暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

西成で暮らす。73日目 「ダブルワークに挑む」

2021年5月15日。

夜明けが早くなった。

早朝に起きる時に、窓の外が暗いと気分まで暗くなる。
とは言え、どっちにしろ「働く」ということは気分を暗くさせるものだ。
機嫌よく、調子良く働ける意識を持って生きて行けたならそれは幸運な暮らしなのだと思う。

映画の世界の片隅で暮らしていた時に、制作部の手練れの先輩に、

「生き方って、自分の好きなことして貧乏するか、自分の嫌なことして稼いで余暇で好きなことするのか、の二択だ」

と言われ、首がもげるほど頷いた。

「じゃあ、先輩は今どっちに足をかけてるんですか?」

と問うたら、

「そうね、今俺は好きなことしてるつもりで、実際は嫌だなと思いながら仕事して、しかも稼げてもいない」

とつぶやいていた。
僕が邦画を観たり、和製のコンテンツに触れるたびにエンドクレジットを、穴のあくほど見つめるのは、この先輩の名前を探すためでもある。

そして、この働くことの真理を突いたような先輩の至言は、都築響一の受け売りだと知って、そのことを指摘した時に、先輩が「バレたか。そのリサーチ力を脚本に活かせ!」と、豪快に笑ったことも含めて、大好きな先輩だった。
映画の世界からは落ちこぼれてしまい、いまだに好きなことも見つけられずにいる自分に、いつも誠実に接してくれたその先輩が、迷いながらも映画の仕事を続けてくれていることを時折エンドクレジットで確認し、安堵する自分がいる。

土壌改良一直線

今日は仕事アリ。

現場への直行直帰で良い、と言ってもらえたので、現地までのルートを検索すると1000円近くかかることが判明。
自転車で乗り換え分の電車賃を浮かすために、4時起きで向かう。
雨予報なので雨具を用意。自転車で出発。

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自転車→電車で、現場の最寄り駅まで辿り着き、松屋で朝定を食う。
ソーセージエッグ定食に小カレーをプラス。
合成肉とスパイスで腹を満たす。ご飯も大盛りにしたよ。美味しかったよ!

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小学生の励ましに癒される

今回は乾式柱状改良である。
雲行きは怪しく湿っているけれど、乾いた作業である。天の恵みが勝手に湿らしてくれる。

何度か同じ作業に従事させてもらっているが、いまだにスムーズに出来ない。
成長しない己を呪う、がとにかくやるしかない。

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今回は手元にもう一人の先輩が入り、ともに作業。
雨はなんとか降らずにもってくれた。
社長は休憩を入れずに完遂してしまいたかったようだが、先輩のオッチャンが「腹減った。食べよ!」と言ってくれたので、キチンと休憩があった。

スコップを握る感覚が研ぎ澄まされてきたあたりで終了。
継続は力なり、とはよく言ったもの。
慣れず、クズのままではあるが今日も汗と泥とセメントにまみれて終了。
15時には終わった。
ありがたい。

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住宅街に一角での作業であったが、途中ランドセルを担いだ小学生の男の子が、

「頑張ってくださーーい!」

と声をかけてくれた。

おい。君!
素敵な笑顔だぞ。その心を持ち続けてくれよ、少年。
車寅次郎みたいな気持ちになって、

「ありがとーーう!」

と応える。
一緒に作業していた社長も先輩も輪唱のように「ありがとーーーう!」と応じる。
心が穏やかになる瞬間。
涙腺が緩むような瞬間であった。

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映画に行く、いやそんなことしちゃダメ

大学生の頃から、初めて降り立った土地では地元の神社を巡るのが趣味だった。
なんの信心もないのだが、神社の作る「交通安全ステッカー」を買っていた。
一切お参りもせず、一直線に社務所に声をかけステッカーだけを買って帰るのだ。
なんという罰当たりな態度。

