西成ホテル探訪・四日目
昨日は、昼の仕事が夜遅くにかけて続いて、西成に来られなかった。なにしろ、20時までに手続きをしなければいかんのだから ←どうしても「チェックイン」って言葉が合っていない気がします。西成時間。
今日は、勢いこんで、定時会社OUT 19:15西成IN しました!
さて、1000円付近の宿の選択肢は、まだまだある。
今日は、ここだな「HOTEL 新光」
屋号の隣、本来「ホテル」と記されているだろう部分が、白く隠されていますけれど、多分「ホテル」でしょう。「宗教」とか「銘酒」とかではないはず。
看板には、新しいワード、「こたつ」なんて文字が!冬時には、ありがたいセッティング。そして、宿泊料金は二択。
¥900か¥1000。
外観の写真を撮ってから入館しようとモゾモゾやっていたら、館内からコチラの様子を伺っている方が。とにかく、宿の人に悪印象を与えるようなことだけは、したくない。そう思っています。そう学んできています。
「こんばんは!今日、一泊お願いします!」
「・・・」
「一泊は難しいです?」
「・・・」
全くの無言で、いぶかしげにコチラを見つめるだけの、パジャマ的なスタイルの爺さんが、目配せするものだから、右を見たら受け付けがあった。←どうしても、フロントって言葉が合っていない気がします。
ガラス戸の向こうには、お婆さんと言って良い年齢のご婦人が、テレビの長嶋一茂に夢中。一礼して、ガラス戸を開けると、コロナ対策的なビニールシートがおろされている。
「一泊、お願いします!」
「はい、900円ね」
「表の、看板の、こたつ付きの部屋とかは空いてますか?」
「あー、ちょっと今無いのよ。今日は、900円のとこだけ。いい?」
「大丈夫です!お願いします!」
「じゃあ、202ね。お名前はどうしましょ?」
「竹下で」
やり取りの間にも、テレビの、ウエンツ瑛士が気になるようで、この短い間に2回名前を忘れられましたが、無事、今夜の寝ぐら確保です!
本当に、名字以外訪ねられることはない、西成の宿は。
お茶目な山崎さん
「山崎さん、お願い」
正面玄関←どうしても、「エントランス」って言葉が合っていない気がします。の、自販機の脇に座っていた山崎さん、と呼ばれた男性が部屋まで案内してくれるようだ。
「はじめてですか?」
「はい、コチラは初めて来ます」
「説明しますねー」
風俗店に来たのかと刹那思ったが、ここは安宿である。
「ここがお風呂、9時まで。ここゴミ箱ね。入り口が8時半で閉まるんだけど、夜遅く出歩きます?」
「あー、8時半以降は入れないんですね」
「いや、秘密の出入り口がありますよぉ!」
セキュリティ上、社会通念上、詳しくは書かないが入り口のシャッターが降りても深夜出入りできる扉を教えてもらう。
「へー、じゃあ飲みにでも行こうかな」
「あら、いいねー。行っといでよぉ」
笑顔がステキ、山崎さん。
二階へ上り、一瞬部屋を間違える、山崎さん。だか、すぐに立て直し「202」の扉を開ける。
引き戸か!新しい。
「テレビ点くかな?」
「あー、年季モノですね」
「そう!何年前なんだろうね。・・あー、点く点く!おめでとう!」
ありがとうございます!一茂とウエンツです!
「はい、じゃあ。ゆっくりね。飲み過ぎないようにね」
こんなに笑っている人を西成で初めて見たかも知れない。あいりん地区ですれ違う人たちは一様に厳しい表情をしているのだが。安宿に咲いた一輪の花、それが山崎さん。
明日は9時までに出ればいいらしい。鍵の無いシステムにも、もう慣れました。
ところが、この部屋は内鍵は、かかる!
優秀だねぇ。ありがとう、山崎さん!
