2021年9月27日〜9月29日
逃げのバイト探し
「闘う前から負けること考えるバカいるかよ!」
な思考で恐縮至極だが、この先西成現金仕事の収入「のみ」で暮らしていくのは、正直しんどい。想像しただけでも、憤死瀕死絶対死に間際状態は必至。
できるだけ肉体駆使して、頑張りますよ、でも出来るだけの範囲でですよ。
なので、ここ西成で他の収入源を得ねばならない。
ダークサイドな「闇の売人」とかやってみたくはあるけれど、捕まるのは困る。
捕まったらば、むしろ衣食住に困らないのではないか?という、うすぼらけとした希望もなくはない。それはそれで楽しいのかも知れない。
頭に浮かんだのは、
「ドヤの清掃」
「介護職」
「飲食店のバイト」
など。
限りなく「西成暮らし」に近接した仕事であることが望ましい。
そこで、見聞きする西成の実相もまた興味深いはずだ。
「飲食店バイト」
の募集貼り紙はしばしば見かけるが、「女性限定」な縛りが多い。
「介護職」
も多く募集している。
東京で映画の下っ端をしていた頃、「長期で入って、短期で逃げる」というバイト食い逃げを繰り返していた。
映画の現場は、数ヶ月の拘束・仕事、ののち現場がバレれば、また無収入。ポスプロまで関われたとしても、半年が最長だった。
そこで、当時東京豊島区の支援を受けて介護の資格を取得した。ので、ホームヘルパー二級は所持している。「介護職員初任者研修」と名称が変わる前だから、ひと昔前の話だ。
西成で生計を立ててきたオッチャンたちがドンドコ介護対象になってきている現状を鑑みれば、やる価値のある仕事に思える。
そして、もう一つの選択肢で思い浮かんだのが、
「スーパーの店員」
この地で暮らす人々の胃袋を支える食料品店での勤務もしてみたい。
ある店舗の募集を見つけ電話したところ、面接日が決まった。
随分と久方ぶりに、証明写真というヤツを撮り、履歴書を書く。
証明写真アプリをDLして撮影を試みたが、途中で面倒になりダイソーで写真も履歴書用紙も購入。
いまや、公衆電話ほどではないが、街の遺物と化した「証明写真ボックス」
プリクラ前夜には、街で気軽にプリントが得られる唯一の装置であった。
高橋伴明監督『ネオチンピラ 鉄砲玉ぴゅ〜』では、はぐれて生きるヤクザ者の存在証明できない表象として証明写真が登場していた。今は、飽きるほど持て余すほど「自分の画像」が地べたに転がっている時代になった。
それにしても、この頃の哀川翔のベルトの位置は高すぎる。
ヤクザ者から、一般人を演じるようになるにつれ、そのベルト位置が低くなっていったのは、パンクバンドのベースプレイヤーのベースを構える位置が低くなるのと似ている。
何がカッコいいのか?という基準が役柄によって変異するからであろう。
先行研究が存在していれば不明を恥じるが、「哀川翔のベルト位置の考察」は映画史的に重要なテーマになるのではないだろうか。適当に言っている。
10月を目前にして、日本には現在おそらく数週間しか訪れない「過ごしやすい陽気」である。
太子交差点近くの路地では、何があったのか?誰かのポケットの中身がぶちまけられていた。
泥酔した果てか、喧嘩の後始末か、近くに靴が揃えて置かれていないので、むしろ安心。
彼が飛び込んだのは、どんな地平だっただろうか。
ブログを書き、読書をして、寝る。
ああ、あとポールウインナーを食った。
たかりの本性
翌日は、一度断られたのだが懲りずに「新世界東映」へインタビューを取りに行く。
午前に伺うと、午後からならOKとのことで、国際劇場前のパーキングの車止めに腰掛け、時間を潰していたら、40代に見える小ざっぱりした男性に声をかけられる。
「すみません…お時間いいですか?」
「お時間は、ないです。そんなに」
「実は、二日間食べていなくて… 1000円貰えませんか?」
「イヤです。お金はあげません。メシなら、炊き出しもあるし、しかも今日も早起きすれば現金あったでしょ?探してないんですか?」
「いや、ちょうどなかったんです、仕事は」
「炊き出しは?並んだらどうですか?なんで、メシ食いたいから、金くれ!になるんですか?理解できないんだけど」
「500円はダメですか?」
「僕が金有り余ってるように見えますか?金をあげることは絶対ないです」
いちいち書いていないが、こういった「街でのたかり」は多い。
あいりん地区ではさすがにタバコをせびられる事くらいしかないが、新世界まで出ると、観光客と間違えるのか、直截に「金くれ!」と言ってくる。
その割には、切迫した雰囲気もない。物乞いを演じるなら、身なりを低く整える工夫は必要だよ。その努力に金を払うのだから。
西成のホテル巡りを始めた頃は、このような人々に哀切の感情を抱いてたものだが、ほとんど言っていることは嘘っぱち。
昨年末に会ったこの記事の人には、その後何度も西成で会った。
「この前も話しかけられましたけど。こないだは『四日食ってない』って言ってましたね?今日は『五日』なんですか?嘘がパワーアップしてますね、先生!」
と言ったら、途端に顔を歪め「黙れ!アホ!」と、唾を吐きかけて去っていった。
何日も食ってない人には、いくつもの団体が炊き出しを提供してくれる環境が西成にはある。
親切なお人から、1000円だか500円だかをせしめて、ギャンブルに興じるような輩と相手する時間も義理もない。
現金仕事現場には、あなたよりよっぽど高齢で、身体を壊している人たちが従事している。
口先で食べていける技術を持っているならば、西成を出て違う仕事をした方がいい。
単純に、嘘を吐いて人から金を掠め取ろうとするような人に対しては、軽蔑の感情以外湧かない。
