タンパク質が採れるチキンと卵:150円
わかめごはんおにぎり:120円
コッペパン 焼きそば&マヨネーズ:106円
柚子胡椒風味のささみステーキ:225円
やみつき塩麹チキン:225円
おにぎり おかか:54円
おにぎり 紅鮭:75円
手巻きおにぎり じゃこめし:59円
みかんバー:124円
赤城・ブラック:73円
ダカラ 塩ライチ&ヨーグルト:108円
烏龍茶:106円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:400円

9/12
宿泊費:2850円(三泊分)
配信チケット:3000円
結束バンド:110円
ザクザクウマチキレッド:130円
デカッ!磯部風イカフライ:162円
パリパリサンド:151円
フタバ・ダンディストロベリー:194円
赤城・ブラック:73円
赤城・チョコミント:63円
ダカラ 塩ライチ&ヨーグルト:108円
烏龍茶:140円
サーフHMBスポーツドリンク:108円
セブンプレミアム・むぎ茶:149円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:800円(二個分)

 

所持

67,887円

西成で暮らす。176日目「冷凍都市の憂鬱」

2021年9月10日

久々の現場仕事に行く。ことにする。

早起きさんとしては法外なほどの時間に起き出して、ヘルメットや長靴、手袋を抱えて、あいりん地区を彷徨い、「何をするのか?どこに連れて行かれるのか?何時に終わるのか?」も判然としないまま時間を蕩尽し、肉体を痛めつける。という完全謎ムーブ。
行くのかー。行くんだね。
それが、「西成で暮らす」ということ。

というのも、昨日、福岡の友人に
「もちろん!現金仕事にはしょっちゅう行ってるよぉ!」
と息を吐くように嘘をついたからである。
自慢ではないが、「息を吐くように嘘をつく」のは僕にとって当たり前の、常識的な仕草。
不誠実に生きることが僕の正論である。
辻褄を合わせないといけない。ので、仕事しよ!

ちなみに、アウダースの痴女モノAV傑作シリーズ『女の口は嘘をつく。』を全巻揃えていたのは大学生の頃であった。懐かしいなぁ、仕事したくねぇなぁ…
マスかいて、ただ寝て、またマスかいて、寝ていたい。

 

久々だったので、暗いうちにホテルを出奔し、万全の体勢で仕事探しをすべきだったのだが、一度3時に起きてから、二度寝かましたので、スタートが5時近くになってしまった。

しかし、運良くあびこ筋沿いで、マイクロバスを停めていた手配師に声をかけられ、仕事獲得。

「何系の仕事ですか?」

「港湾で、荷運び荷上げやね。船から荷物が来るから、コンテナに詰め替える。簡単なもんや!安心しときや!」

安心の仕事か。
そんな訳ねーんだよな、大概。

バスに乗り込み、明るさを増していく車外の景色を眺めながら、もう不安でいっぱい。
護送船団方式の同僚たるオッチャンたちのタバコの煙が目に沁みる。
と、

「〇〇!車内禁煙って言ったやろ!出てけ!出ていってや!出禁や、アンタ」

と、怒られている。

「あんなぁ、ここは車の中で吸ったらいかんねん。みんな、シートとか床を焦がすやろ。やから、禁煙になってもうてん。アホくさい!」

前の席のオッチャンが教えてくれた。
調子こいて、タバコに火を点けなくて良かった。
注意されたオッチャンは言われるまま、肩を落として去っていった。
まだ、5時前。
あぶれずに、仕事見つかったらいいね。

寒いし、暑いし

コチラの会社は、朝飯なし。
そのまま、マイクロバスに乗った僕を含めた10人ほどが、大阪の港まで、埋立地まで運ばれていく。
広い港を巡回しながら、一人また一人と車を降ろされる。

「ここで待っとって!7時半くらいになったら、人来るんで、そいつに指示もらってや!」

時間はまだ、6時15分。
見渡す限り、コンテナがうず高く積まれ、人っ子ひとり見当たらない、特撮モノの撮影場所みたいな空間。
不安しかない。
あるのは、まだ夏の香りがする空気と優雅に舞うカモメの姿だけ。

便所も、当然コンビニエンスストアもない。
朝飯食っておけば良かった。
もう、帰ってしまいたいが、どうやって鉄道が敷設されたような文化的な地帯まで辿り着けるのかすらも分からない。
Google先生によると、最寄りの駅までは徒歩で30分かかるようだ。
腹を決めて、海を眺めながら横になり眠る。

