2021年5月14日。
4時に起きた。
現場仕事が待っている。
顔を洗い、歯を磨き、ヘルメットと手袋、安全長靴を詰め込みタバコを一本。
今日の仕事をくれた社長のLINEで集合場所を再確認せんと開く。
「ごめん。明日、流れた」
昨日、来ていたメッセージ。
見てなかったー、っ。
えーっ!
『将太の寿司』の審査員が溶ろけるネタを食った時のような口になってしまう。
ああ、この虚しさをどうしよう。
すぐに、このまま宿を出て別の仕事を探そうかなー。
の「か」と「な」の間くらいで、即寝。二度寝。フテ寝。
社長からのメッセージには続きがあり、明日、土曜日には仕事があるという。
ああ、そうですか。
現場仕事は簡単に流れる。
日雇い人足の存在ははかなく漂う木の葉の如し。
ああ、そうなんだ。
異常なアクセス数にビビる
9時ごろ目覚め、ブログでも書こうとパソコンを開く。
アクセス解析の数字が異常事態。もう、7000。
以前あげた「新世界国際劇場インタビュー」が異常に読まれており、最終的には今日だけで30,000を超えた。
ああ、アフィリエイトやってなかった。
登録だけして放置していた。
これ、今日だけできっと700万円くらい入ってきましたよね?
ああ、1000万損した。4億つかみ損ねた。
でも、映画ネタは続きません。
今日からは、ずーーーっとしがない西成暮らしの記録が続きます。
近づく夏
昼を回って、今日こそ私書箱にハガキが来るんじゃないか?と期待してみたが、届いていないようだ。
洗濯をしに外に出る。
いやーもう暑い。
夏じゃねーか。
5月は暑さとある程度の涼しさが繰り返される、暑さ寒さも彼岸まで攻撃の時期。
あいりん地区の作業着屋の店頭には雪駄や草履が。
もう、夏じゃねーか。
ある居酒屋の店頭には、フリー衣類が。
「いけそうやったら、もってって」
いわゆる定型の、大阪のオバチャン柄もある。
ちょっと痩せたから着られそうだけども。
フリース生地じゃねーか。
もう、夏なんだぞ。おっとっとと。
この画像をスマホで撮影していたら、通りがかりのオッチャンに
「何撮っとんねん!」
と文句をつけられたので、
「うっさいボケ!」
と返したら、肩をすくめて去って行った。
馴染んできたなぁ、俺。
それでも瞬時に勝てそうな相手だと、スカウターでチェックしてから「ボケ!」って言ってるのよね。姑息な男。
花村萬月が、小説家になる前に、それこそ肉体労働の現場でむしゃくしゃしても現場には屈強な男たちばかりだから、キレられず、
帰りの電車で肩がぶつかった勝てそうなサラリーマン相手にケンカした。
という話を自分の事のように読んだことがあるが、計算高く生きているだけ。
西成に暮らして、柄が悪くなるとかいう定型やイメージに染まっていい訳がない。
実際、ちゃんとした人ばっかりです、この街は。
出待ちして、案の定フラれる
なかなか街に佇むオッチャン達に話を伺うことが叶わないので、今日は目星をつけていた西成安宿の通用口で出待ちをし、ホテルの方に取材交渉。
にべもなく断られる。
ほぼ不審者。通報されても言い訳できない。
もっと、若い頃ナンパ経験しときゃ良かったなぁ。
軽やかに声かけたい。
もう、整形したい。声帯変えたい。
続けていくしかない。
断られると、自分という存在が本当に無に思える。
存在の耐えられない軽さ©︎ミラン・クンデラ
午後ティーで殺される
洗濯物を抱えて、ホテルに戻る。
「パークイン」は個室に冷蔵庫が無い。
代替として、一階に共同冷蔵庫が置かれている。僕は利用したことはないが。
そこに書かれたバイオレンスレター。
やっぱ柄悪いのかしらね、この街。
ヴァイオレンス。
もしこの時、「何撮っとんねん!」と声かけられたら、「違います!違うよ!午後ティー盗んだの僕じゃないです!」となぜか謝り、むこの民として処刑されただろう。
自分の記事が認められたような勘違いをしながら、伸びていくアクセス数を眺め、6兆損したことを嘆きながら、武田砂鉄の『アシタノカレッジ』を聞きながら就寝。
寝ている間にLINEが来ていなければ、明日は久々の日雇い現場です。
おやすみなさい。
使った金額
コインランドリー(洗濯):200円
コアラのマーチ・発酵バター仕立てホワイトチョコレート:75円
いちごミルク:117円
タバコ・アメリカンスピリット12mm:570円
所持金
1,390円