2021年3月26日。
「待ち」
の姿勢では、仕事は得られない。
とにかく目ぼしい手配師には声をかけていくしかない。
糠喜び
今日で「パークイン」とは、さようなら。
どデカイ荷物を背負い、仕事探し。
ひとりの手配師には、
「んんー、足場とか組んだことある?」
と問われ、
「やったことないです。高所作業ですか?素人では無理ですかね…」
ズブの素人であることを突き付けられる。
嘘をついても、とにかく現場に入るべきなんだろうか?
使いものにならない人間が居ては、ただただ迷惑だろう。
その後も幾人かに声をかける。
「おお、ちょうど来るはずの人が来んくてな。入れる?」
「お願いします!」
「ほなら、ちょっと待っとってな」
路上の縁石に座り込み、待つ。
明らかに昨日負傷した腰の痛みは増している。
ただ、無理しなきゃいけない局面だと思う。
踏ん張り時だ、ごまかしごまかしやってみよう。
壊れたら、壊れた時だ。
30分ほど待っていたらば、遠くから道具を抱えたオッチャンが走ってくる。
「おおー、〇〇やん!遅過ぎるでー」
「ごめんなさい!寝坊してもうて」
これ、もう、僕は、用無し、じゃないんですか?
案の定、
「ごめんな。ちょっと他の現場ないか、探してみるから」
と告げられたが、そんな仕事はなかった。
缶コーヒーを一本渡され、手配師と遅れてきたオッチャンを乗せた車は去っていった。
クソクソ。
お前らの口車に乗せられて、干上がるのはコッチなんだ!
とか、一瞬荒れた風ですが、
パンが無ければ、お菓子を。日雇いが無いなら、ウーバーやればいいじゃない。
『人にはそれぞれ事情がある』©︎真島昌利
一度、カギを返した「パークイン」に戻る。
この宿は早朝には受付に人がおらず、カギは返却箱に入れておけば良いシステム。
一度返したカギを回収し部屋に戻り、2時間ほど仮眠。
気持ちを入れ替えて、10時〜21時までウーバーイーツで稼働。
この日は快晴。
金曜日には注文が多いのではないか、という印象が当初はあったのだが実際には少ない。
フライデーナイトは外食する人が多いのかも知れない。
トランクルームから布ガムテープを見つけ出し、昨日仮補修したサドルを本補修する。
どんどん、みすぼらしさが増していく。
ちょっと、綾波レイぽくなった。
「いいぞぉ、みすぼらしいぞぉ。みすぼらしさに磨きがかかってきたぞぉ」
と松村達雄の口調で言いたい。
ウーバーイーツにはチップ制度というものがあり、時折、お客がチップをくれる。
これは、純粋に配達員の収入に加算される。
ありがたいことだ。
病院の研修医の人に配達した際に、病院前で待ち合わせて料理を渡したのだが、そのお客さんがまじまじと綾波サドルを眺めていた。
その後、チップを¥300くれた。
不憫に感じて、チップをくれたのかも知れない。
ありがとうございました。
無駄に機能的なウーバーバッグ
ウーバーイーツ配達用のバッグは、ローンチ直後からアップデートを繰り返してきている。
僕も東京時代の初代バッグから歴代使ってきたが、最新モデルは確かに良くできている。
配達途中、信号待ちで「犬と並んでもっともヒトに近しい小動物をトレードマークにした日本最大級の物流の担い手」で働く配達員の方に声をかけられた。
もう、上手く喩えられないなら、こんな遊びやめた方がいい。
クロネコヤマトの人です。
「そのバッグ丈夫です?」
「ああー、結構頑丈ですよ。無駄に機能性あります。防水仕様だし、保温性あるし、クリップとかベルクロとかいっぱい付いているんで、カスタマイズも出来ますし」
「そうなんですねぇ。夏に海行くときにいいなぁ、と思って」
「ああ、いいと思います。外側の生地が砂とか付いてもすぐ取れますよ」
「アマゾンで買えるでしょ?買って見ますわ!」
「いいですね!クロネコの人がウーバーのカバン買うのは!」
「そうですね。ライバルなんかな(笑)」
といった会話をし、お互いの配達の健闘を祈りつつ別れた。
昔、アウトドア系のパンツを購入したら、サイドのポケットが天地逆さまに取り付けられていて、すわ不良品かと思ったが、友人と論議した結果、
ボルダリングなどで、身体を逆さまにして作業する際に使うのではないか?
という結論に至った。
正解は知らないが。
往年の名夫婦漫才師、春日三球・照代の代表演目『地下鉄』における「地下鉄の電車って、どこから入れたんでしょうねぇ?」議論並みに白熱した議論であった。
なんの話ですか。
ポールウインナーの誘惑
10時〜20時半まで稼働し、¥10,753也。
週末の定宿「快活CLUB」にインする前に、「スーパー玉出」で買い出し。
西成にいなくても、玉出に行くのね。因果。
「いかるが牛乳」
のフルーツ牛乳が可愛かったのでジャケ買い。
林檎ベースのフルーツ牛乳は、バナナベースのものより清涼感があって美味しい。
そして、普段の価格よりもだいぶ安かったので「ポールウインナー」を購入。
一般的な「魚肉ソーセージ」にはない野性味がある味は唯一無二。
このワイルドさは、時折無性に食べたくなる。
この「ポールウインナー」。
関東圏では、ほとんど見かけない。
絶対に旨いんだけどなぁ。
大阪土産にどうぞ!
漫画喫茶に泊まるということ
「快活CLUB」ではいつも“フルフラットシート”というタイプの部屋で眠るのだが、結構窮屈で入眠までに時間を要する。
一足先に爆睡していた方のイビキが炸裂していたが、これは仕方がない。
おそらく僕も入眠後はそんな騒音上等のはずだ。
ところが、どうやら他のブースの客からクレームが入ったらしく、店の人に
「お客様、もう少しお静かに」
と注意され、叩き起こされていた。
といっても自分でコントロールできないわなぁ。
気の毒。
漫画喫茶に宿泊するという体験は、この西成暮らしを始める前には、学生時代だったのでもう20年以上昔の話になる。
利用客には、若者も多いがおじいちゃんクラスのオッチャンも多い。
汚れた作業着を着た、僕と同類の方の姿もある。
そして、誰もがソフトクリームを頬張り、イビキをかいて、明日に備えるのである。
それが、現実。
使った金額
駐輪場代:150円
交通費:180円
焼きたてパン:259円
パン・フランク&バジル:127円
ミンチカツ:127円
磯辺揚げ:52円
ポールウインナーソーセージ:311円
白身フライ:151円
大きなイカフライ:137円
パン・クインシーミルク:152円
アイス・赤城チョコミント:73円
セブンティーンアイス・チョコミント:150円
タフグミ・スポーツドリンク味:171円
大粒ラムネ・ぶどうスカッシュ:117円
紅茶花伝ロイヤルミルクティー:157円
チェリオ・ミックスフルーツオ・レ:100円
紅茶姫マイルドミルクティー:50円
いかるが・かるちゃんフルーツ:125円(二個分)
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:800円(二個分)
所持金
4,241円