なんだこの放置っぷり。

8時近くになって、いよいよ不安が過ぎて情緒が不安定さを極めんとしていた頃合いに、フォークリフトに乗った作業着の人がやって来る。

「竹下さんやね、今日冷凍庫の作業ね。これ着ておいてや」

ファー付きのドカジャンを渡され、移動。

「ここのコンテナから、台車使ってもろて、トラックに荷物移していってや」

「コンテナも冷凍庫なんですね」

「そら、そやろ。中国から来とるからな。ワシは定期的に見にくるさかい、サボらんとやってな。積み方は、トラックの運ちゃんと相談して、ええようにして」

 

冷凍コンテナと冷凍トラックの距離は、50m。
その束の間は夏だが、ほぼマイナ20℃のコンテナ内とトラックの荷台の中での作業。
冷凍エビだ、冷凍イカだ、を触りまくるので、くっさいし(臭)。
中には、電子機器もある、コレはおっもいし(重)。
ゴム手袋は張り付くし(張)。
とにかく、さっぶいし(寒)。
でも、50mはあっついし(暑)。

しかし、間もなく震えるほど凍えていく。
ドカジャンの内側でかいた汗が凍っていくような感覚。

 

何台もやって来ては、荷台をいっぱいにして去っていくトラック。
その運転手さんの当たり外れもある。
積み込みを手伝ってくれる天使もいれば、
「その辺に積み上げてくれたら、僕が奥持って行きますわ。ゆっくり、ケガせんようにね。一個20キロはあるからね、落とさんことね」
全くロンリーに作業させて、タバコを吸いながらスマホゲームをしている悪魔もいる。
「早よしてや、そっちもや!横詰めてくれる!時間ないで!タラタラすんなや、オッサン!」

 

昼休憩に入る。
腹は減っても、その腹を満たす食料を買い求める場所もない。

「弁当持って来てないの?準備不足やな、どっこも買いに行かれへんで、この仕事は」

監督役の方に、暖かい缶コーヒーと、コンポタ缶をもらう。

「なんも聞いてないんかいな(笑)〇〇は弁当付いてないからな。これ飲んどきや」

ありがとうございます。
けれど、休憩中の気温は30℃近い訳だから、冷たい麦茶とビシソワーズが飲みたいです。

 

寒さで、肩が上がらなくなり、荷物を高く上げる動作が鈍くなっていく。
もう、このまま『シャイニング』のジャック・ニコルソンの末期のように凍って絶命してしまいたい。ニコルソンは笑いながら死んでたしな!

 

悪魔多めのトラックの運ちゃんと闘いながら、ノルマを16時には終了。
残りの時間は、空になった運搬用のパレットや台車を倉庫に運んでいき完了。

途中、寒さと空腹による倦怠感でかなり逃げ出したかったが、逃げ出すにも徒歩で30分かかるのよ。隔離された区域での強制労働。僕は、労働者。君は傍観者。

「お疲れさん!また、頼むわな」

いえ、もういいです。

 

仕事が久々すぎて、現場の写真も、報酬の万券の画像も撮り忘れた。

18時過ぎに「パークイン」に戻って、煎餅布団に突っ伏す。
お昼過ぎにはあんなに空腹だったのに、飯が喉を通る気配なし。
食欲不信、西成不信、人間不信©︎坂口征二
一応、『女の口は嘘をつく。』の動画を探してみたのだが、いにしえすぎて発見出来ず。発見不信。
マスかく気力もなく、風呂にも入らず眠る。精力減退。
息を吐くように嘘をつく、のが信条の僕ですが、今日の「疲れた」は本当です。
嘘つき不信。

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仕事内容
日付:2021/9/10(金)
場所:大阪市
現場:港湾地帯
内容:冷凍物運搬
時間:8:00~17:15
待遇:昼食なし
給与:¥10,000

 

収入

10000円

 

使った金額

交通費:420円
麦チョコ:108円
小さなチョコの木:108円
森永・ラムネ オレンジソーダ:152円(二個分)
烏龍茶:100円
明治・ココア:80円
ブルボン・牛乳でおいしくホットなココア:140円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:800円(二個分)

 

所持

77,750円