暮らす西成~大阪市西成区あいりん地区に潜伏する

住所不定無職。大阪市西成区のあいりん地区で働きながら生きていこうと思います。アンダーカバーか、ミイラ取りがミイラになるか。

女装さんに教わろう!「新世界国際劇場」での映画鑑賞ルール。

この世界には、「ルール」がある。

そして、そのルールには明文化されたものと、因習や慣習によった暗黙に固定されたもの、の2種類がある。
ルールを知らずにゲームに参加することは、即ゲームオーバーを意味する。

そして時に、ルールを逸脱するあるいは、その間隙を縫う者も現れる。
ここで思い出すのは、かつてビートたけしがハワイのディスコに赴いた際、その短パン姿を見咎めたバウンサーに、「くるぶしが隠れるようにしろ」と、ドレスコードを指摘され、短パンをずり下げてくるぶしを隠し、ブリーフ丸出しで「これで、どうだ!」と突破しようとした逸話である。流石。

ジャン・ルノワールの映画『ゲームの規則』には、ルールを次々に破っていく上流社会の人々の姿が描かれる。戦火にはわれ関せず、とっかえひっかえに情交する人々。恋愛はいつだってノールール。その物語が死によって閉じられるとしても、誰かが意味のない均衡を保つために作ったルールに殉じて生きるよりは、盛大に豪快に、ルールを無視して生きる方が幸福かも知れない。
でも「ルール」は知りたい。怖いんだもの。

 

そこで、相変わらずの長めの枕のあとに本題。
一見を容易に寄せつけない空気を醸し出す
大阪 「新世界国際劇場」「新世界国際地下劇場」
での過ごし方を女装さんに聞きました。

www.cinema-st.com

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コワモテに見えて、一応最低限のルールを知って接すれば、案外イイ人。
国際劇場はそんな場所かも知れない。ぞ!
映画館での過ごし方、ルールを学ぼう!

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レクチャーしてくれたのは、以前のブログでもお話を伺った女装さんのお二方。
あゆみさん
みのりさん
です。

nishinari-lives.com

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地下劇場でのルール

ー映画観てて、突然襲われたりすることはないんでしょ?

「突然襲われますよ! 攻め込まれた時に、流されてしまうような人やったら、それはそれは危険な場所。言葉か行動で、しっかり拒否の意思を示さないとガンガン入ってくるし。むしろ口だけで嫌がってる、体だけで嫌がってる、そういうプレイの一環みたいな捉え方をされるので」

「地下の客席の後方のバーに掴まって立ってたら、『痴漢OK』のサイン。女装・ゲイ・プロ、で、場所ごとに棲み分けができてます。痴漢OKの場所に立っているのに、モーションかけられて断ると揉めたり。でも、そんな時は『痴漢あかんのなら、壁際の方に立っとき!」って教えてもらえますよ。みんな意外と優しくて、ルールは教えてくれます」

ー「自分は映画観ます!ハッテンしません!」って言う時は?

「映画観に来た!向こう行け!とハッキリ言うこと。それだけです」

地上国際劇場でのルール

「1階席と2階席がありますけど、基本ハッテンは2階なので。たまーに逸脱した奴は居ますけど、1階の席で観ている分には大丈夫。基本的に、2階のサイドの席、左右でゲイさんと女装さんで棲み分けてます」

ー1階席で女装さんが観ている時もありますよね?

「だから、それで声かけに行く奴は野暮なんですよ。ちゃんと映画観てる。『今、映画観てるから大人しくしとけ!』って言ったら、隣の席でジーッとコッチ見つめてる奴もいますけど、そういう意味じゃないよ!って」

ーそうか。1階にいる女装さんはハッテンする気はないんですね

「たまにね、下着姿でうろついて後ろに行列引き連れてる人もいますけど、それは例外」

ー客席の横とか後ろに立ってたり、館内を歩き回ったりしてる人いるじゃないですか?あれは物色?

「物色ですし、下に居る間は手ェ出されへんから2階に行くまでひっついて行ってる。もしくは、喫煙スペースなら、女装さんの方がOKやったら手ェ出せる、治外法権です」

ーつまり、完全拒否の姿勢で1階で観てれば、一応安全?

「そうですね。ただ、そのルールを誰が知らせるのか?っていう(笑)」

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暗闇でのルール

「あそこ、近畿一円で滅多にかからないようなB級アクションとか結構上映するじゃないですか。調べたら、『あー、国際だけかー』みたいなことありますよね(笑)」

ー面白いプログラムはあるんで、国際行ってみたいなぁという映画好きはいる。でも、女装なりゲイなりという前情報があるから二の足踏んでいる人も多いと思うんですよね

「そうですね。でも、そこを解消するにはどうするか?っていうと… こちら側としては、恐怖を振り切って行ってくれ!と。そもそも、あそこスリとかもめっちゃ怖いですからね。カバンは持って行かない方がいいし、しっかり自衛しておかないと」

ーそういう意味では、絶対安全地帯は…

「ゼロです!(笑)」

 

映画館で流れる館内放送といえば、「携帯切れ」とか「前の席蹴るな」が常套句。
新世界国際の館内放送は、少しその上をいっており、

「映画の上映中は、カバンその他の所持品に充分ご注意ください」

「スリや暴力を見かけた際は警察官まで」

とのアナウンスが流れます。
国際劇場でしか観られないような作品をしっかり凝視しつつ、たまに周囲や背後に目を配り、なるべく手ぶらで、ハッテン行為を希望しなければ声や態度で明確に示しましょう。

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体験としての映画館

「でもね、ホントにみんな結構優しくて、1階の席で隣に座ってきて断っているのに、それでも攻め込もうとしている奴がいたら、他の人が止めてくれたりしますから。
常連女装さんと会うために、ロビーで集まって会話するだけっていう遊び方をする人も多い。まぁ、気が向いたらちょっとオッサンからかってやろうくらいの気持ちで遊びに行く女装さんもいますし。
治安的には、必ずしも安全な場所ではないけれど、それも含めて丸ごと映画と映画館を体感できる場所だと思いますよ」

 

新世界国劇場・新世界国際地下劇場
には、明確なルールはない。
しかし、ルールを知らずに入場しても、ルールを破る輩を咎めてくれる先達たちもいる。
優しい世界。新世界。

迷わず行けよ、行けばわかるさ。
少しの勇気と強固な意思を持って、新世界へ出かけてみよう。

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nishinari-lives.com

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