暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

どろぼう市探訪【2】 西成路上マーケット(2020年12月20日)

二度目の、西成「どろぼう市」

「新世界東映」を出て、土日の早朝から開催されているという「どろぼう市」に向かう。

途中、車のフロントガラスに求人票のような、「土工」「10000円」などと書かれたシートをかざしたバンを数台見かける。日曜日でも日雇い仕事はあるようだ。旧あいりんセンターで野宿していたであろう方たちが、

「今日は?行くか?」

「んんー、どうしようかと思って‥」

「寒いもんなぁ」

「いや、でも行くわ!稼げる時に稼がんと!」

と話している声が聞こえた。

「アンちゃん。ミンザイか?」

いつもの道に、人だかりができており、ダンボールやブルーシートを拡げた上に、さまざまな商品が並べられたフリマ開催中。

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まだ、朝5時を少し回ったくらい。
一体、何時から開かれているんだろうか。開店準備も一度覗いてみたい。

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骨董市的な側面もあるのか、

「アレ、入っとる?」

「おお!コッチや!見てくらはる?」

と、上客なのだろうか。地面には並べていない急須?みたいなモノを自転車の前カゴから取り出し、見せている店主。

一見、ガラクタにしか見えなかったが、アンティークだって、目利きでなければガラクタ同然だろう。僕にはその価値はわからない。

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おなじみの、ひと山100円の期限切れ弁当惣菜セットも売っていたが、上の画像のように集まった人たちが、

「もう、行かんもんね!わしは!」

「まあ、でもよう考えてみいや‥‥」

と話していて、僕が近づくと、うっとおしそうに話を中断して、軽く睨まれてしまったので、ハイハイハイって感じで後退しました。

今日は、クスリを扱っているショップが多かった。
しゃがみこんで、少し話を聞こうとしたら、ダウンジャケットにマスクをした30代くらいの男性が近づいてきて、

「アンちゃん!何欲しいん?ミンザイか?」

と尋ねてきた。

恥ずかしながら意味がわからなかった。
「ミンザイ」の意味が。

ベトナムの民族衣装ですか?」

とボケられなかった。悔やまれる。

 

なので、正直に

「ミンザイって何ですか?」

と聞き返したら、こいつアホなのか!って顔で男性は去っていった。

クスリの説明が聞き取れなかった

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このショップの赤い服のオッチャンが1つひとつクスリの説明をしてくれる。

「いっぱいありますね」

「そうよ。アチコチからよ」

「コレは、形でいうと痔ですか?」

「イヤ。コレは腰。腰」

睡眠薬はあります?」

「あるある!コレなんか、おっきなトコで使っとる、ハナデヒライテニュメニュメモンよ!」

「はあ。いくらですか?」

「50円!」

「一錠?」

「50円!効くよ」

「一錠単位でいいの?」

「それりゃ、あんた!ハナデヒライテニュメニュメモンやから(笑)」

片仮名表記の部分は、なるべく忠実に再現しているのだが、よく聞き取れない。
むずかしい。パッケージを見て、自分で判断できれば良いのだろうが。

そして、自分で発話してみて気付いた。
「ミンザイ」=「睡眠薬か!

50円なら、数錠買っても良かったが、買ったところで飲む気がしない。
他の所も見てくるわ、と言ってその場を離れる。

歩き始めたら、さっき「ミンザイか?」と話しかけてきた30代くらいの男性が、手に万札を握りしめて、通り過ぎて行った。

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「シャブはあかんのやろ?」

明らかに10代と思われる少年少女も、客として「どろぼう市」にはいた。
ビールを飲みながら、赤ら顔のオッチャンが、

「シャブは要らんのやろ?シャブはあかんのやろ?」

と髪を明るい茶色に染めた白いパーカーの少女に話しかけている。

「いらん(笑)!ヤバいのんは要らんわ!」

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海賊版かもね

違うショップでは、ドラマ『半沢直樹』の海賊版っぽいDVDを見かける。

とっくに放送、配信されているので、無地DVDに焼いたモノを買う人がいるのが不思議だが、店主のオッチャンは凄く推してくる。

「なんや、知らんけど有名なドラマなんやろ?ええでー」

「へー、コレいくらです?」

「一枚200やけど。五枚いっぺんに買うてくれたら700円でええよ」

「コレ、五枚で完結してるっけ?」

「知らん!中身は知らんで!」

不織布の簡便なケースに入れられた『半沢直樹』のカラーコピー丸出しの紙には「先行版」と書かれていた。

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東映映画の後は、松竹を観るのもいいだろう。

地下鉄の駅まで戻っていると、もうこの時間から作業服屋さんは店を開いていた。
日曜日も西成は、働く人々の街。働く人々が消費する街。

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