西成ホテル探訪・十四日目
一泊2000円もしてしまったら、「西成安宿」というタイトルに反してしまう。
2000円つったら、だいぶと高いですよ。
「旅館 かなめ」三泊分。「新世界国際劇場」二泊分。「ヒルトン 大阪」1時間分。
しかし、今日はこの「ビジネスホテル 加賀」に泊まる。
そうなった経緯は、コチラでご確認を。
あらためて考えると、単純に僕の注意不足なんでしょうか。カルシウムも不足しているのでしょうか。気を付けます。イカサマとか言ってごめんなさい。
ただし今日は西成ダイエットとか関係なく、夜メシ抜き。なぜなら、宿代が高いから。ちょっと前まで、ホテル代に5000円とか払うのが当たり前だと思っていたのに、取り込まれると弱い人間。
反省しきりで、今夜の寝ぐら「ビジネスホテル 加賀」到着。
看板には、1600円の設定もあるが楽天トラベルにはなかった。「1600yen~」の「~」の部分には上限を吸収する意味合いがある、と聞いたことがある。
ノーマルホテル式受付
入って右手には、ベンチがある。必ず持参した上履きと、ホテル内で履くスリッパを履き替える必要がある西成ドヤでは、嬉しい配慮である。
左手にある受付で、一般的な宿泊施設と同様、名前や住所など必要事項を書く。西成安宿探訪をはじめる前までは、当たり前におこなっていたこの記入作業だが、「お名前は?」と名字を聞かれて、即入館の西成スタイルに慣れてくると面倒極まりなし。
匿名性高く暮らすって、ラクです。
都市生活者の孤独を感じられる、というのか。
コロナ対策への同意をうながす書面にもチェックする。検温もおこなわれた。「新世界国際劇場」以来のこと。アレは純粋なホテルではないので、西成安宿では初被検温。35.8度でした。
LINE友達登録で安くなるプランだったので、その場で登録。その場で削除。
各種電子マネー決裁にも対応しているようだ。結果、楽天トラベルのクーポンも効いて、今夜の宿代は1800円。最高ランクの価格帯。1500円以下で抑えて行きたかったなぁ。
クリスマス一色ショック
従業員の方がみなさん(翌朝の受付の方も含めて)、サンタクロースやトナカイが縦横無尽に駆け回るような総柄のシャツやセーターを着用。
この季節の街の風物詩、ピザ配達員の赤白コスプレに代表される「本人のやる気がともなっていないクリスマス装束」を西成安宿でも目にするとは!
ロビーには、クリスマス的な背景をバックにサンタの恰好ができる撮影スポットも設けられている。館内全体にも、22時までは古今東西のクリスマスソングがうすーく流され続けていた。
しかし、ホテル内ですれ違うのは、ジャージ姿で片手にカップラーメンを持ったオッチャンばかり。訴求のほこさきが迷子になっている現場を見ました。
西成安宿的コスパとは何か?
マンションライクなエレベーターと廊下。三畳プラス玄関スペース、畳敷き、のしごくスタンダードな西成ドヤ。掃除は行き届いているし、布団やシーツも大変キレイだが1800円という価格に見合う部屋や設備か?と問われるとむずかしい。
テレビ棚の白い汚れは、ホコリでもカビでもなく化粧材が研磨によって剥げている。
それだけ、掃除をしている証拠。表面塗装を重ねてメンテしていればベストだけど、仕方ないと思う。
ああー、棚の上とか汚いぞ!
とか、粗探ししないと欠点を見つけられないレベルでキレイです。
テレビはCSやBSも受信。
アダルトチャンネルやギャンブル系の番組が見られる。アダルトチャンネルでは『笑点』や『大相撲中継』が放映されている訳ではなく、裸がぶつかり合うようなコンテンツが。裸でぶつかり合うのは相撲も同じか。画像は自粛。
温泉の無料券が付く
受付で説明されたのだが、このホテルが経営している銭湯が近くにあり、宿泊客には当日有効の入浴券が1枚もらえる。
あいりん地区の近隣には、「スーパー玉出」が4軒も密集しているが、銭湯も多い。確認できただけで5つ。全国的に公衆浴場が減っていることを考えれば、驚異的な密集率。入浴料は大人450円だから1800-450で、宿泊料の価値を高めているという考え方もできる。
「ビジネスホテル 加賀」にも、21時まで入れる風呂と、23時まで(早朝は6時から)使えるシャワールームはあった。
せっかくなので、銭湯「入船温泉」へ。
場所は知っているのだが、試しにホテルの人に行き方を尋ねると、大変丁寧に教えてくれた。ミステリーチェッカーみたいなやり口。
あんまり丁寧なので、「知っとるわい!」と怒鳴りそうになったが、まったくお門違いである。ありがとうございました!