まだ陽は高く、雨も降り出していなかったのでいくつか神社を回る。
残念ながら、「交通安全ステッカー」を扱っている社はなかった。
ちょっといなたいデザインのお守りを買おうかな?と逡巡したが、そんなことに金使っちゃダメ!とセンサーが働いて、やめる。

その後、この時間なら映画観れるな!
『14歳の栞』に間に合うな!
と考え、十三の第七藝術劇場に向かう。
しかし、バスの車内で、そんなことに金使っちゃだめ!と再びアラートがけたたましく鳴った。やめる。

ムキムキへの憧れ

久しぶりの肉体酷使で疲れてはいたが、このお守り購入や映画鑑賞をやめられた克己の精神を保ったまま稼ぎに行く。

ウーバーイーツもやる。
現場仕事とウーバーのダブル稼働。
やったるんじゃい。

 

その前に、喫茶店に寄り食事。
喫煙可能店を探すのが難しくなった昨今、カウンターに座るとすぐさま新聞と週刊誌に加えて灰皿を出してくれるようなお店。

トーストされたパンに、ゆるいタマゴが挟まれたサンドイッチ。
リンゴとみかんが香るミックスジュース。
タマゴサンドには小瓶に入った塩を振って、塩分を加えて味わう。

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食べ終えると、柳原良平の楊枝入れをスッと出してくれるマスター。
ホスピタリティ抜群。

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週刊誌なんて一切読まない生活だが、FRIDAYに目を通す。

男のコンプレックスを突いてくる広告。
いくつになっても、ムキたいのか。

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「70代急増中!!」
なのか。もう、いいんじゃないか。

僕の子ども時代には、週刊プロレスに載った広告で、「ビガーパンツ」と「ブルワーカー」に魅せられたものだ。
長州力のように身体をパンプアップして、 下半身もリニューアル。
もうずっと男の願いは変わらないのだな。

middle-edge.jp

ameblo.jp

 

名著『日本の童貞』の澁谷知美の新作、
日本の包茎』も読まねば。
男の自己肯定感はいつだって陰茎に依っている。
悲しいサガ。

こんなこと書いているとますますアフィリエイト成金から遠ざかるような気がする。

honz.jp

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退店する際には、マスターが

「お疲れ様でした」

と声をかけてくれる。

こういった「客を身内のように」扱う接客の掛け声はメイド喫茶によって一般化したように思いがちだが、意外とこんな親密さを与えてくれるお店は昔からある。

泥だらけのズボンに、かすかに匂っていたであろう労働の芳香を、喫茶店のマスターが感じとっていたかどうかは定かでない。
小学生男子と蝶ネクタイの紳士の声に励まされた一日。

さらにウーバーイーツする

18時〜22時まで稼働し、¥6,584也。

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いやー、疲れたぞ。

働いたぞ。もーう、いい。

いつもの「快活CLUB」にイン。
充電し、ソフトクリームを食べ、烏龍茶をがぶ飲みし、眠る。

明日は1日中雨模様らしい。
しっかり、ウーバーで働こう。

 

仕事内容
日付:2021/5/15(土)
場所:大阪府
現場:更地
内容:土壌改良・乾式柱状改良
時間:7:30~15:15
待遇:飯なし
給与:¥11,000

 

収入

11,000円

 

使った金額

交通費:340円+260円+280円+180円
駐輪場代:150円
松屋・ソーセージエッグ定食(ご飯大盛り・小カレー):480円
喫茶専門店MUC・タマゴサンドイッチ:420円
喫茶専門店MUC・ミックスジュース:430円
フジパン・スナックサンド タルタルソース:95円
惣菜パン・コロッケ山脈:95円
ザクザク旨チキレッド:260円(二個分)
惣菜・イカ天:255円(二個分)
レインボーラムネ:350円(三個分)
味の素・アミノVガッツギア:212円(二個分)
グリコ・パピコホワイト:106円
めいらく・家族の潤いパイン:95円
ダイドー・miu レモン&オレンジ:110円
伊達麦茶:100円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:400円

 

所持金

7,772円