暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

金沢への帰省で、ワクチンと純喫茶と古本と金沢カレーを接種あるいは摂取する ①

2021年9月15日

「たくさんのアイデアと、楽しいお話と、竹下さんとのやり取りはいつも刺激に満ちておりました。また、ご一緒できる日が来ること。きっと信じております」

とのメッセージと共に、名古屋案件のギャラが振り込まれていた。
もう、泣かないもんね。もう、中年だし。泣いてもなんの養分にもならぬ。

nishinari-lives.com

しかし、福岡案件のギャラは一切振り込まれないし、振り込まれる気配もない。
請求もしていないので当たり前だが、請求しない状態で振り込まれたりすると、ビックリして嬉しいので、いつか突然40万ばかし振り込まれて欲しい。
問題は、先方が振込先を知らないことである。

実家にてワクチン接種する

大阪市西成区にて、住所不定無職の生活を継続している訳だが、当方の立場としては「ワクチン陰謀論」に加担しないアティチュード。
大阪のワクチン接種枠は空いているとの情報もあったのだが、住民票を実家の金沢市に移動している関係上、めんどくさい手続きが発生するようなので、帰省して注射してもらうこととする。天国注射の昼

本当の目的は、母ちゃんの謹製ひじきと、皺だらけの笑顔を補給すること。に、他ならない。

 

昼過ぎに、「パークイン」を出奔。
南森町の激安駐輪場に自転車を停め、天満のトランクルームで西成用バックパックとお出かけ用リュックを入れ替え、旅の準備完了。
がっつり西成労働者スタイルで帰省してしまうと親御が心配してしまうので、なんとなく小ざっぱりしたジャケットを着込むなど。
まだ、大阪は上着など要らない陽気であるが、北陸の地方都市はいくらか涼しいかも知れない。

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堂島アバンザで、アイスココアをしばき、階上のジュンク堂で移動時に読むための書籍『映画探偵:失われた戦前日本映画を捜して』『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』を購入。
梅田、阪急百貨店で母親ご所望の「岩おこし」、妹ちゃんに向けたおしゃれ小鉢めいたモノ、を購入。

13:42発の特急サンダーバードに乗り込む。
ちなみに、竹下家では「サンダーバード」のことは、略して「サンダバ」と呼称していたのだが、濁音が連続して舌がもつれるので、最近は「アンバサ」と呼んでいる。
竹下家で、「アンバサ買っておくわ!」は、ボーリング場で飲む甘汁ではなく、JR西日本によって運行されている列車のことを指す。
どうして今こんなことを書いたのかは、不明である。

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夕刻に、金沢着。

ワクチン接種会場である市役所第二庁舎には19時に向かえば良いので、駅からレンタサイクルを借り、金沢21世紀美術館を訪れるが、コロナの影響で閉館中。
屋外にあるアート作品は体感できるものの、展示および「金沢随一のセレクトショップ」としても機能しているミュージアムショップも閉鎖中。まあ、無駄金追い銭を使わずに済んだともいえる。

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レンタサイクルにおけるスマホの居場所

金沢市の運営するレンタサイクルは、docomoのバイクシェアサービスアプリから利用できる。

日本各地でレンタサイクルを利用してみて、思うのは

スマホのマウント欲しいな!」

ということ。
もうすっかり、地図を読むという行為を放棄した我々現代人にとっては、スマホの地図アプリが命綱。当然、観光で初めて訪れた地においては、スマホ画面と首っぴきで移動する。
そんな折、「スマホを見ながらレンタサイクルを漕ぐ」という局面が訪れるので、自転車のハンドル部にスマホを固定させておきたい。
金沢市の導入している車両には、スマホマウントが常備。
気が利いている。全国のレンタサイクル運営者も見習ってもらいたい。

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地方都市にありがちなことだが、その地における寡占状態のバス会社が自由自在にバス運賃を設定するので、運賃の高額化が顕著。

金沢市においては、北陸鉄道がガンガンに運賃値上げを強行する。
よって、天候が許す限り、金沢でもレンタサイクルが、利便性においても価格面でも最良の選択肢。
雪が降ってしまったら、仕方なしに北鉄バス乗ってあげる。
しかも、北鉄バス交通系ICカードの全国相乗りに参画していないため、SuicaPASMOが使えない。なんというガラパゴス

正直、新潟を除いては「北陸の雄」みたいなツラをしてきた金沢市であるが、いまや富山県の方がずっと魅力的。
百万石に胡座かいて、日本全体と共に沈没していくのだろう。

高田宏治 脚本、深作欣二 監督による映画『北陸代理戦争』では、ナレーションが流れる。

「俗に北陸三県の気質を称して越中強盗、加賀乞食、越前詐欺師、と言うがこの三者に共通しているのは生きるためにはなりふり構わず、手段を選ばぬ特有のしぶとさである」

つまりどっちにしろ、強盗か乞食か詐欺師の対決なんですけどね。北陸なんざ。

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愉楽の「純喫茶ローレンス」

帰省する折にはなるべく訪れるように努めているのが、金沢市の繁華街、片町にある
純喫茶ローレンス

名物マダムのちょっとすっとぼけた、しかし含蓄深いお話をつまみに味わうココアは美味しく。また、高校時代から通った喫茶店がいまだ息づいている奇跡を嬉しく思う。

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18時過ぎに店への階段を登る。

マダムは、もう何十年も変わらない風貌で出迎えてくれる。

「何になさる?私コーヒーは嫌いなのだけど、注文してくれたら渋々作りますわよ!」

そんなこと言われてしまって、珈琲を頼む豪胆さが貴方にはあるか?