清潔で、申し分ない。虫いない。畳キレイ。布団キレイ、多分。灰皿、ハンガー、電源のマルチタップもある!そして、なぜかバケツもある。
迷宮感はある
少し館内をブラついてみた。「旅館 かなめ」もそうだったけれど、四方八方に廊下が伸びており、その廊下の幅も様々で、すぐに方向感覚が狂う。古くて建て増しを続けていくとこうなるのだろうか。
ただ、「かなめ」のような圧倒的な静寂感はない。館内の照明は明るく、人の話し声やテレビの音も聞こえる。そう言えば初日の「ホテル なかよし」のテレビはデフォルトが音量1だったのだが、コチラのテレビは17もある。一茂の声がうるさいくらいだ。
館内には、多彩な貼り紙があったのだが、ひとつテンションの違う、ホテル関係者がマナーの悪い特定の客に向けて書いたとおぼしきモノがあった。
投げかけ先が「お前」呼ばわり。ホテルの管理などをしている人が思いあまって書いたのかも知れない。
だと、するとあのお茶目な山崎さんか?いや、そんなはずはないだろう。真夜中は別の顔的な。山崎さんは、ジキルか?ハイドか?いや、考えないでおこう。
お風呂は水!外!
そうとうレベルの高い「ホテル 新光」だか、風呂はよろしくなかった。3人が同時に入れるような洗い場が並び、そこそこな深さのある浴槽もある。のだが、
洗い場の蛇口からは水しか出ない!
湯船から洗面器でいちいちお湯をすくって、ひっかぶらないとならない。これでは、浴槽の湯の清潔さも保たれないだろうし、風呂椅子もないので、思いっきしタイルに座って身体を洗うことになる。
僕が入ったときには、先客がいたのだけど、絶対的に相手の使う湯が当たってしまう距離感でした。申し訳ないので、ササっと湯あみして退場。先客の、若い20代に見えた、彼は泰然として入念に身体を洗っていた。かくありたいものだ。
しかも、脱衣場がほぼ外!もう充分に寒いけれど、真冬にここで服を脱ぐのは厳しそう。
食欲はやはり出ない
24時間出入り自由ということが確定したので、少し外出する。飲み屋からは、怒鳴りあう声や、カラオケ歌唱が聞こえてくる。これから徐々に西成の飲み屋も潰して行きたいとは思っているのだけれど、なにしろここに来ると食欲がなくなるのだ。
弱メンタル。早く慣れよう。
西成名物、激安自販機で飲み物買って戻ります。
熟睡は確定。布団で寝るべし
今日は、掛け布団も使っています。布団被って、コレ書いてる。
なにしろ、空調は一切ないですので。身体壊さんようにしてね、と誰かに言ってもらえる訳ではないので、自分に言い聞かせます。
おやすみなさい。
世の中的には、クリスマスシーズンに向けてイルミネーションや、山下とかマライヤとかが聞こえてくる時期に入っている。西成はすっかりグレーで、赤や緑を見かけない。けれど、ここ「ホテル 新光」には、ちょっとした飾り付けがあった。ほっこり。
バックの、指名手配ポスターとのコンビネーションがアレだけど。
ホテル 新光
宿代:¥900
三畳/テレビ有/コンセント4口(延長コード)/扇風機貸出有/空調無/トイレ共同/風呂共同(21時まで)/布団/部屋内鍵有/喫煙/共同ゴミ箱有/灰皿有/一泊OK/夜間外出可/Wi-Fi無/バグ無/棚有/ハンガー有/迷宮感/電気スイッチ/山崎さん有/自販機有(酒類)/翌朝9時まで/電子レンジ共同/電気ポット共同/クリスマス飾り付け有
清潔度 ★★★★
フロント★★
サービス★★★
価格 ★★★★
総合 ★★★★
食費
バナナカステラ三本 105円
チェリオ・ライフガードプロスタッフ 50円
コカコーラ・アクエリアスピーチ 60円
タバコ・アメリカンスピリット 570円
西成に落とした金額
計:1685円