正直に生きて援助をもらうか、真摯に仕事を求めるか、そうやってこの街で暮らせば良い。
「なんや、色々言いな!もう、ええわ!」
これが、今日新世界で会った男の去り際の捨て台詞。
そこでも、「何日も食べていない男」を演じ続けないと。
口先で稼ぐなら、徹底した役作りに励んでもらいたい。
あんたは、半端で大根だったね。さようなら。
しかし、僕もだいぶ成長したなぁ。感慨。
映画館バイトもある
午後のなって「新世界東映」の支配人にロビーでお話を伺う。
小一時間ほどお時間をいただき、最後にバイトのことを聞いてみる。
建物の入り口にはこんな貼り紙があったから。
「本社に電話してみてや。でも、オススメはせんなぁ(笑)」
とのこと。
モギリのお姐さんにも話を聞いた、
「男の人は映写の仕事もあるからね、大変かもね。フィルムって重いんよぉ」
「とくに大変でもないんですか?」
「私は長いから、もう慣れてしもうて」
「もし、同僚になったら、よろしくお願いします!」
「縁があったらエエねー。お疲れ様」
劇場を出て、すぐに本社に電話。
現在コロナの影響で深夜興行の継続を検討中らしく、人員がどれだけ必要か?確かではないので、また連絡してくれ、とのこと。
ただ、「映画館で働く」というのは「好きなもの」の裏側を見てしまうようで辛いかも知れない。西成での現金仕事は、「辛いと分かっているから、下を向いて懸命にやる」と割り切れる。「映画」という僕にとって最大の娯楽を奪わないでおくのが吉かも知れない。
帰りがけに新世界周辺でも、バイト募集の貼り紙を探す。
「女装」「ニューハーフ」「ゲイボーイ」か…
少し、ハードルが高そうだ。
天王寺のモンベルに行き、ちょっとしたお出かけ用のパッカブルショルダーバッグを購入。
「ちょっとしたお出かけ」とかしゃらくさい事言ってんな、と自戒。
オシャレ小鉢か。
ドンキと玉出に寄ってホテルへ戻り、眠る。
改めて音楽を聴く
日がな、ブログ書きやテープ起こしで夜になる。
Twitterでアメリカの音楽メディアの選ぶ
「日本のアルバムTOP100」
というリストを見かけて、楽しく眺める。
アメリカ最大手の音楽コミュニティ「Rate Your Music(RTM)」で、得点上位100位の日本のアルバムをピックアップしてみた。
— 𝑷𝒆𝒕𝒆𝒓 (@zippu21) 2021年9月29日
1. サントラやライブ盤は排除
2. 投票数が5票以上のものから選出
はっぴいえんど史観とは一線を画す、海外からの評価、視点が面白い。 pic.twitter.com/13u6K887WD
このリストを見てから、改めて
を聴き直す。
やっぱりいいわ。よく眠れるし、寝覚めもいい。
この日以降、寝際にはおやホロかマスドレに曲が固定される。
このようなリストなぞ、選者の気分次第、時代の気分次第だろうが、一旦「リスト化」されると一種固定化された権威のようになる。あくまで受け手側の認識でしかないが。
僕のような権威に弱い人間はすぐに影響下に陥る。
悲しいかな、なんでだろう。
うちのお父さんテレビをつけたまま寝ちゃって、
何テレビつけたまま寝てるの…お父さんたら、テレビ消しますよ!ポチッ!
「見てんだよ!」
お父さんが、テレビ消したとたん起きるのなんでだろうー。
©︎テツandトモ
音楽を聴く
という行為に癒しや励ましの効果がある
ということを最近になってまざまざと感じる。
何も考えずに音に浸る。
それだけ。
それだけの快楽。
「音楽のチカラ」とは、「無になれること」に他ならない。
夜になって、「スーパー玉出」に買い出し。
パックの「とろろ」を三つ突っ込んだだけの「とろろいも」に震える。
逆から読んで「モイロロト」になっても、印象不変。
当然買わなかった。
「ぼんじりの唐揚げげ」を購入。
「げ」が一個多いのは、商品名だからきっと正しい。
「東京ゲゲゲイ」が「東京ゲゲゲゲイ」になっていても、「バンゲリングベイ」が「バンゲリングべべイ」になっていても大した違和感はない。唐揚ゲゲ。
この辺の脇の甘さが素敵だ、玉出。
20時を回るとすっかり人の気配を失う西成の街にも、心地良い秋風が舞い込んでいる。
ZOZOタウンで、母親にニューおばシャツを買い、二回目のワクチン接種での帰省の折にプレゼントしようと画策。
この年になって、まったく仕送りもしない/できない 不甲斐ない愚息のせめてもの償いである。
使った金額
9/27
履歴書用紙:110円
証明写真:500円
ロイヤルポールウインナー:387円
三幸製菓・新潟仕込み塩味:127円
森永・リプトン グレープティー:106円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:400円
9/28
モンベル・UL MONOショルダー:1870円
天ぷら:659円(四個分)
おいしさ百景・ミニ黒棒:103円
大粒ラムネ ぶどうスカッシュ:85円
大粒ラムネ:85円
森永・リプトン グレープティー:106円
クラフトボス 抹茶ラテ:107円
マイルドいちごオーレ:117円
サンガリア・まろやかバナナ&ミルク:90円
9/29
ZOZOタウン・シャツ:5876円
天ぷら:436円(三個分)
でん六・ピーナッツチョコ:95円
龍為・純糖 一口黒棒:149円
大一製菓・薄焼きえんどう豆:95円
マイルドいちごオーレ:127円
コカコーラ・爽健美茶すっきりブレンド:160円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール5mm:800円(二個分)
所持金
43,058円