暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

西成で暮らす。18日目 ②「福岡からの来訪者」

2021年3月18日。②

 

 前回からのつづきです。

nishinari-lives.com

 

本当に良くしてもらった。
腕はもう上がらないけれど。

また、会えたらお願いします!

監督さんと職人さんに別れを告げ、事務所まで送ってくれるという社長さんの車に乗り込む。
この場で現金を貰えないようだ。
また1時間かけて事務所に戻る必要がある。

 

すぐそばのコンビニで車を停めた社長さんが、

「なんか飲む?」

「ああ、麦茶でお願いします」

「麦?ビールじゃなくて?」

麦芽いらないです(笑)。お茶で大丈夫です!」

「気にせんでエエんよ。酒でもいいし」

 

お茶を買ってもらい、飲みながらの車中。

「慣れん仕事で疲れたでしょう?」

「いえ、ご迷惑おかけしました。でも、みなさんに優しく接してもらったので有り難かったです」

「ウチはいつもあんな感じよ。よく隣の現場で怒鳴っとる人もおるけどね。そんな雰囲気はつまらんでしょ?」

「ありがとうございます。なんか歳取って、優しくされると泣いちゃうんですよね…」

「いくつ?」

「46です」

なんか車内がしんみりしてしまいました。
失敗。後悔。

 

「私がこの仕事始めた頃はねぇ。先輩が仕事終わった瞬間に、カップ酒開けて飲んどった(笑)。そんな人ばっかりやったねぇ」

「次、来た時はチューハイ買ってもらいます!」

「次」なんていつ来るか、わからないのだけれど。

渋滞にハマる

帰路、大規模な渋滞にハマりこんでほとんど前に進まない。
結局、19時半までかかってしまった。
しかも、ここから西成までの交通費は自分持ち。
いい事ばかりはありゃしない。

事務所に装備品を返し、近隣の地下鉄駅まで送ってもらう。
降りぎわ、

「遅くなったから、コレ。なんか食べて」

と事務所の人から1000円札をもらう。
今日の報酬自体は¥10,000。プラス¥1,000。朝、カリスマ手配師から得た¥100。昼、お釣りを浅ましくガメた¥300。
となった。

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M君と出会う

そして、ここで意外な展開をお伝えしたい。

このブログと連動させてtwitterも更新している。

内容としては、はてなブログをあげた際にお知らせするだけ。貧弱なアカウント。

twitter.com

 

そんな僕のtwitterアカウントに今月の始めにDMが届くようになった。

彼は福岡に住んでおり、「西成で働く」ことを考えているという。

「西成 日雇い」などのキーワード検索で、下ーーーーの方に僕のこのブログがあり、覗いてくれたよう。確かにリアルタイムで「西成での仕事の仕方」や「西成の仕事の現状」を発信しているものは少ないんだろう。

DMでのやりとりを続けていると、「収入が11万/月」しかなく、「現場仕事の経験」があり、「年齢は21歳!!」。確かもうすぐ22歳なのかな、おめでとうございます!なんもお祝いできないけども。。

「仕事は毎日ありますか?」

と問われ、

「ありますよー。西成来るのならご案内しますよー」

と安直に返答していたのだが、ここ最近は仕事にあぶれることも増えている。
なんと言っても若いし、わざわざ西成くんだりまでやって来て仕事をする必要もないだろうから、そのことを伝えつつも、この異界、このとっても変わった街を訪れてみるのは貴重な体験かも知れない、と思った。僕が若く、そのエネルギーを持て余していれば、行ってみよう!と考えたかも知れない。

そして、ブログのネタになるかも!
という姑息な考えがあったのも紛れもなく事実。
こすい46歳。ごめんなさい。反面教師でしかない。クズ。

 

そんなに早急にコトが運ぶとは思っていなかったのだが、DMでのやりとりを始めて2週間ほど。彼は高速バスでわずかな現金を握りしめ、西成にやってくると言う。
それが、今日であった。

彼はもう西成に到着し、宿も取っているという。
20時過ぎに初対面することにする。

 

彼の投宿先の前で挨拶を交わす。
M君は、髪を金色に染め、180センチ以上の長身痩躯。スタイルも良く、アメリカ村にたむろしている若者と見た目は何も変わらない。切れ長の瞳で、爽やかな好青年という印象。

「もう3000円しか手持ちないんで、明日働かなきゃヤバいです」

一緒に、早朝仕事探しゾーンに行き説明。
その後、三角公園に行き缶チューハイで乾杯。

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「西成で稼いでやる」

その後、2時間ほど話す。

「一本道を渡ってあいりん地区に入ると、空気が変わりますね。どんよりしてます(笑)」

その感覚は全く正しい。
この場所に漂う独特の色味、独特の匂い(実際のスメルというよりは、感覚的なものだが)は他の街にはない。

「一度来てみたかったんですけど、思い切って。バスの中からずっと不安でした」

 
西成に2,3ヶ月逗留し金を貯めたいこと。
どの職場でも、いつも人間関係で悩んでいたこと。

 

M君はあけすけに自分のことを話してくれた。
明日は、3時には一緒に仕事探しを始める約束を交わす。
現場仕事の経験もあり、若いM君ならば、きっと仕事にありつける。
そうでないと、少なくとも僕の情報を頼りに来てくれた彼に申し訳が立たない。
僕はこの時点で、明日も働ける体力ゼロでしたが…。

特に大阪の若い連中が行くような場所には興味がないようだが、大阪の腕の立つ彫り師は訪ねてみたいという。興味の対象が違うなぁ。
僕もやり直したい。
もちろん、やり直すためにココにいるんだ、僕も。
そう、勇気をもらった。

 

途中、

「なんか他に聞きたいことある?」

と口に出してしまい、直後に自己嫌悪。
「西成に来て、まだ数回しか現場に入っていないし、体力が追いつかずに全く稼げない中年だけど、西成のことなんでも聞いてよ!」
みたいなスレに何を聞きに来るというのか?アホ。

先輩風吹かして、実が伴っていない。

同類のプオタであることが判明したので、少しプロレス周りの話もしたが、UWF前田日明も通じなかった。ジジイは去るのみ。

夜風が冷たくなってきたが、あっという間に2時間が過ぎた。
M君を宿まで送り、明日の再会を誓う。

 

 

自分の宿「パークイン」まで帰る途中、夕飯を買いにコンビニへ 。
歩きすがら買い食いしていたら、ホットサンドツナチェダーチーズを半分道に落としてしまう。

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何にもいい事ないぞ。

 

スコップを握りしめて出来たマメが潰れて痛く、皮を剥がしてしまう。
剥がしすぎて、血がにじむ。

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もう寝よう。

M君!ようこそ西成へ。 

 

仕事内容
日付:2021/3/18(木)
場所:大阪市
現場:更地
内容:土壌改良・乾式柱状改良
時間:4:05~16:45
待遇:朝昼飯アリ
給与:¥10,000

西成で得た金額
10,000円+1,000円+300円+100円

使った金額
交通費:300円
ハッシュドポテト:97円
ホットサンドツナチェダーチーズ:321円
つぶグミ濃厚オレンジ:194円
微糖アイスティー:100円
コカコーラゼロ:160円
タバコ・アメリカンスピリットメンソール9mm:800円(二箱)

所持金

17,665円