22時近くに訪れたのだが、男湯の客は10人程度。
洗い場の数も多く、湯舟も大きいので、ソーシャルディスタンス入浴。
男性客の4人がモンモン入り。和彫りの老人から、現代タトゥーの若者まで、上気した肌に美しい刺青が輝いていた。居合わせた僕が、銭湯内で必要以上に卑屈に振る舞ったのは言うまでもない。
入浴を終え、脱衣場のロッカーの前でウダウダしていると、背後の腰掛けに現代タトゥーのアンちゃんが不自然にコッチを見ている。
「アレ、僕もいつの間にか墨入れてたっけ?」と思っていたら、どうやら僕のロッカーの真下に彼の荷物が入っていたらしく、ウダウダを待っていた様子。
「ああ、すません!すません!すみませんでした!」と、卑屈に畳みかけると。現代タトゥーのアンちゃんはひと言、
「問題ねえよ!」と。
ありがとうございました!
帰り道の弁当屋が出したとおぼしきダンボール群が、昭和のスタント映画の撮影後のようであった。
コイン式IH調理器と冷水機
ホテルに戻ると、「おかえりなさい!」とやる気ゼロサンタファッションの受付の人が声をかけてくれる。「ビジネスホテル 加賀」の受付は24時間対応してくれるようだ。これはもう受付ではない、フロント。
6階まで客室があり、上層階ほど宿泊料金が高いようだ。
便所と調理場兼手洗い場がつながっている西成ドヤスタイルは貫かれている。が、ガス玉で火を点すコンロの代わりに、コイン式のIH調理器が!
これは進化なのか。停滞なのか。タイムパラドックス。
廊下には、冷水機!
なつかしい。飲んでみたが、青春の味がした。市民プールみたいな味。
2大ミステリー
散策を終えて、部屋にもどってアダルトコンテンツなどをチェックしていると、首筋に何かが入りこんだ感触が!
わ!虫か!虫だわ!細長いタイプの!
と、着ていたアノラックをバタバタして、異常な恐怖を振り払う。
よく見たら、天井から伸びた電気のヒモだった。
もうひとつ謎めいたことがあった。
僕の部屋は2階の廊下中央付近だったのだが、廊下の奥の部屋が少しドアを開けている。トイレや外出のたびに見るのだが、開けている角度が少しずつ変わっていた。
で、夜中にトイレに向かう時に見たら、
生白い足が見えていた。
単純に怖かった。
ご覧いただけるだろうか?
血の気の引いた生青い足が。
ウソです。写ってません。スマホ取りに部屋に戻ったら、消えてた。
なんか怖かったです!ありがとうございました!
これからは1500円アンダーで回りますね
怖くてチビりそうになったが、大人なのでトイレに行きました。大人なので小便が近いです。
翌朝、フロントにカギを返すと「いってらっしゃいませ!」と声をかけられた。
ちゃんとしてる。ただ、僕の西成安宿探訪基準では高すぎた。
これからは、1000円前後の宿を狙っていきます。
昨日お世話になった「入船温泉」は、もう営業開始してる。
「入船あれば出船あり」
この銭湯も宿と同じく、多くの人々を迎え、見送ってきたのだろう。
師走の1日が今日も始まる。
ビジネスホテル 加賀
宿代:¥1800
三畳/コンセント5口/トイレ共同/風呂共同(21時まで)/シャワー(23時まで)/布団//鍵有/内鍵/喫煙/灰皿/小机/一泊OK/夜間外出可/Wi-Fi(やや効き)/ハンガー/棚/下足棚/自販機(ジュース・タバコ)/翌朝10時まで/エレベーター/喫煙所/お湯ベンダー/電子レンジ共同/IH調理器(コイン式)/TV(BS、CS )/フック/カーテン/エアコン/ロビー/異常にクリスマス感/Instagram・LINEフォロー登録でクーポン/コロナ対策/冷蔵庫/冷水機/受付終日/禁煙室あり/BGMもクリスマス感/銭湯無料券/個別空調
清潔度 ★★★★
フロント★★★★
サービス★★
価格 ★
総合 ★★★
食費
グリコ・マイルドいちごオーレ 108円
サンガリア・ポストニックウォーター レモン 90円
タバコ・アメリカンスピリット 570円
西成に落とした金額
計:2568円