「アイスココアお願いします!」

初めての来客には、「ここは五木寛之先生のお席なのよ」と、かの大作家が直木賞受賞の報を受けたシートを案内してくれるのが常だが、今回は別の席に陣取る。

なんだが、皮張りの記憶があるソファが変わっている!

「椅子変わったんですか?なんか新しい」

「そう、補助金っていうのはね使い切らないといけないの。だから、お席を新しくしたのよ」

老舗純喫茶も、少しずつ姿を変えていく。

「ここって、まだ建物は取り壊しとか、なんないですか?」

「耐震工事は終わってるから、大丈夫なのよ。これからも当分大丈夫!」

 

やがて、金沢大学に通っているという青年がやって来て、隣席となり、話す。

「ご常連なんですか?」

「そうですね、よく来ます。もう、タバコの吸える喫茶店なんかないし。ここは大好きです」

金沢大学は、かつては金沢城趾内という絶好のロケーションに存在していたのだが、近郊のベッドタウンに移築された。それに伴い、大学の周りに点在していた古書店や喫茶店、定食屋も姿を消した。
大学生のいなくなった街の文化は死んでいく。

「大学がまだこの辺にあったらね、良かったんですけど。つまんない街になりましたよね」

「そうー!お城の中の大学とか行ってみたかったですよ。今は、ローレンスに車で来てますから」

彼は大学院受験を志しているようで、本命は出身地の北海道大学大学院だそう。
とりあえず、滑り止めの他の大学院の一校に合格したそうで、マダムと共にお祝いをする。

なみなみと注がれたアイスココアを一滴もこぼさぬように擦り足で近付いてくるマダムの所作も変わらない。その滋味深い味わいも変わらない。美味しいよー。

「アイス食べる?わよね。差し上げますよ」

名古屋の喫茶店のモーニングでのサービスを軽くオーバーする勢いで、アイスクリームやおかき、ブルボン系のチョコ菓子など、どんどこ出てくる。
さらにエクストラドリンクもいただく。
ローレンスに来るときには、腹ペコで行くべし。

 

かつて、マダムが美術教師をしていた頃の思い出話。

「私も学校が嫌だったけれど、絵があったから一回も休んでないの。嫌なことがあっても、何かひとつでも好きなことがあればやっていける。そうでしょ?私は絵の楽しさを覚えてもらって、何人も面白がってくれたの。今もここに訪ねてきてくれるのよ。『せんせ〜い』って!でも、私もすぐに名前が出てこなくって、『誰だっけ?』ってなるんだけど」

その後も、学生さんへ、もっとも年上がしてはいけない類の話「昔の金沢は良かった」トークを上からかまし、マダムが買ってきていた1990年代の『広告&CM年鑑』を肴に、「昔の広告は良かった」と言い続ける最低なオッサンを演じたまま、ワクチン時刻19時が近付いてきたので辞去。

「まだまだここは大丈夫そうですね。また来ますね」

「どうかしら。うん、まだやってますよ、きっとね。また、おいでくださいね」

営業時間は、マダムの気分次第、「ここまで来れたら開けるわ」ってな具合なので、概ね17〜20時あたりを目指して「純喫茶 ローレンス」を訪れてみてください。
もし、開いてなくても責任はもたない。それもまたローレンスである。

www.kissa-nostalgia.net

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歩けなくなった母

ワクチンの接種券は実家に届いているので、母ちゃんに会場前まで持参してもらう。

「何、タクシーで来たん?」

「膝が痛くって、歩けんのよ」

もう僕自身が初老感ひしひしな訳だから、実母が日に日に衰えていくのは必然。
膝の痛みもついに歩けないとこまで来たのか…

何事もなく無事にワクチン注射完了。
天国注射の夜。

 

タクシーで市内のマンションへ。
これに合わせて帰省してきた妹君と合流し、近くのスーパーまで買い物に行き、公園のベンチで四方山話など。

「もう、兄ちゃん『公園のベンチ』がベッドにしか見えんのんじゃない?」

「そうね。これは、ちょっと寝にくいベンチやな。擬木風のあしらいが邪魔やな」

 

妹が持参してきていた
『コンセプト』
というディクシット系のボードゲームに興じたあと、深夜になって床に就いた。
今日のベッドは、ベンチじゃない。
実家って素晴らしい。よね。

 

 

収入

40043円(名古屋案件)

 

使った金額

交通費:13000円(往復分)
レンタサイクル代:165円
タクシー代:1360円
お土産代:4346円
書籍代:3600円
ホーリーズカフェ:390円
喫茶ローレンス・アイスココア:450円
じゃがバターリング:108円
豚肉と筍の春巻:190円(二個分)
ロッテ・スウィーティーラムネ:108円
BIGポークフランク:130円
セブンプレミアム・辛口カルパス:207円
烏龍茶:100円
ポリ袋:4円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:400円

 

所持

112,424円